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「骨密度を上げる」可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/10/09
「骨密度を上げる」可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!

骨密度を上げるには?Medical DOC監修医が低下の原因や骨粗しょう症などの病気・効果的な食べ物や注意したい食べ物等を解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

骨密度とは?

骨密度とは、骨の強さを表す指標です。
骨を形成するカルシウム、リンなどのミネラル成分が骨にどれくらい詰まっているかを表しており、骨粗しょう症の診断基準に使われます。
骨は常に形成と破壊を繰り返して代謝を続けていますが、形成より破壊のペースが上回ることで、骨は次第に弱くなっていきます。
骨密度の数値の基準は、若年成人の骨密度の平均値です。
若年成人の具体的な年代は部位によって異なり、大腿骨で20歳~29歳、腰椎で20歳~44歳です。
この年代の平均値を100%として、80%以上であれば正常、70%~80%だと骨量減少、70%以下で骨粗しょう症と判定されます。
骨密度は男女ともに加齢に伴って減少することが確認されており、高齢者になるほど骨折しやすくなるのはこのためです。
骨密度は男性より女性の方で減少率が高い傾向にあります。
特に、女性の場合は20歳頃が骨密度のピークであり、以降は徐々に骨密度が減少していき、閉経を迎える50歳頃から減少が加速します。

骨密度が低下する原因

女性ホルモンの低下

男性より女性の骨密度の減少が大きい理由に、加齢や閉経による女性ホルモンの低下があります。
女性ホルモンのエストロゲンは、骨の代謝に関わる破骨細胞(古い骨を吸収する役割)と骨芽細胞(新しい骨を作る役割)の両方に作用しています。
閉経前後の50歳頃になるとエストロゲンの分泌が急激に低下し、それまでエストロゲンにより抑えられていた破骨細胞の働きが活発になります。
そのため、破骨細胞による骨吸収が進み、骨量や骨密度が減少すると考えられています。
ホルモンバランスの乱れは内分泌代謝の異常ですので、内科、特に内分泌代謝内科や婦人科を受診してください。

日常的な喫煙や過度の飲酒

喫煙や飲酒の習慣がある方は、そうでない方に比べて骨粗しょう症のリスクが高まります。
まず喫煙ですが、たばこは胃腸の働きを低下させることからカルシウムやビタミンDの吸収を妨げ、また、前項で取り上げたエストロゲンの働きを阻害することが知られています。
ニコチンは血管を収縮させる作用もあるため、血流の低下により骨折してしまった後の回復も遅くなります。
飲酒に関しては、適量であればカルシウムの吸収には影響ありません。
ですが、過度の飲酒が日常的に続くと、肝機能の低下を招きます。
するとビタミンDの活性化が妨げられ、カルシウムの吸収が低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。
また、アルコールの取り過ぎで食事がおろそかになると、低栄養の状態を招き、こちらも骨にとっては好ましくありません。
骨粗しょう症のみならず、病気のリスクを減らすためにも禁煙と適度な飲酒を心がけましょう。

運動不足

運動も骨密度の維持に重要な役割を持っています。
骨に一定の刺激が加わらない状態が続くと、骨形成の際にカルシウムの利用効率が悪くなり、骨が強くなりません。
カルシウムだけを摂取しても、運動による刺激がなければ骨にカルシウムが蓄積されず、骨量が減少します。
この後の項目でも詳しく紹介しますが、骨密度を上げるにはウォーキングなど骨に重力のかかる運動が効果的です。

骨密度が低下すると発症しやすい病気・疾患

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気です。
専門的には、骨の代謝バランスが崩れ、骨破壊が骨形成を上回る状態が続き、骨がもろくなることを指します。
原因として、骨を形成するカルシウムやマグネシウム、カルシウムの吸収を助ける働きのあるビタミンDなど、ビタミン・ミネラル類の不足が挙げられます。
一般的に閉経による女性ホルモンの減少で骨破壊が進むため、高齢女性に多く見られますが、20代~30代の若い世代でも、過度のダイエットが原因での栄養バランスの乱れや、運動不足による骨密度の低下が続くと骨粗しょう症のリスクは高まります。
治療では薬物による治療が中心となります。
骨吸収を抑制する薬、骨形成を促進する薬のほか、ビタミンやホルモンの不足を補う薬が用いられます。
予防のためには自分の骨密度を把握しておくことが重要です。
女性であれば閉経前後、男性は他に骨粗しょう症のリスクを上げる疾患(糖尿病や慢性腎臓病など)がなければ、60代~70代で骨密度検査を受けておくとよいでしょう。
女性は40歳から70歳まで5歳おきに公的検診が受けられますので、お住まいの自治体に確認してみてください。
骨粗しょう症に対応している診療科は、内分泌代謝内科、内科、整形外科です。

骨折

骨折とは、骨に力がかかることによって骨に欠け、ヒビ、へこみが生じる、または完全に折れることを指します。
原因として、転倒や交通事故、スポーツなどで外部から強い衝撃がかかることや、運動などによって同じ箇所に何度も負荷が重なり、骨に疲労が蓄積して耐えられなくなって起こる骨折、また、骨粗しょう症などの病気に由来する骨折があります。
対処や治療の方法は上述の原因や、骨折した部位、重症度によって異なりますが、基本的な考え方としては折れた骨を元の部位に戻して固定し、安静にして再度骨がくっつくのを待ちます。
骨折やその疑いがある場合は整形外科を受診してください。
折れた骨が飛び出ている、出血が激しい、など緊急性が高いと思われる場合はためらわずに救急車を呼んでください。

骨密度を上げる可能性のある生活習慣

適度な運動

適度な運動は骨密度の維持、改善に役立ちます。
骨は負荷がかかると細胞が活性化し、より骨を強くしようする性質があります。
軽い運動でも繰り返し続けることで効果が期待できますので、日常の掃除や買い物といった活動的な習慣を取り入れたり、できる範囲でウォーキングや水泳などの運動を行ったりしてください。

十分な睡眠

睡眠中は成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンと聞くと、思春期に分泌されるイメージがありますが、身長の伸びが止まる成人後も成長ホルモンの分泌は続き、代謝の促進やホルモンバランスの調整など、重要な役割を果たしています。
骨の代謝にも関わっており、アメリカの研究では睡眠時間が5時間以下の人は7時間の人に比べて骨密度が低いというデータが出ています。
睡眠が不足することでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増え、カルシウムの代謝が悪くなり、骨の状態に悪影響を及ぼします。
規則正しい生活は全ての健康の基本ですので、良い睡眠が取れるように意識していきましょう。

強いストレスを感じている

睡眠の項で、寝不足とコルチゾールについて説明しました。
人がストレスを感じると、それに対応するために副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。
コルチゾールには抗炎症作用やストレス時のエネルギー供給など、受けたストレスに対応するために働きます。
一方で、長期間コルチゾールにさらされることで、骨密度の低下を招くことが知られています。
日常的なストレスへの対処は簡単ではありませんが、気分転換、ストレス源から離れる、必要に応じて心療内科を受診するなどの対処を試みてください。

骨密度を上げる可能性の高い食べ物

骨密度を保つために、重要なものはバランスの良い食事です。この中でも骨のもとになるカルシウムやカルシウムの吸収を促すビタミンD、カルシウムを骨にくっつけ、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制するビタミンKといった栄養素は非常に重要です。また、たんぱく質不足は骨密度の低下を悪化させます。これらの栄養素の豊富なおすすめの食材をご紹介します。

乳製品

牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品はカルシウムを豊富に含んでおり、骨密度を維持するために有効な食品です。

魚はカルシウムやたんぱく質のほか、カルシウムの吸収を促すビタミンDを豊富に含んでおり、骨の健康によい食べ物です。
魚肉の中でもサケ、イワシ、サンマなどはビタミンDを多く含むため、意識して摂取することをおすすめします。

緑黄色野菜

緑黄色野菜に多く含まれるビタミンKは、吸収されたカルシウムを骨に取り込む際の助けになります。
野菜の中でもモロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、ブロッコリーはビタミンKの含有量が多い食材です。
日常的な範囲では摂取しすぎの心配もないため、他の食材と合わせて積極的に摂っていきましょう。

大豆製品

豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品はカルシウム、たんぱく質を含むほか、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンを含むため、破骨細胞の働きを緩やかにする効果が期待できます。

海藻類

わかめ、ひじき、昆布などの海藻類はカルシウムやビタミンKを多く含みます。
副菜として他の食材と合わせて摂りやすいため、バランスの良い食事のためにも積極的に摂取していきましょう。

注意したい骨密度を下げる可能性の高い食べ物

骨密度を低下させないために気を付けた方が良い食材について解説いたします。気を付けた方が良い栄養素としては、リンです。リンは骨や歯の材料でもありますが、リンを過剰に摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害します。このため、リンが多い食品は気をつけましょう。

スナック菓子

スナック菓子にはリンや塩分が多く含まれています。
リンはカルシウムの吸収を阻害するおそれがあり、塩分の取り過ぎはカルシウムの排泄を促す作用があります。
日常的に摂取を続けることはあまりおすすめいたしません。

加工肉

ハム、ベーコン、ソーセージなどの加工肉にも、食品添加物としてリンが多く含まれています。
リンには原料由来の有機リンと、添加物としての無機リンがあります。
有機リンに比べて無機リンの方が吸収率が高く、無機リンを含む加工食品を多く摂取していると、血中のリン濃度が高くなり骨密度の低下を招きます。

インスタントラーメン

カップや袋のインスタントラーメンの中華麺に使用されるかんすいにはリンが含まれているものもあります。
スナック菓子や加工肉同様、摂り過ぎは骨密度を低下させる原因となり得ます。

アルコール

ビール、ワイン、日本酒などのアルコール類も、過度に摂取すると肝機能の低下によるビタミンDの活性化を阻害してカルシウムの吸収を妨げるほか、利尿作用によってカルシウムの排出を促し、骨密度の低下につながります。

カフェインを多く含む食品

カフェインの利尿作用がカルシウムの排出を促し、骨密度の低下リスクを高める懸念があります。
海外の研究では、1日あたり800mgを超える量のカフェインを摂取し続けることで腎でのカルシウムの排泄が増加することが分かり、骨粗しょう症のリスクが高まることが示唆されました。
通常、コーヒー1杯(150ml)に含まれるカフェインの量は90mg程度です。
過剰に摂取しなければ特段の心配はないと思われますが、エナジードリンクなど他の高カフェインの飲食物を日常的に摂取している場合は気をつけた方がよいでしょう。

「骨密度を上げるには」についてよくある質問

ここまで骨密度を上げる方法などについて紹介しました。ここでは「骨密度を上げるには」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

一度、低下した骨密度を回復させることはできますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

完全に元の状態に戻すことは難しいですが、改善することは可能です。適切な治療を受け、生活習慣を見直すことによって、骨密度の低下を食い止め、さらに改善することも期待できます。

骨密度はカルシウムの多い食事を摂れば上げることができますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

カルシウムは骨の主成分であり、骨密度を維持するために非常に重要な栄養素ですが、カルシウムだけを摂ればよいという単純な話ではありません。カルシウムのほか、ビタミンD、K、タンパク質、マグネシウムなどの栄養素もバランス良く摂取することに加え、適度な運動で骨に刺激を与え、骨の形成を促すことも必要です。

骨密度が低いままだとどの年代でも骨粗しょう症になる可能性がありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

骨密度はどの年代であっても低い状態が続くと、骨粗しょう症になるリスクが高まります。適切な食生活、運動、生活習慣を意識し、骨の健康を維持して骨粗しょう症の予防に努めましょう。

運動習慣は骨密度が低い人の上昇に効果的ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

運動は骨密度の改善に非常に有効な手段の一つです。しかし、運動の効果を最大限に引き出すためには、適切な運動の種類、強度、頻度を選ぶことが大切です。ご自身の状態に合った運動については専門家への相談をおすすめします。

編集部まとめ 骨密度を上げるにはバランスの良い生活!

年齢とともに骨密度の低下リスクは上がっていきますが、栄養や睡眠、運動の不足などの要因があると、より骨密度の低下を加速させる恐れがあります。
各種栄養素をバランスよく摂取し、適度な運動と十分な睡眠を心掛けることで、心身も骨も健康な状態を維持できます。
ぜひ、本記事を参考にしていただき、丈夫な骨を維持するようにしましょう。

「骨密度」で考えられる病気と特徴

「骨密度」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内分泌内科の病気

血液内科の病気

骨密度の異常が見つかった場合は、必ず医師に相談し、適切な検査を受けて原因を特定することが大切です。

この記事の監修医師