「血糖値スパイク」とは何かご存じですか?病気のリスクや改善法を医師が解説!

血糖値スパイクが起きる時、身体はどんなサインを発している?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
血糖値スパイクとは?
「血糖値スパイク」とは、食後に血糖値が急上昇し、その後、急激に下がる現象です。血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。通常、食事をして血糖値が上がると、膵臓からちょうどよい量の「インスリン」というホルモンが分泌されます。血液中の糖分は、インスリンの作用により筋肉や脳など、体内のさまざまな場所で利用されます。その結果、食事で上昇した血糖値はゆるやかに下がり、2時間程度で正常範囲に戻ります。
しかし、何らかの理由でインスリンの分泌が不足したり分泌タイミングが遅れたりすると、血液中の糖分を体がタイミングよく処理できません。そのため、処理されていない糖分が血液中にあふれてしまい、血糖値が急激に上昇します。すると、体は慌てて大量のインスリンを分泌し、その反動で血糖値が急降下するのです。
この血糖値の変化をグラフにすると、通常はなだらかな山状になるはずのグラフがとがった「とげ(スパイク)」のような形になります。このグラフの形から、一連の流れは血糖値スパイクと呼ばれています。
血糖値スパイクのリスクとは?
血糖値スパイクは見つかりにくいため、気付かないうちに体にダメージを与えているケースが少なくありません。ここからは、血糖値スパイクを気付かずに放置するとどんなリスクがあるのか、そしてなぜ健康診断で見つかりにくいのかを解説します。
血糖値スパイクを放置した場合のリスクは?
血糖値スパイクを気付かずに放置すると、以下のようなリスクがあります。
・血糖値の急激な変化が血管にダメージを与え、動脈硬化を悪化させる
・膵臓がダメージを受け、本格的な糖尿病に移行する可能性が高まる
血糖値が上昇すると、体内の「活性酸素」 という物質が大きく増加します。この活性酸素は、血管の内側を覆っている壁(血管内皮細胞)を傷つけて慢性的な炎症を引き起こし、動脈硬化をさらに悪化させます。
血糖値の変動が大きいと、血管はダメージを受けやすくなります。そのため、血糖スパイクによって血糖値の上下が激しい状態は、動脈硬化を進める可能性がある のです。
この動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞といった病気のリスクが大きく高まります。
また、血糖値スパイクを繰り返すとインスリンの分泌をする膵臓が疲弊し、本格的な糖尿病へ移行する可能性が高まる点も大きな問題です。
血糖スパイクは健康診断で見つけにくい?
血糖値スパイクは、一般的な健康診断では見逃されやすいのが大きな特徴です。
健康診断で測定する血糖値は、基本的に食事を摂らずに測る「空腹時血糖」です。しかし、血糖値スパイクは、「食後」にのみ血糖値が急上昇し、多くの場合数時間後には正常範囲に戻ります。そのため、空腹時の血糖値だけを確認する健康診断では、食後の血糖値の上下を発見できません。
また、健康診断で血糖値と同時に調べる「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という検査項目も、血糖値スパイクの発見には限界があります。HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標のため、食後血糖値の一時的な急上昇と急降下までを発見することは難しいのです。
血糖値スパイクが起きているかを調べるには、75gのブドウ糖が含まれたソーダ水を空腹時に服用し、どのように血糖値が変化するかを調べる、「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」という検査がおこなわれます。
また、糖尿病の治療を受けている方は、専用のセンサーを皮膚に貼って皮膚の下のグルコース量を測り、24時間通した血糖値の変動を調べる「持続血糖測定」をすることもあります。
どちらの検査も、医療機関への受診が必要です。健康診断で血糖値の異常が見つかった、次に解説する血糖値スパイクの症状が見られるなどの場合は、速やかに内科や糖尿病内科を受診しましょう。
血糖値スパイクの症状は?
血糖値スパイクの症状は、「何となく調子が悪い」といった小さな不調としてあらわれることが少なくありません。ここからは、血糖値スパイクで見られる代表的な症状を5つ解説します。
食後に強い眠気やだるさを感じる
食後の強い眠気やだるさは、血糖値スパイクの代表的な症状です。
食事によって血糖値が急上昇すると、体はインスリンを過剰に分泌して血糖値を下げようとします。その結果、今度は血糖値が必要以上に下がりすぎてしまうのです。
私たちの脳は、エネルギー源の多くをブドウ糖に頼っているため、血糖値が急降下すると脳が一時的なエネルギー不足に陥り、その機能が低下します。これが、強い眠気やだるさを起こすひとつの原因であると考えられます。
また、血糖値が高いと覚醒に関わる「オレキシン」というホルモンの分泌が抑えられることも、食後の眠さに関わっている可能性があります。
自律神経が乱れ、集中力の低下やイライラが起こる
血糖値のコントロールには、血圧や睡眠、気持ちなどを幅広くコントロールする「自律神経(交感神経・副交感神経)」も関わっている可能性があります。
血糖値スパイクによって血糖値が急激に低下すると、一時的に血糖が下がりすぎて「低血糖」のような状態になることがあります。低血糖になると脳がエネルギー不足になり、体の機能を正常に保つことができません。そのため、脳は血糖値を直接上げる「グルカゴン」や交感神経を刺激する「アドレナリン」などのホルモンを分泌し、血糖値を上げようとします。
通常、食後は消化を助ける「副交感神経」が優位になります。しかし、血糖値スパイクの影響で一時的に低血糖になると、分泌されたアドレナリンによって「交感神経」も刺激され、両者のバランスが崩れやすくなります。
このような負担が継続的にかかると、自律神経のバランスが崩れ、集中力の低下やイライラが起こりやすくなる のです。
脳の血流に影響を与え、頭痛や肩こりが起こる
血糖値の変化は、脳の血流にも影響を与えます。
頭痛のうち、ズキズキと脈打つように痛む発作が4〜72時間ほど続く「片頭痛」というタイプには、脳の血流変化が関わるとされています。食事を抜くと片頭痛発作が出る方が多いため、血糖値スパイクによって低血糖状態になると片頭痛が起きやすくなる可能性はあるかもしれません。
また、急激な血糖値の変化によって交感神経が優位になると、筋肉が緊張しやすくなります。特に首や肩周りの筋肉が緊張し、その部分の血流が低下すると肩こりが生じます。この肩こりは、締め付けられるような痛みが起こる「緊張型頭痛」のひとつの原因です。
食後の高血糖時に、ほてりや発汗が起きる
食後の血糖が高い状態のときにほてりや汗が気になるのも、血糖値スパイクが影響しているケースがあります。
血糖値スパイクが頻繁に起こると、前述のとおり自律神経のバランスが崩れやすくなります。汗の分泌を含む体温調節には自律神経が関わるため、自律神経のバランスが崩れることでほてりや発汗が起きる可能性 は考えられるでしょう。
また、食後に限りませんが、血糖値が高い状態が続くと起こる糖尿病の合併症「糖尿病性神経障害」の方にも、ほてりや汗の分泌の異常が出ることがあります。
血糖値の急降下により異常な空腹感や手の震えが起きる
上がった血糖値が血糖値スパイクによって下がると、血液中の糖分が下がりすぎる「反応性低血糖」の状態になることがあります。
血糖値が下がりすぎると、脳は血糖値を上げるためにアドレナリンやグルカゴンといったホルモンを分泌します。分泌されたアドレナリンによって交感神経が刺激されると、異常な空腹感や手の震え、動悸などが出るケースがあるのです。
この状態は「交感神経症状」と呼ばれ、個人差がありますが血糖値が70mg/dL未満ほどになるとあらわれやすいとされています。
危険な血糖値スパイクは気持ち良いと感じる?
「甘いものをたくさん食べて気持ちよく寝る」という状態は、血糖値スパイクを悪化させるリスクが高いため非常に危険です。
ここからは、なぜ血糖値スパイクを気持ち良いと感じるのかや、眠い時にどうしたらよいかを説明します。
h3>血糖値スパイクが起きるとなぜ気持ち良いと感じるのか?
気持ち良いと感じるのは、血糖値スパイクではなく、食事をし、一時的な高血糖による気持ち良さが関わっている可能性が考えられます。
血糖値スパイクを起こすような糖分や脂質の多い食事を摂ると、脳の報酬系という仕組みに関わる「ドパミン」という神経伝達物質が脳内で大量に放出されます。ドパミンは「気持ち良い」「もっと欲しい」などの感情に関わるため、甘いものや脂質を多く摂ると気持ちよさを感じるのかもしれません。
また、低血糖状態になると脳にエネルギーが足りず、意識がもうろうとするケースがあります。低血糖では冷や汗が出たり、イライラしたり、不安感が出たりするため、どちらかというと不快に感じがちです。
血糖値スパイクが起きて眠いときは寝てよいのか?
食後に強い眠気に襲われた場合、無理に我慢する必要はありません。15分から20分程度の短い仮眠をとるのもよいでしょう。
ただし、昼寝の時間が長すぎると、夜間の睡眠に影響する可能性があります。アラームをかける、近くにいる人に起こしてもらうよう頼むなどして、昼寝の時間が長くなりすぎないように注意しましょう。
なお、血糖値スパイクによる高血糖には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動や筋肉トレーニングも有効です。散歩やストレッチなど、軽いものから無理のない範囲で取り入れてみてください。
血糖スパイクで気絶する可能性はある?
血糖値がインスリンによって急激に下がり重度の低血糖状態になると、気絶する可能性もあります。
低血糖は、エネルギーとなる糖分が不足して脳の機能が低下するために起こる症状で、放置すると脳へ悪影響が出る可能性もあり危険です。
気絶するほどの重度の低血糖が起こりやすいのは、糖尿病の治療でインスリンや一部の血糖降下薬を使用している方です。しかし、治療を受けていない健康な方や糖尿病予備軍などの方も、生活習慣によっては気絶に至る可能性もゼロではありません。
食後に意識を失うようなことがあったら、速やかに内科や糖尿病内科を受診してください。
「血糖値スパイク」で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「血糖値スパイク」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
糖尿病・糖尿病予備群
糖尿病は、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの作用が不十分なために、高血糖状態が続く病気です。また、糖尿病よりは血糖値やHbA1cは低いものの、正常よりは高い状態を「境界型(糖尿病予備軍 」と呼びます。血糖値スパイクは通常の方にも起こりますが、糖尿病予備軍の方にも多く見られます。放置すると膵臓が疲弊し、本格的な糖尿病へ移行する可能性が高まります。糖尿病予備群の段階であれば、食事療法と運動療法といった生活習慣の改善が治療の中心です。糖尿病と診断された場合は、生活習慣の改善に加えて、必要に応じて血糖値を下げる薬や、インスリン注射などの薬物療法を組み合わせておこないます。血糖値スパイクでは食後の眠気やだるさなどが代表的な症状ですが、糖尿病になってもすぐに症状は現れません。高血糖がすすむと以下のような症状があらわれます。
・異常に喉が渇く
・トイレの回数が増える
・尿の量が増える
・たくさん食べているのに体重が減る¥
血糖値スパイクが出ている、健康診断で血糖値の異常を指摘されたなどの場合は放置せず、内科や糖尿病内科、内分泌内科で相談しましょう。
動脈硬化
動脈硬化は、心臓から全身へ血液を送る動脈の血管が硬くなり、弾力性が失われる病気です。血糖値スパイクによる急激な血糖の変化は血管の壁にダメージを与え、炎症を引き起こします。この傷ついた部分に悪玉コレステロールなどが蓄積することで、血管の内側が狭くなったり、硬くなったりして動脈硬化が進行します。動脈硬化の進行を防ぐ方法は、以下のとおりです。
・高血圧を治療する
・血糖値をコントロールする
・肥満を防ぐ
・脂質異常症を治療する
・禁煙する
・アルコールは適量に留める
動脈硬化そのものには、自覚症状がほとんどありません。そのため、健康診断で高血圧、脂質異常症、糖尿病などを指摘されたら放置せずに内科・循環器内科を受診しましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓の筋肉に酸素と栄養を送っている「冠動脈」が、動脈硬化によってできた血栓によって詰まり、心筋が壊死する病気です。
発症した際はできるだけ早く病院に搬送し、詰まった血管の血流を再開させる処置をおこなう必要があります。心筋梗塞を防ぐには、動脈硬化を悪化させる高血圧や糖尿病(血糖値スパイクを含む)、脂質異常症などを防いだり治療したりすることが大切です。
代表的な症状は、以下のとおりです。
・突然の締め付けられるような強い胸の痛み
・胸部の圧迫感
・首や腕の痛み
・息苦しさ
・吐き気
当てはまる症状がある場合は、すぐに救急車を呼んでください。専門は循環器科です。
脳梗塞
脳梗塞は、心臓などから飛んできた血栓や動脈硬化によって脳の血管が詰まり、その先の脳細胞が壊死する病気です。心筋梗塞と同様に、血糖値スパイクがもたらす動脈硬化が大きなリスク因子となります。発症から4.5時間以内であれば、t-PAという血栓を溶かす薬を使用します。また、場合によってはカテーテルを使って血栓を取り除く手術をすることもあります。脳梗塞は血管が詰まった部位により症状が異なります。代表的な症状は、以下のとおりです。
・急に手足が動かなくなる
・顔や腕が麻痺して感覚が失われる
・言葉がうまく出てこなくなる
・意識を失う
脳梗塞は、血管が詰まってからどれだけ早く治療を始められるかが、その後の経過を大きく左右します。気になる症状がある場合はすぐに救急車を呼び、専門的な治療のできる脳神経外科を受診しましょう。
「血糖値スパイク」の正しい対処法・改善法は?
ここからは、血糖値スパイクに正しく対処するために、「食事」と「運動」の2つを紹介します。
血糖値スパイクを抑える食事法
血糖値スパイクは、毎日の食事の工夫によって予防・改善できることがあります。
| 工夫 | 血糖への影響 |
|---|---|
| よく噛んでゆっくりと食べる | ・よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べすぎを防げる ・早食いの予防になる ・インスリンの分泌が増え、食後の急激な血糖値上昇を抑えられるという報告もある。 |
| 血糖値を上げにくい食材(低GI食品)を選ぶ | ・血糖値を上げやすい高GI食品(白米・食パン・砂糖・うどんなど)よりも、低GI食品(玄米・全粒粉パン・そばなど)を選ぶ |
| 飲み物は無糖のものを選ぶ | ・食事中は糖質を多く含むジュースよりも、糖分のない麦茶や水などを選ぶ |
| 食べる順番を工夫する | ・血糖値の急激な上昇を防ぐため、「食物繊維」→「タンパク質」→「炭水化物」の順で食べることを意識する |
できるものから、少しずつ取り入れてみてください。
血糖値の急上昇を抑える食べ方ベジファーストとは?
「ベジファースト」とは、食事の最初に野菜(Vegetable)を食べることです。野菜には、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は糖分の吸収を抑える作用があるため、先に食べるとご飯やパンによる食後の急激な血糖値上昇をゆるやかにできるのです。食事の際は、食物繊維の多い野菜サラダやおひたしなどから食べ、その後タンパク質の多い肉や魚、炭水化物の多いご飯やパンという順番で食べるようにします。ただし、ベジファーストを実践しているからといって、炭水化物を好きなだけ食べて良いわけではありません。食事全体のカロリーや糖質の総量に注意したうえで、食べる順番を工夫するようにしましょう。
血糖値スパイクを抑える運動法
血糖値スパイクを抑えるには、適度な運動も大切です。運動によって筋肉への血流が増えると、血液中の糖分はエネルギー源として細胞内に取り込まれます。そのため、インスリンを過剰に分泌しなくても自然に血糖値は下がりやすくなります。また、運動は筋肉の量を増やす効果もあるため、続けることでさらに自然にインスリンの効果を高められる のです。まずはウォーキングや軽いジョギングに、筋力トレーニング(例:スクワット)を組み合わせておこなってみましょう。食後の血糖値が気になる場合は、食後1〜2時間頃に運動するのがおすすめです。
本来は「ややきつい」と感じる程度の運動が望ましいのですが、まずは毎日続けることが大切です。無理のない範囲で食後に散歩をする、エレベーターではなく階段を使うなど、生活に取り入れられるものから少しずつ取り入れてみてください。
「血糖値スパイク」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血糖値スパイク」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
早食い・やけ食いで血糖値スパイクを頻繁に起こすとどんな病気のリスクがありますか?
伊藤 陽子(医師)
早食いやストレスによるやけ食いで血糖値スパイクが繰り返されると、以下のような病気のリスクが上昇します。
・糖尿病
・動脈硬化
・心筋梗塞、狭心症
・脳梗塞
特に、甘いものや炭水化物、脂っこいものの早食い・やけ食いは、血糖値スパイクが起こりやすいと考えられます。ストレスの解消には、軽い運動や深呼吸、信頼できる人に相談するなども有効です。早食い・やけ食いなどはできるだけ避け、ゆっくりとよく噛んで食べることを心がけてください。
食後の血糖値スパイクを予防する食べ方のコツを教えてください。
伊藤 陽子(医師)
食後の血糖値スパイクを予防するには、以下の食べ方を心がけてみましょう。
・「ベジファースト」を徹底する:食事の最初はパンやご飯ではなく、食物繊維の多い野菜から食べ始めましょう
・ゆっくりとよく噛んで食べる:血糖値スパイクを起こしやすい早食いを防ぎ、満腹感も得やすくなります
・血糖値の上がりにくい食材を選ぶ:血糖値を上げやすい白米や食パンよりも、玄米や全粒粉パンを選びましょう
できることから、少しずつおこなっていきましょう。
血糖値スパイクの眠気は、食べてからどのくらいで襲ってきますか?
伊藤 陽子(医師)
食事内容によっても異なりますが、一般的には食事を始めてから30分から2時間後の間に強い眠気を感じる方が多いとされています。この時間帯は、食事によって血糖値が上昇し、その後インスリンの作用で急降下するタイミングです。特に、炭水化物中心の昼食を摂った後、午後の仕事に支障が出るほどの眠気に襲われる場合は、血糖値スパイクを疑ってもよいでしょう。
血糖値スパイクの眠気は我慢したほうが良いですか?
伊藤 陽子(医師)
眠気を無理に我慢して、つらい思いをする必要はありません。炭水化物中心の食事の後に強い眠気がある際は、以下のような方法を試してみましょう。
・散歩やウォーキング、ジョギングなどをして軽く体を動かす
・眠気が強く、つらい場合は15~20分の仮眠をとる
ただし、これらの方法で一時的に眠気が改善しても、同じ食生活を続ければ血管へのダメージは蓄積します。糖尿病への移行や悪化、動脈硬化などのリスクを防ぐために、食事の種類や量、食べ方などもぜひ見直してみてください。
まとめ 「血糖値スパイク」を疑ったら食生活に気を付けよう!
血糖値スパイクとは、食後の血糖値が急激に上昇し、その後急降下する現象です。一時的には眠気や集中力の低下、イライラなどが起こり、放置すると糖尿病や動脈硬化、将来的には心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気の引き金となる可能性もあります
血糖値スパイクは、会社の健康診断をはじめとする一般的な検査では見つかりにくく、気付かずに放置されているケースも少なくありません。そのため、気になる症状がある場合は食生活に注意を払い、場合によっては内科・糖尿病内科を受診しましょう。
「血糖値スパイク」の異常で考えられる病気
「血糖値スパイク」から医師が考えられる病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内分泌系の病気
血糖値スパイクは、血糖値をコントロールするインスリンの分泌タイミングや量がうまく調整されないことで起こります。放置すると本格的な糖尿病へ移行する可能性も高いため、気になる症状がある場合は一度内科・糖尿病内科を受診するとよいでしょう。
「血糖値スパイク」に似ている症状・関連する症状
「血糖値スパイク」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 眠気
- だるさ
- イライラ
- 発汗
- 動悸
- ほてり
血糖値スパイクが起こると、血糖値の急激な変化によって眠気が出たり、自律神経のバランスが崩れてイライラしたりすることがあります。気になる症状があれば、早めにかかりつけの内科や糖尿病内科で相談してみてください。




