【闘病】信じて飲んだ関節リウマチ治療薬で『悪性リンパ腫』に。経過観察半年後にステージ3

「夕方になると高熱が出る」——。そんな体の異変が続き、やがて湿疹や体重減少まで表れたPすけさん(仮称)。病院では「長年の持病である関節リウマチの悪化」とされ、原因はなかなか分かりませんでした。転機となったのは、たまたま受けた定期診察。検査の半年後、「メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患悪性リンパ腫」と告げられたPすけさんに、突然のがん宣告、治療、現在の生活などを聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年11月取材。

体験者プロフィール:
Pすけ(仮称)
きっかけは「夕方の高熱」

編集部
最初は、どのような症状が出たのでしょうか?
Pすけ
午後から夕方にかけて高熱が出るようになりました。翌日には熱が下がり、また同じように熱が出るということを2~3日繰り返すことが頻繁にあったんです。しばらくすると、体に湿疹が出るようになり、体重も少しずつ減っていることに気付き、病院に行くことにしました。
編集部
すぐに原因は分かったのでしょうか?
Pすけ
いいえ、すぐには分かりませんでした。不調を訴えても、「持病である関節リウマチの悪化」と判断されて……。希望する検査を受けられないもどかしさから病院を変えてしまったこともあり、医師同士の関係が険悪になって、強く叱られました。
編集部
原因が判明するきっかけは、何だったのでしょうか?
Pすけ
軽い貧血のため、年に1回程度受けていた定期診察が転機となりました。受診した診療科で詳しい検査を行ってもらえることになり、画像検査でリンパ節の腫れが見つかったんです。
何度も訴えたのに、なぜ…?

編集部
リンパ節の腫れが見つかってから、どのように診断と治療が進みましたか?
Pすけ
まずは服用していた薬を中止し、経過観察を行いました。最初は「メトトレキサート(関節リウマチなどに使用される免疫抑制薬)のまれな副作用によるもの」と考えられ、「薬を中止することで治る(寛解する)可能性が高い」と医師から説明を受けたためです。服薬を中止後、2カ月ごとにPET-CT(がん細胞に集まる性質を持つ薬剤を注射し、全身のがんを一度に調べる画像検査)と血液検査で経過を確認しながら半年ほど様子を見ることになりました。
編集部
症状は改善したのでしょうか?
Pすけ
改善しませんでした。6カ月経過しても熱も体重減少も改善が見られず、PET-CTでも腫瘍の消失が確認できませんでした。そのため、腫れている部分の組織を採り、生検(病変の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)を行うことになりました。そこでやっと「メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患悪性リンパ腫」のステージ3という診断が下されたんです。リンパ節の腫れが見つかってから病名の告知に至るまで半年ほどかかり、今思えばこの待機期間が長過ぎたと痛感しています。
編集部
診断名を聞いた時の心境について教えてください。
Pすけ
何度も追加の検査をお願いしてきたのに「なぜ早く気付いてくれなかったの?」と悔しさでいっぱいでした。また、「何かがおかしい」と思いながらも、薬を飲んでいただけの自分に対しても憤りを感じましたね。一方で、原因が分かった安堵や治療に向かう不安もあり、複雑な気持ちでした。
編集部
治療はどのように進められましたか?
Pすけ
診断が確定した後は、化学療法(抗がん剤などの薬物を用いてがん細胞の増殖を抑えたり破壊したりする治療法)を6クール行いました。1クール目は入院で行い、その後は通院で進めました。2クール目から吐き気・嘔吐(おうと)・口内炎・脱毛などの副作用が出ました。
抗がん剤を投与すると副作用で骨髄抑制(白血球などの血液細胞が減少する状態)が起こって感染しやすくなります。感染を防ぐために打つ、白血球の回復を促す注射もつらかったですね。また、骨髄の活動が急に活発になることで起こる腰痛にも苦しめられました。
「自分の治療についてきちんと知っていますか?」心に残る医師の言葉

編集部
闘病を通じて、医療機関や医師に対して感じたことはありますか?
Pすけ
この病気自体が珍しく、治療経験のある医師が少ないことが印象的でした。関節リウマチで通院していた医療機関と、実際に診断してくれた医療機関では診療科も異なり、見解や治療方針が食い違うこともあったようでした。病気を見つけてくれた医師の言葉は、今も深く心に残っています。
編集部
具体的に、どのような言葉を掛けられたのでしょうか?
Pすけ
「自分の治療についてきちんと理解していますか? 薬の注意点について説明を受けましたか? そして、その上で納得して使いましたか?」です。「治療法については知っていましたが、薬の注意点については聞いた記憶がありません」と伝えると、「そこまできちんと説明する医師がいないのかもしれません。代わりに謝ります。申し訳ありません」と言ってくれました。当時は頭が真っ白で気にしていませんでしたが、今考えると誠意ある対応だったと思います。ただ、全ての医療従事者が彼のように誠実なわけではありません。患者さんの訴えに対して嫌な顔をする医師も少なくないと感じることもあり、感情を露骨に出されると、とても悲しい気持ちになります。
編集部
現在の体調と、病気を経て変化した考え方について教えてください。
Pすけ
全6クールの抗がん剤治療は終えましたが、現在も集積(PET-CT検査において、がん細胞などの活動が活発な部位に薬剤が集まっている状態)が見られ、経過観察中です。関節リウマチの痛みも再び出ていて、抗リウマチ薬が使えないため、麻薬成分を含む内服薬で痛みを抑えながら過ごしています。痛みがつらい日は、必要に応じて杖を使うこともあります。
病気を経験してからは「頑張らなきゃいけないときに頑張ればいい」「それ以外のときは、少し力を抜いて、楽に生きていこう」「きっと何とかなる」と思うようになりました。改めて「自分の体は自分で守らなければ」と強く感じています。不調に気付いた時点で、もっと強く追加検査をお願いしていれば……と思うこともあり、当時の選択に少し後悔しています。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
Pすけ
私の患っている「メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患悪性リンパ腫」は、日本のリウマチ患者さん全体では年間100人当たり0.06~0.1人と非常に低い発症率とされています。確率としてはごくまれですが、メトトレキサートを服用している人であれば誰にでも起こり得る病気です。口内炎や胃の不調といったメトトレキサートの副作用はよく知られているものの、リンパ節の腫れについてはあまり注目されず、医師から詳しく説明を受ける機会も少ない気がしています。
全ての薬には副作用のリスクがあるはずです。だからこそ、安易に考えず、必ず医師と相談しながら安全に服用してほしいと思っています。私の経験が、同じように悩む誰かの小さな参考の一つになれば幸いです。
編集後記
Pすけさんの体験は、誰にとってもひとごとではありません。薬の効果や副作用には、個人差があり、どんなに安全性が確立された薬でも“ゼロリスク”ではないからです。Pすけさんの声が病気と向き合う人に届き、勇気につながることを願っています。
本稿には特定の医薬品、医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

記事監修医師:
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

