「尿酸値」とは?下げる方法や病気のリスクなど医師が徹底解説!
尿酸値とは?Medical DOC監修医が健康診断・尿検査の尿酸値の見方や基準値・高い場合の主な原因と病気のリスク・下げるための対処法などを解説します。
監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
尿酸値とは?健康診断で尿酸値の異常を指摘されたら
尿酸とは、細胞内の核に含まれるプリン体が分解される際に生じる老廃物です。
尿酸そのものの役割としては、抗酸化物質として生理的に重要である、という意見もありますが、実際には人体に与える役割は現時点でははっきりしていないようです。
尿酸値の検査方法やセルフチェック法は?
尿酸値は、血液検査でチェックします。
尿酸値が高いだけでは自覚症状はありませんが、進行すると痛風発作が起こったり、尿路結石を生じて痛みが出たりします。
高尿酸血症は、それ自体には自覚症状がなく、健康診断などで指摘されてから初めてわかるということも多いので、定期的に健康診断でチェックをしていくことが大切です。
尿酸値が高いとどうなる?
尿酸値が高い原因としては、遺伝子的な要因と、食事・飲酒・運動などの生活習慣を含む環境要因の2つがあります。
尿酸値が高くなると、結晶となった尿酸が関節・足先や耳たぶなどにたまっていきます。そしてその部分に炎症が起こり、痛風発作が起こります。痛風発作が起こると炎症の起きている部分に激痛が生じます。
尿路結石が生じ、腰や背中に痛みが起こることもあります。
この他にも、高血圧や慢性腎臓病(CKD)、メタボリックシンドロームなどを引き起こす可能性も考えられています。
取りすぎると尿酸値を高くしてしまう食べ物としては、プリン体が多く含まれる、ビールや魚卵、またレバーや魚の干物、白子などがあります。
健康診断で尿酸値が高いと言われたら?
健康診断で尿酸値が高いと言われた場合は、生活習慣の改善や、医療機関の受診をする必要があります。
尿酸値を下げる方法・治療方法は?
・食べ物、飲み物、運動
尿酸値を下げる方法はレバーや魚卵などプリン体の多い食品ばかりに偏った食事や多量飲酒(特にビールに多く含まれます)を控えることです。
また、軽い有酸素運動も尿酸値を下げるために有効です。
健康診断の「尿酸値」の見方と再検査が必要な「尿酸値」に関する数値・結果
ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
健康診断・尿検査の「尿酸値」の基準値・基準濃度
尿酸値の正常値は、2.1-7.0mg/dLです。
上記の値を基準として、2.0mg/dL以下あるいは7.1-8.9mg/dLは要注意、9.0mg/dL以上は異常値となります。
健康診断で尿酸値がもし「要注意」であった場合は、生活習慣を見直し、食べ過ぎや飲み過ぎ、太り過ぎになっていたら改めるようにしていきましょう。
「異常値」の場合は、精密検査を受ける必要があるので、医療機関を受診するようにしてください。
健康診断・尿検査の「尿酸値」異常値・再検査基準と内容
精密検査では、血液検査と尿検査を行い、尿酸が尿の中に尿酸が排出されているかどうかを調べます。
医療機関を受診するにあたっては、基本的には内科であればどの科でも問題はありませんが、通院を続けやすいクリニック・病院にしましょう。
費用については、健康診断後の精密検査なので、保険診療となります。3割負担の場合は、血液検査と尿検査、初診料などを含めると5,000円程度と考えておくとよいでしょう。
痛風性関節炎または痛風結節がある場合、生活習慣の改善と、薬物治療が行われます。尿酸値を下げる薬としては、尿酸の産生を抑えるものや、尿の中への尿酸排泄を促すものなどがあります。
健康診断・尿検査の「尿酸値」で気をつけたい病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「尿酸値」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
高尿酸血症
高尿酸血症は、プリン体が分解される際に生じる老廃物の尿酸という物質が、過剰に作られるか、もしくは尿中への排泄力が低下することによってバランスが崩れ、血液の中の尿酸の濃度が異常に高まってしまう状態です。
高尿酸血症や痛風・尿路結石は、男性に圧倒的に多い病気です。
一方、女性ホルモンによって尿酸値がコントロールされるため、尿酸値が高い女性は男性に比べれば少ないのですが、女性ホルモンの分泌が低下する閉経後にはやや増加しますので、女性であっても油断は禁物です。
尿酸値は6mg/dL以下にコントロールすることが大切なので、尿酸値の下げ方として、まずは生活習慣の見直しをし、レバーや魚卵などの高プリン体食品をとらないようにし、ビールを含む飲酒を控えること、水分を取ることが大切です。
病院へ行く目安としては、9mg/dLの場合、もしくは、8mg/dL以上でも合併症(腎障害・高血圧・糖尿病・肥満など)を伴うものについては薬物療法を含む早期の治療がすすめられますので、健康診断などで異常を指摘された際には早めに内科への受診をしましょう。
低尿酸血症
血液中の尿酸値が2mg/dL以下の場合に、低尿酸血症と定義されることが多いとされています。
原因としては、尿酸の尿への排泄が増加しているものと、尿酸の産生が低下しているものの2つが考えられています。
尿酸値が低いことそのものについては、特に治療は必要ありませんが、低尿酸血症と尿路結石、運動後の急性腎不全に関連があるという報告もあります。
そのため、健診で尿酸値が低いことがわかった場合は、一度内科を受診するのがよいでしょう。
痛風
痛風は、血液中の尿酸値が過剰になった状態が続き、足の親指の関節などに尿酸の血症が沈着して、関節に激しい炎症が急激に発症する病気のことです。
炎症が起こった箇所は強く腫れ、発作が起こると2~3日は歩けないほどの痛みが続きます。
放置しておくと、同じような発作が繰り返し起こり、症状は次第に悪化していきます。
痛風発作時の治療は、炎症と痛みを抑える薬を内服します。
痛みが出た際には、整形外科などの関節の病気を専門とする科をまずは受診するとよいでしょう。
「尿酸値」が高いときの正しい対処法・改善法は?
尿酸値が高いだけでは、特に症状はないことが多いですが、痛風発作を生じた場合には強い痛みが出ます。
その際には、痛みがある部分を高い位置に上げ冷やすことが応急処置として挙げられます。
痛みがある部分を安静にし、マッサージなどは行わないようにしましょう。そして、できるだけ早く医療機関を受診してください。
一方、尿酸値が高いと健康診断で言われた場合は、食生活と運動習慣の見直しをし、適正体重を目指しましょう。
プリン体を多く含む食品(白子やレバー)は、1食あたり30〜50gにとどめます。
野菜や海藻、きのこ、豆腐類、納豆などはプリン体の量が極めて少ないため、積極的にとりましょう。
尿酸値を下げる飲み物にはお水や無糖の麦茶などがあります。
糖分の多いジュースや牛乳、アルコール飲料では水の代わりにはなりません。
また、コーヒーを飲むと痛風になるリスクが低くなるという報告があり、さらなる研究が期待されます。運動については、激しい運動を行うと尿酸が産生されやすくなり尿酸値が上昇しますので、尿酸がすでに高い人の場合はウォーキングや水泳程度の軽い有酸素性運動にとどめましょう。
尿酸値を下げる効果が報告されているルテオニンという成分を含むサプリメントも市販されています。
こうした成分が含まれるサプリメントを内服する場合は、容量や方法を守るようにしましょう。
「尿酸値」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「尿酸値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
健康診断で尿酸値が高いと指摘された場合、痛風の危険がありますか?
木村 香菜 医師
健康診断で尿酸値が高いという指摘があった場合には、尿酸値が7m/dLを超えているということだと思われます。その場合は、痛風発作が生じる危険があるといえますので、生活習慣改善をまずは行ってみましょう。
尿酸値の危険な数値はいくつですか?10mg/dLは高いですか?
木村 香菜 医師
尿酸値が9.0mg/dLの場合は、症状がなくても薬物治療を考慮するため、10mg/dLという値は「尿酸値がとても高いので、早めに医療機関を受診しましょう」ということになります。
尿酸値を下げる食べ物や飲み物を教えてください。
木村 香菜 医師
尿酸値を下げる食べ物としては、乳製品と大豆食品があると考えられています。例えばヨーグルトなどは、それに含まれるカゼインが尿酸の排泄を増やすことが報告されています。
尿酸値が高い人が注意すべきプリン体が高い食べ物は何がありますか?
木村 香菜 医師
プリン体の多くは、細胞に含まれるDNAとやRNAなどの核酸という物質に由来しているので、プリン体はレバーや白子などの細胞が多く含まれているものに多く含まれています。
そのため、レバーや白子などの食べ過ぎには気をつけましょう。
健康診断以外に尿酸値を自宅でセルフチェックする方法はありますか?
木村 香菜 医師
尿酸値は基本的には血液検査でチェックをしていくため、自宅で簡単にセルフチェックをすることは難しいといえます。
定期的な健康診断を受けるのがよいでしょう。
まとめ 「尿酸値が高い時」は痛風発作に注意!
尿酸値が高くても、自覚症状はほとんどありません。しかし、尿酸値が高い状態が続くと痛風発作が起こり、関節に激しい痛みが生じる可能性があります。
尿酸値の異常は自分で気づきにくいため、健康診断で定期的にチェックする他、普段の生活習慣で暴飲暴食をしないように心がけ、太り過ぎないようにする、などの心がけていくことが大切です。
この記事が参考になれば幸いです。
「尿酸値」の異常で考えられる病気
「尿酸値」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
泌尿器科の病気
尿酸値の異常は痛風発作や尿路結石といった激痛を引き起こす病気の原因になります。健康的な食生活を送り、健康診断で定期的に尿酸値の確認をするよう心掛けましょう。