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「尿検査の前日」にしてはいけないことはご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/10/24
「尿検査の前日」にしてはいけないことはご存知ですか?医師が徹底解説!

尿検査の前日に注意すべきことやしてはいけないことを医師が徹底解説

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

尿検査前日に注意すべきこと・してはいけないこと

尿検査は、尿の一部をコップで採取し、提出する検査です。体に侵襲なく行えることができ簡単な検査であるにも関わらず、腎臓病や糖尿病などの病気を発見する事ができます。そのため、健康診断や学校健診などで多く採用されています。皆さんも、今まで何度か尿検査を行ったことがあるのではないでしょうか?この記事では、尿検査を行う時に注意しなければならないこと、してはいけないことなどを解説いたします。

飲み物は2時間前まで

尿検査の直前の飲み物には注意が必要です。特に甘いジュースを摂取することで急激に血糖値が上昇し、尿検査で尿糖が出ることがあります。また、ビタミンCを含む飲み物はビタミンCの影響により、尿検査で潜血が偽陰性となり正確に判断できなくなることがあります。このように、ジュースなどのカロリーのある飲み物を2時間前からは飲まないようにしましょう。
しかし、真夏で汗をかき、喉が渇いた時に無理に飲み物を控えると脱水となり、尿検査に影響が出ることもあります。2時間前から直前までは水を少しずつのむのが良いでしょう。

飲酒・アルコールは前日は控える

前日に飲酒することで血糖値が上がり、翌日の尿検査で尿糖が出ることもあります。また、利尿作用があるため、尿が多く出て脱水をきたすこともあります。そのため、アルコールを飲むことで尿検査の結果が正確に出ない可能性があります。前日の飲酒は控えるべきです。

食事は12時間前まで

食事に関しても、食後で血糖値が上がると尿糖が陽性となるためできれば食事は12時間前までに済ませましょう。前日夜に、食事を摂りすぎたり、ラーメンなどの高カロリーの食事、ケーキなどの糖質を摂りすぎると翌日まで血糖値が高い状態が持続して尿糖に影響が出る可能性があります。前日夜は、飲酒をせず、高カロリーの食事を控え、その後はカロリーのない水分のみで過ごしましょう。

飴・ガムも12時間前まで

飴やガムも同様に血糖値をあげます。そのため、たとえ飴やガムでも、尿検査の前には食べないようにしましょう。食事と同様に、12時間前までにしましょう。

お酒・コーヒーは控える

アルコールは血糖値をあげ、尿糖が出やすくなったり、脱水傾向となったりするため控えるべきです。また、コーヒーも糖分が入っているものはアルコール同様に尿糖に影響が出ますし、ブラックコーヒーでもカフェインの影響で利尿作用があり脱水傾向となる可能性があります。コーヒーも控えましょう。カフェインが含まれるお茶(緑茶、紅茶など)は同様の理由で避けた方が良いでしょう。水分は、水もしくはカフェインを含まないお茶を少しずつ取り脱水にならないようにするのがお勧めです。

みかんなどのフルーツやジュースなどビタミンCの摂取に注意する

みかんなどのフルーツやジュースに含まれるビタミンCもサプリメントのビタミンC同様に尿潜血を偽陰性とする可能性があります。尿検査の前2日程度はとらない方が良いでしょう。

サプリメントやビタミン剤の摂取は2日前まで

サプリメントやビタミン剤は中には尿検査に影響があるものもあり、2日程度前までで中止がお勧めです。特にビタミンCのサプリは尿潜血を偽陰性としてしまうため、正確な評価ができなくなります。

前日は睡眠をしっかりとる

睡眠不足や疲れが強い時、体調が悪い時には尿検査で蛋白が陽性となりやすいです。尿検査を受ける際には、十分に睡眠をとり、体調を整えて検査をするようにしてください。

前日の過度な運動は控える

前日に過度な運動を行うと、尿蛋白が出やすくなります。このため、正確な判断ができなくなります。尿検査の前日、当日は過度の運動は控えましょう。

生理時の尿検査は避ける

生理の際には、経血が混ざり潜血が陽性となります。そのため、尿検査での評価ができなくなります。生理の際は尿検査を避けましょう。どうしても検査をするときには、検査する医療機関で確認をしましょう。

尿検査の検査項目と基準値

尿検査の各項目の基準値を示します。参考にしてください。

尿蛋白

尿蛋白基準範囲は(-)です。陽性の場合、腎臓病の可能性があります。運動や風邪など体調が悪い時に陽性となることがあります。

尿糖

尿糖基準範囲は(-)です。陽性の場合、糖尿病の可能性があります。腎性尿糖と言って、腎臓病がある事で尿糖が出やすくなっている可能性もあります。

尿潜血

尿潜血基準範囲は(-)です。陽性の場合、腎臓病、尿路感染症、尿路結石、尿路系の悪性疾患の可能性があります。

尿沈渣

尿沈渣:赤血球4以下/HPF、白血球4以下/HPF、扁平上皮4以下/HPF、硝子円柱(-)
尿沈渣は尿路感染症、腎臓病、尿路結石、尿路系の悪性腫瘍などで異常がでることがあります。腎臓内科もしくは泌尿器科を受診しましょう。

「尿検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「尿検査」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

腎臓病

腎臓病は、蛋白尿や腎臓の形態異常、腎機能の低下が認められる病態の総称です。尿検査で尿蛋白や尿潜血が陽性となった場合、腎臓病がある可能性があります。特に、蛋白尿が多いほど、末期腎不全となる可能性もあり注意が必要です。また、急性腎障害や腎炎でネフローゼ症候群をきたしている場合には早急な治療が必要なこともあり、尿蛋白が陽性と健診で指摘された場合には早めに腎臓内科を受診しましょう。

尿路感染症

尿路感染症は、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路系で起こる感染症の総称です。膀胱炎を起こすと、頻尿、排尿時痛や残尿感をきたし尿は混濁します。尿検査では、白血球や細菌、血尿がみられます。女性で起こりやすいです。膀胱炎は、抗生剤の内服で改善することが多いですが、高熱や背部痛を伴う場合には腎盂腎炎をきたしている可能性があります。この時には、点滴療法や入院治療が必要となることもあります。早急に内科もしくは泌尿器科を受診しましょう。

糖尿病

糖尿病で血糖値が上昇すると、尿検査で尿糖が陽性となります。糖尿病は、初期では自覚症状が出にくいです。しかし、放置するとさまざまな合併症をきたします。そのため、早めの治療と血糖値のコントロールが必要です。尿糖が陽性となった場合には、内科を受診しましょう。糖尿病が進行すると、糖尿病性腎症を合併し、尿検査では尿蛋白が出るようになります。糖尿病性腎症は、末期腎不全、透析導入の原因となり得ます。尿蛋白まで出ている場合には、しっかりと血糖値のコントロールなどの治療を続け、腎機能が悪化しないようにしましょう。

尿路結石

腎臓から膀胱までの尿路にできる石を尿路結石といいます。この石は腎臓で作られ、尿の流れに乗り、腎臓、尿管、膀胱と移動します。この時に、石が引っかかると激痛が起こり、これが結石発作です。尿路を塞いでしまうと、尿の流れが滞り、腎機能が悪化してしまうことがあります。尿検査では、潜血が陽性となる事が多いです。また、尿路感染を合併すると混濁し、白血球がみられることもあります。腰背部痛を伴うことが多く、尿路結石が疑われる場合には、泌尿器科を受診しましょう。

肝臓病

尿検査で尿の色が褐色となり、ウロビリノーゲンが陽性となる場合には肝臓病などで、血液中のビリルビンが上昇している可能性があります。これば、肝臓病や胆嚢炎、胆石など肝・胆道系疾患でみられることが多いです。健康診断で、ウロビリノーゲンが陽性であり、採血検査を行っていない場合には、内科を受診して採血などの精密検査を受けましょう。

尿路系悪性腫瘍

尿検査で潜血がみられる場合には、腎臓から膀胱までの尿路で悪性腫瘍がある可能性があります。腎がんや膀胱がんなどでは、がんの表面から出血することで尿に血が混ざることがあります。症状が分かりにくいことが多いですが、出血量が多いと肉眼的血尿をきたすこともあります。尿潜血のみ陽性である場合には、尿路系の悪性腫瘍の可能性も考え、泌尿器科を受診しましょう。

「尿検査の前日」についてよくある質問

ここまで尿検査の前日について紹介しました。ここでは「尿検査の前日」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

前日の尿や2日前の尿を提出しても良いでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

前日や2日前の古い尿では正確な検査ができません。必ず当日の尿で検査をしましょう。

服薬している場合はどうしたら良いでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

基本的には通常通り内服をして問題ありません。一部の薬に関しては尿検査に影響するものもありますので、必ず検査をする医療機関に申告しましょう。可能であれば、ビタミンCは尿潜血が偽陰性となってしまうため前日から内服しないようにしましょう。そのほかの薬に関して、心配であれば医療機関に確認をしましょう。

編集部まとめ 尿検査で異常があったら、腎臓内科・泌尿器科を受診しよう!

尿検査は、簡単に体に負担なくできる検査であるため学校健診や健康診断などで行われることが多いです。尿検査は軽度異常があっても、体調の変化がないことが多く放置する方も多くみられます。しかし、腎臓病や糖尿病、悪性疾患などの初期の症状の可能性もあり異常がみられた場合には、必ず内科もしくは泌尿器科の受診が勧められます。腎臓は症状が出にくい臓器ですが、一度悪化すると改善しづらい臓器でもあります。このため、早期に発見して、治療をすることが非常に重要です。尿検査の異常を放置せず、必ず内科もしくは泌尿器科を受診しましょう。

「尿検査」の異常で考えられる病気

「尿検査」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腎・泌尿器科の病気

内分泌科の病気

消化器科の病気

  • 胆道系疾患(胆石、胆のう炎など)

尿検査だけでも、さまざまな疾患の異常を調べることができます。尿検査で異常がある場合には、そのまま放置せず、必ず内科もしくは泌尿器科を受診しましょう。

この記事の監修医師