【闘病】「更年期だから」と自己診断は危険 「抗MOG抗体関連疾患」で看護師自ら体感(1/2ページ)

「抗MOG抗体関連疾患」という自己免疫疾患の脱髄性疾患を抱えている遠藤つばきさん(仮称)。自身も看護師として多くの患者さんのケアを任されてきた遠藤さんならではの視点で、闘病体験を語ってもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年9月取材。

体験者プロフィール:
遠藤つばき(仮称)
1967年生まれ、東京都在住。診断時の職業は看護師。2023年5月に脊髄炎で入院し、その後の検査で抗MOG抗体関連疾患である事が判明。ステロイドパルス療法を5日間、3日間の2クール行い、内服に切り替えて約2週間で退院。左半身の軽い麻痺(感覚障害)、排泄排尿障害が残存し1年間休職後、退職。現在も療養中。

記事監修医師:
上田 雅道(あたまと内科のうえだクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
初めて耳にした病名に戸惑いを隠せなかった

編集部
まず初めに、遠藤さんが抱えている疾患について教えていただけますか?
遠藤さん
抗MOG抗体関連疾患は、「多発性硬化症/視神経脊髄炎」と同じような自己免疫疾患の脱髄性疾患で、再発を繰り返すことが多いと説明されました。まだあまり症例が少なく難病指定にもなっていませんが、「多発性硬化症/視神経脊髄炎」の条件を満たせば、指定も受けられるとのことだったので、申請して難病指定されました。
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
遠藤さん
2023年3月に右手指の冷感や痺れがあり、気になって看護師として働いていた勤務先の脳外科を受診しました。頭部MRIでは所見がなく、「首からきているのかもしれない」とのことで、頸椎MRIを撮影したところ頸髄に影が見られました。そのまま「頸髄腫瘍の疑い」ということで、大学病院の脳外科を紹介されました。
編集部
紹介された病院を受診してどうなったのですか?
遠藤さん
その頃から指先の痺れはなくなっていましたが、左半身(乳房下から)の皮膚感覚異常、背部(肩甲骨下)痛があり、鎮痛剤を服用していました。同時に、神経内科にも紹介され、造影MRI(頭部、頸椎、胸椎、腰椎)、血液検査、髄液検査を行ったところ、「腫瘍」の疑いはなくなって、「脱髄性疾患の疑い」となり、とりあえず「ステロイドパルス療法を行いましょう」と言われ、入院の予定を立てていましたが、その前の5月15日に左麻痺で歩行困難となり緊急入院しました。検査結果が出るまでに時間がかかったので、抗MOG抗体関連疾患と正確な診断がついたのは退院してからでした。
編集部
診断がついたときの心境について教えてください。
遠藤さん
当初は「頸髄腫瘍の疑い」と言われていたので、もしそうであるならば手術をする必要がありますし、予後も悪いと思っていたのでショックでした。でも、検査の結果、頸髄腫瘍ではないとわかりそこはホッとしましたが、「抗MOG抗体関連疾患」は初めて聞く病名だったので、それはそれで「え?」と戸惑いました。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
遠藤さん
MRIの所見では、脱髄性の疾患であろうということだったので、まずはステロイドのパルス療法を行うことになりました。本来であれば、「3日間を1クールとして」ということだったのですが、私の場合は、3日間の予定が5日間に延長されて、1クール終わってまだ麻痺の様子が改善されないので追加で3日間、合計2クール行って改善されたので、ステロイドの内服に切り替えました。現在も予防として、減量しながらステロイド薬を飲んでいます。
職場仲間や家族に支えられた闘病生活

編集部
病に向き合う上で、心の支えになっているものを教えてください。
遠藤さん
看護師をして働いていましたので、復帰を目標に頑張っていました。結果的に、1年間休職して退職したのですが、休職中は職場の仲間がたくさん励ましてくれました。この病気になる前は病棟勤務で夜勤もしていたのですが、少しでも働きやすいようにと、職場の仲間が「夜勤はせず日勤だけやるのはどう?」と提案してくれたこともありました。また、退職後には、別のクリニックを勧めてくれる友人もいました。看護師という仕事をずっとやってきましたし、また復帰したいなとは思っています。
編集部
ご家族も支えくれたのではないですか?
遠藤さん
そうですね。息子は一緒に住んでいますし、娘も近くにいますので、通院に連れて行ってもらったり、重たい買い物を手伝ったりしてくれています。
編集部
これまでを不調を感じてから現在までを振り返って想うことはありますか?
遠藤さん
わりとスムーズに病院を受診できましたし、先生たちにもよくしていただいたので、ちょっとでも違和感を感じたら早めに受診をすることが大切だと、改めて感じています。




