【闘病】突然、昏睡状態に… “夏バテ”と思った不調はレアケースの「糖尿病」だった(2/2ページ)

「劇症1型糖尿病」をもっと多くの人に知ってもらいたい

編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
宮田さん
私の場合、インスリン分泌がほとんどゼロのため、食事や活動量などによって血糖値の変動が毎日異なり、特に変動幅が大きいときには身体に大きな負担がかかります。例えば、高血糖から低血糖へ、または、低血糖から高血糖へと急激に変動する際には、鎮痛剤が効かないほどの頭痛や疲労感が生じることがあります。そのため、可能な限りこまめに血糖値をチェックし、低血糖に関してはアラームが鳴ったらすぐに対処(糖分補給をし、インスリンポンプの基礎インスリン注入を停止にする) 、高血糖に関しては、少し様子を見つつ必要に応じてインスリンポンプで少量インスリンを追加注入し、対処後に今度は時間差で低血糖ということにならないように気をつけながらの調整をしています
編集部
具体的にどのような自己調整を行っているのでしょうか?
宮田さん
低血糖予防のための糖分補給は、糖の吸収スピードが速いカンロ飴、ラムネ、カルピス、ブドウ糖ゼリードリンクを使って対処しています。また、高血糖時には、インスリンポンプまたは注射でインスリンを追加注入することで対応しています。なるべく早めに対処することで、血糖変動の幅を少しでも小さくするよう心がけています。私の場合、インスリン分泌がゼロであるうえ、ストレスやホルモンバランス、さらにほかの難病の影響も受けるため、インスリン注射による治療では血糖コントロールが困難でした。そのため、2024年10月からインスリンポンプ療法を始めました。この療法により、注射よりも細かい調整が可能となり、食事内容や状況に応じた便利な機能が使えるため、とても助かっています。インスリン療法による影響で、この病気の発症前よりも約15kg体重が増加してしまったため、2025年1月からは余分な糖の排出を促す飲み薬を朝に1錠服薬する治療法を併用しています。
2024年秋_発症前よりも15kg体重増加
発症前
編集部
現在、お仕事はどうしているのでしょうか?
宮田さん
約1カ月間の入院生活を経て、退院後は7カ月間実家で療養していました。その後、2023年3月に社会復帰を果たし、富士宮市で一人暮らしを始めました。一般就労(製造業)でフルタイム勤務をしていましたが、血糖コントロールが難しく、働き続けることが困難でした。2024年5月には、ほかの難病が判明するなどさまざまな理由から、就労が困難となりました。就きたい職があり、転職活動を試みましたが、採用に至ることができませんでした。そのため、2024年10月より障がい者のための就労移行支援事業所に通い始め、現在も利用しています。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
宮田さん
劇症1型糖尿病について、私や周りの人たちがどれだけ理解しているかによって、精神的な面も含め、生きやすさが大きく変わると感じています。この病気が希少であり、認知度が低いことで、周囲の理解を得にくかったり、「糖尿病」への偏見の目で見られていたりする人が多くいると思います。もっと1型糖尿病の理解や配慮が得られる社会になるよう、この病気について発信してもらうことが重要だと考えています。
編集部
読者に向けてのメッセージをお願いします。
宮田さん
「糖尿病」と聞くと、世間一般に知られる2型糖尿病や、幼少期に多く発症する1型糖尿病のイメージが強いと思います。ですが、私のような成人期に多い「劇症1型糖尿病」というものが存在することを知ってほしいと思います。私は昏睡状態から奇跡的に助かりましたが、あと少し遅かったら、間違いなく命を落としていたそうです。なので、この病気の存在を知っていれば助かる命もきっとあると思います。
編集部まとめ
宮田さんは、劇症1型糖尿病の突然の発症により、入院・療養生活を経て、血糖値管理やインスリン治療を日々行いながら生活しています。社会復帰を果たした後も、病気の影響で困難を抱えながら前向きに生きる姿勢は、多くの人に勇気を与えるものです。また、病気に対する理解や偏見をなくすための発信の重要性を感じています。宮田さんの経験とメッセージを通じて、劇症1型糖尿病への認識を深め、支援の輪を広げるきっかけにしてほしいと願っています。

記事監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。



