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【闘病】奔走して診断に3年かかった『膠原病』 “指を切断”の危機と全身の激痛の日々

 公開日:2026/02/06
【闘病】迷走して診断に3年かかった『難病』 全身をむしばむ激痛と“指を切断”する危機…

全身の倦怠感や原因不明の体調不良から医療機関を転々とし、約3年の療養を経て、市村さんは複数の難病の症状が混在する「混合性結合組織病」と診断されました。レイノー症状や指尖潰瘍など強皮症様の症状に苦しみ、特に指がちぎれそうな激痛を伴うレイノー症状がつらいといいます。薬の副作用と闘いながら、主治医やSNSの仲間を心の支えに、難病をコントロールして前向きに生きる市村さんの軌跡を紹介します。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年6月取材。

市村さん

体験者プロフィール
市村 由佳

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滋賀県在住、1980年生まれ。父、母、兄の4人家族。現在は父と同居(母は特別養護老人ホームに入所中、兄は東京在住)。診断時は会社員(一般事務)として勤務。2022年の夏に発症し、医療機関を転々としたのちに混合性結合組織病と診断される。3ヶ月半の入院治療を経て、現在は復職し、月に1度の通院で療養中。

診断が出るまでに約3年

診断が出るまでに約3年

編集部編集部

はじめに混合性結合組織病について教えてください。

市村さん市村さん

混合性結合組織病は、複数の膠原病(全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎・多発性筋炎)にみられる症状が混在して現れる病気です。私の場合は、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症の症状が混在しており、全身の疲労感、倦怠感、レイノー症状、間質性肺炎、食道機能低下、日光過敏症、蝶形紅斑、脱毛、関節痛、皮膚疾患などの症状があります。原因が解明されていないため、難治性の疾患とされています。

編集部編集部

市村さんが感じた最初の体の異変を教えて下さい。

市村さん市村さん

全身の疲労感、倦怠感、喉の強い痛み、胸の圧迫感で過呼吸などが起こりました。食事を摂ることができず、寝られない日が10日ほど続いたため、医療機関を転々としましたが、これといった病気の特定にはいたりませんでした。

編集部編集部

最終的に混合性結合組織病と診断されるまでの経緯を教えて下さい。

市村さん市村さん

その後は、関節痛や朝の体のこわばりが現れ、整形外科から総合病院に紹介状が出て転院し、検査を受けました。結果、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、関節リウマチ、間質性肺炎との診断を受けました。

編集部編集部

すぐには混合性結合組織病と診断されなかったのですね。

市村さん市村さん

そうですね。約3年の療養生活を送っていく中で、レイノー症状、逆流性食道炎、全身性強皮症の指尖(しせん)潰瘍などの症状が次々と現れました。免疫抑制剤を服用していることから風邪を引くことが増え、レントゲンとCT検査を受けたところ、間質性肺炎が悪化していました。そのため、改めてほかの膠原病がないか検査すると、RNP抗体が高く、「混合性結合組織病」と診断されました。

編集部編集部

診断された時、市村さんはどんなお気持ちでしたか?

市村さん市村さん

「混合性結合組織病」という聞いたことのない病名に戸惑いを感じました。しかし、それまでレイノー症状、食道機能低下、指尖潰瘍など、強皮症様の自覚症状が多々見られたので、納得できた気持ちの方が大きかったです。ただ、強皮症には命に関わる重篤症状(肺高血圧症、間質性肺炎)があり、これまでに診断を受けていた間質性肺炎が混合性結合組織病の強皮症に似た症状からくるものと告げられ、先々が不安になり、かなりショックを受けたのを今でも鮮明に覚えています。

編集部編集部

診断時、医師からはどんな説明を受けましたか?

市村さん市村さん

混合性結合組織病として、間質性肺炎、レイノー症状、指尖潰瘍、食道機能低下など、全身性強皮症様の症状が現れていたため、強皮症の症状についてより詳しく説明を受けました。肺高血圧症の有無で心臓エコーの検査が必要であること、間質性肺炎については、一度線維化してしまうと元に戻ることはないため早期治療を勧められました。

編集部編集部

指尖潰瘍についても教えてください。

市村さん市村さん

指尖潰瘍については、レイノー症状で血流が悪くなると傷が潰瘍になってしまうので、常に温めて傷を作らないことが大切だと説明を受けました。指にかなり激痛があり、傷の部分が黒くなっていたので、万が一壊死していた場合、第一関節切断と言われました。

編集部編集部

市村さんにとって、最もつらい症状は何でしたか?

市村さん市村さん

レイノー症状です。夏場はクーラーで冷え、冬場は寒さで手足の指先の感覚がなくなり、指がちぎれそうな激痛が走るのがかなりつらいですね。好きな服装よりも冷えない服装が優先になり、お洒落が楽しめなくなりました。また、お湯などで温めることが多く、そのため乾燥して指先にアカギレができることも頻繁にあり、その傷が化膿してとてつもなく痛くなることもあります。

編集部編集部

自身が受けた混合性結合組織病の治療法を教えてください。

市村さん市村さん

今回の入院は間質性肺炎、指尖潰瘍(写真)の治療で、入院中は2週間の血流改善薬の点滴治療(写真)、ステロイド(初期は1日に60mg)、免疫抑制剤による内服、潰瘍治療の軟膏薬で治療をしました。日常生活では、内服で血流改善薬、ステロイド、免疫抑制剤で症状をコントロールしています。
指尖潰瘍 混合性結合組織病治療

自分に合う治療薬を見つける大変さ

自分に合う治療薬を見つける大変さ

編集部編集部

現在(取材時)も入院して薬の調整などをしているそうですね。

市村さん市村さん

はい。間質性肺炎の治療が必要となり、これまで2年ほど体調をうまくコントロールしてくれていた混合性結合組織病の治療薬を変更せざるを得なくなりました。入院で重等量のステロイドを服用したものの、私の間質性肺炎には効果がなく、免疫抑制剤に切り替えたものの、消化器系の副作用で服用中止となってしまいました。薬は病状をコントロールするには必要なもので、なくてはならないものですが、よいところもあるとともに必ず副作用もあります。患者は副作用に対する苦しみとも闘いながら、療養生活を過ごしているということも知っていただきたいです。

編集部編集部

混合性結合組織病になってとくに困ったことは何でしたか?

市村さん市村さん

日々の体調が安定しないことですね。日によって体調に波があるので、外出や旅行の予定が立てにくくなりました。医療費に関しては、特定医療費の受給でかなり助かっていますが、レイノー症状による冷え対策で何種類ものカイロが大量に必要になるなど、医療費以外の面で患者側に大きな負担があるのも事実です。

編集部編集部

発症前と発症後の生活の変化を教えて下さい。

市村さん市村さん

発症前はスポーツクラブに通ったり、旅行に出掛けたり、かなりアクティブな生活を過ごしていました。しかし、発症後は冷房の冷えがつらくスポーツクラブを退会したり、体調が安定しないことから出かけるのも近場でしか予定を組めなくなったりしています。

病気を理解してコントロールし、共に生きる

病気を理解してコントロールし、共に生きる

編集部編集部

病気に向き合う中で、心の支えは何ですか?

市村さん市村さん

療養生活に寄り添ってくれる主治医の先生の手厚いサポートです。病気のことを分かりやすい言葉で説明をしてくれて、正しく理解できるようになりました。検査結果の数値のみではなく、普段の生活の状況を正確に把握しようとしてくれる親切丁寧な診察や、病気との付き合い方など、様々な角度から助言をしてもらい、私の療養生活の大きな支えになっています。

編集部編集部

同じ病気を抱えている方達との交流もあったそうですね。

市村さん市村さん

はい、膠原病を抱えている仲間は同じ患者として、互いに深い理解があります。普段の日常生活では、なかなか巡り会うことができませんが、オープンチャットを通じて知り合い、お互いに病気への不安や日々の体調のことなどをSNSで発信しています。同じ病状を抱えているからこそ理解できる、大切な存在です。

編集部編集部

現在の体調や生活はどうですか?

市村さん市村さん

定期的な診察や検査で病気の進行を予防して、薬で症状をコントロールしながら過ごしています。間質性肺炎増悪の予防など、感染症には十分に気を付けています。指尖潰瘍は幸いにも指の切断にはいたらず、ほぼ治癒状態にまで回復しました。日常生活、職場生活での不便がなくなり、手のありがたみを噛みしめています。

編集部編集部

これからの医療に期待することはありますか?

市村さん市村さん

膠原病は指定難病も多く、難治性で長年付き合っていかなければなりません。病気との付き合い方も試行錯誤の状態であり、そこに加え広く認知されていないことから、なかなか病気への理解が得られないのも事実です。より膠原病を知ってもらえるきっかけとなる情報発信に期待したいです。膠原病患者は数値だけでは計れない病状に、つらさや悩みを抱えて過ごしています。検査結果だけにとらわれず、QOL(生活の質)を高める治療、患者の心の声に寄り添ってくださる医療奉仕に期待したいです。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

市村さん市村さん

膠原病といっても、症状は百人百様。そして、私のように時の経過と共に病気が合併することもあります。それでも、私は主治医の先生から「膠原病になったからといって絶望しなくていい。ちゃんと病気をコントロールしながら生きられるから! 病気になって辛いこともあったと思うけど、よいこともあったでしょう。」という言葉をかけていただきました。この言葉に、病気と共に生きていく決断をしました。今までできたことが、病気になりできなくなってしまうこともありますが、その中でも、また別の楽しみを見つけながら前向きに生きていきましょう。

編集部まとめ

人によって症状や薬の副作用はさまざまです。市村さんは、病気を正しく理解し、自身の体と向き合うことが大切だと言います。また、医師からの心ある丁寧な対応は患者さんの大きな支えや生きる力になるのだと教えられました。現在も副作用と闘いながら前向きに生きる市村さまの力強いメッセージ、ありがとうございました。

なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

田島 実紅

記事監修医師
田島 実紅(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

この記事の監修医師