【闘病】働き盛りの女性に迫る破裂の恐怖… 『未破裂脳動脈瘤』発見から前向きな決断へ

今回話を聞いたのは、「未破裂脳動脈瘤(みはれつのうどうみゃくりゅう)」と診断され、カテーテル検査・治療を経験されたヨーコさん(仮称)です。脳動脈瘤はその名称の通り、脳の動脈にこぶができ、破裂してしまうと命にも関わる非常に危険な疾患です。多くの場合では明確な症状が表れにくく、破裂してから見つかるケースも少なくありません。どのようにして発見に至ったのか――。ヨーコさんが疲労と高血圧による潜在的なリスク、日常生活での注意点について語ります。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年10月取材。

体験者プロフィール:
ヨーコさん(仮称)
これまでに経験のないほどのめまいが起こり発見

編集部
初めに、未破裂脳動脈瘤が発見されるまでの経緯について教えてください。
ヨーコさん
2024年4月のある日の仕事中、これまでに経験したことのない強いめまいに襲われました。立っていることはもちろん、ソファに座ることさえままならず、「これはただ事ではない」と思い、急いで病院を受診したのです。耳鼻咽喉科、内科、脳神経外科を受診したものの、すぐには原因が分かりませんでしたね。その後、脳神経外科の検査により、偶然にも7~8mmの未破裂脳動脈瘤が見つかったのです。
編集部
治療について、医師からはどのような説明があったのでしょうか?
ヨーコさん
「めまいと脳動脈瘤は関係ない」と言われました。そして脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血になるリスクについて説明を受けました。一般的に5mmを超える脳動脈瘤は治療適応になるらしく、私の場合も治療の対象でした。「もし破裂したら」と想像するだけで怖いものでしたが、医師から「今すぐ破裂するわけではありません」「手術は急ぐ必要はないので、焦らずゆっくり考えましょう」と言われたこともあって、少し肩の力は抜けました。一方で、心の奥では「いずれ(手術を)選択しなければならない現実」もじわじわと感じていました。
編集部
手術を決断するきっかけになった出来事などはあったのでしょうか?
ヨーコさん
決定的な出来事があったわけではありません。「いずれ手術をしなくてはいけないのであれば、一番若くて体力もある、今治療をスタートさせた方がいい」という考えに自然と至った感じですね。自分の意思を伝えた後、「開頭手術」か「カテーテル手術」のどちらかを決めるために、カテーテル検査をしました。その結果、動脈瘤ができた位置は左目の神経のすぐそばだったため、カテーテル手術が選ばれました。先生いわく、「開頭手術ではアプローチできない位置だった」そうです。どちらの術式にもメリット・デメリットがあるので、選べる状況だったら決断までに時間がかかっていたと思います。
編集部
病気が判明した時の心境について教えてもらえますか?
ヨーコさん
診断を下された瞬間は、ピンときませんでした。「私でもなるくらいだから、もしかして大したことのない病気かな?」と思ったほどです。医師からの説明を聞くうちに少しずつ現実味が増し、命を落とすかもしれない不安と向き合う日々が始まりました。
多忙な日々を送る人ほど自分の健康を意識してほしい

編集部
病気と診断されてから、生活はどのように変化したのでしょうか?
ヨーコさん
日常生活を丁寧に過ごすようになりました。術後は、合併症予防のために服用していた血液をサラサラにする薬の影響で青あざができやすく、一時期は体に配慮して禁酒をし、ささいなことにも気を配る日々を送っていましたね。今は薬も弱いものになり、少しずつ以前の生活に戻りつつあります。病気を通して、生活の中の小さな変化や体のサインに気付くことの大切さを学びました。
編集部
術後の経過についても教えてもらえますか?
ヨーコさん
術後半年の時に右腕からカテーテル検査を受けました。腕からのカテーテル検査は一般的に楽だといわれていますが、私には合わず、その後しばらく右腕に不調が出て、さらには両肩の五十肩や両手首の腱鞘炎(けんしょうえん)と少し負の連鎖が続きました。家事や着替えに不便さはあるものの、近ごろは脳動脈瘤そのものは落ち着いています。週に2〜3回、おいしい料理とお酒を楽しめるまでに回復し、頭痛もなく傷口もきれいになり、「少しずつ自分らしい生活を取り戻している」と言ってもいいかもしれません。術後1年で受けたカテーテル検査も無事に終え、医師からも「年に一度のMRIで経過を確認するだけでいい」と言われています。おかげさまで、現在は週5日のフルタイム勤務をこなし、時には残業もしながら、大好きなスポーツ観戦に出掛けられるほど元気に過ごしています。
編集部
治療中、心の支えになったものは何でしょうか?
ヨーコさん
具体的に支えになったものと言われると、パッと思い付きません。ただ、「破裂する前に見つかった私はラッキー!」と思い込むくらい“前向きさ”を大切にしていました。カテーテル手術を終え、安心して暮らせる未来を想像することで、沈みそうになる気持ちを保てたと思います。
編集部
もし病気になる前の自分に声を掛けられるなら、どのような助言をしますか?
ヨーコさん
「仕事は大事だけど、自分の体と向き合う時間も忘れないで」と伝えたいです。私は血圧が普段から低めで、たまに風邪をひくくらいしか体調の変化はありませんでした。でも数年前、仕事の繁忙期に血圧が200mmHgまで上がる日が続いたことがあります。その時は頭痛もなく、血圧の数値以外には異常がなかったため、特に検査はしませんでした。今思うと、脳内で何かが起きていたのかもしれません。血圧が200mmHg台まで上がるのは、普通だったらあり得ないことですから、普段と違う異変を感じたら早く検査をしてほしいですね。
編集部
脳動脈瘤という病名を知らない人や普段意識していない人に伝えたいことはありますか?
ヨーコさん
脳動脈瘤は、ほかの病気のように発症を知らせる分かりやすい症状がほとんどありません。私も、強いめまいがなければ脳を検査しようと思わなかったでしょう。破裂してしまうと命に関わる上に、仮に命を落とさずに済んだとしても、その後が大変です。この記事を見た皆さんには、できれば一度脳ドックを受けてもらい、安心を手に入れてほしいと思います。万が一、脳動脈瘤が見つかっても、医師と一緒に前を向いて治療に取り組めば、きっと大丈夫なはずです。
編集部
同じ病気で悩む人へのエールをお願いします。
ヨーコさん
私は脳動脈瘤の治療のために、カテーテル検査と治療を受けました。同じ症状で悩んでいる人の中には、「カテーテルを体に入れて治療するのは不安だ」と思う人も少なくないかもしれません。でも、想像しているよりもずっと怖くはありません。治療を乗り越える鍵は、「医療スタッフとの信頼関係」だと思っています。お互いに「伝え方」を大切にできれば、治療における安心感は大きく変わります!
編集部
医療従事者に望むこと、期待することがあれば教えてください。
ヨーコさん
医療現場はとても忙しいと思いますが、先ほどもお話ししたように、ほんの3秒のアイコンタクトでも、患者さんへ与える安心感は大きく変わると感じました。同時に、言葉は薬にも刃にもなるものです。声のトーンや視線一つを気遣うだけで、患者サイドは心が落ち着き安心できるのです。とても穏やかでいつも安心感を与えてくれる私の担当医には、本当に感謝しています。これからも患者さんの不安を少しでも和らげる……。そんなまなざしや言葉を持つ医療従事者が増えてくれたらうれしいですね。
編集部
最後に、読者の方へ向けてメッセージをお願いします。
ヨーコさん
脳動脈瘤と聞くと、とても大きな病気のように感じて不安になる人が多いかもしれません。でも、私自身は「(病気が)見つかってくれてありがとう」と思うようにしています。繰り返しになりますが、カテーテル治療は皆さんが想像するより、ずっと怖くありません。医師や看護師としっかり話をして信頼関係を築ければ、安心して治療に臨めます。もし同じように悩んでいる人がいたら、どうか一人で抱え込まず、医療スタッフにその気持ちを伝えてください。治療の先には、きっとまた好きなことを楽しめる日常が待っているはずです!
編集後記
未破裂脳動脈瘤を体験し、現在は仕事にも元気で復帰しているヨーコさん。脳動脈瘤は初期症状がほとんどない上に、できる箇所によって表れる症状も変わる厄介な疾患です。造影CT、MRI、MRA(脳血管のMRI画像)など、精密検査を行わなければ発見できない点も治療が遅れやすい理由となっています。定期的な人間ドックに加え、日頃から健康を意識し、血圧も正常範囲になるよう努力を続けていくことが大切です。
本稿には特定の医薬品、医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

記事監修医師:
村上 友太
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。


