認知症の一歩手前! 「MCI(軽度認知障害) 」とは? 診断されたときの対処法や治療法を医師が解説!


記事監修医師:
岩田 淳(東京都健康長寿医療センター 副院長)
目次 -INDEX-
MCI(軽度認知障害) について
MCI(軽度認知障害) は認知症の一歩手前の状態で、MCIの当事者は2012年時点で約400万人と推計されており、認知症への移行率は1年で5~15%と言われています(1)。MCIの原因はさまざまで、アルツハイマー病やレビー小体型認知症などのように進行性の疾患が背景にあると進行しやすくなります。
MCIの当事者は、もの忘れの頻度が増えたり、複雑な動作をこなしにくくなり、日常生活の一部で不便を感じるケースもあります。MCIの当事者全員が認知症に進行するわけではなく(2)、早期に適切な対策を取ることが大切です。この記事では、「MCIは治るのか?」「MCIはどのように診断されるのか?」というよくある疑問に対して回答します。
MCIは治るの?
現在、アルツハイマー病の進行を完全に止める方法や根本的な治療法はありません(1)。しかし、運動や食生活改善などの対策を早くから行うことでMCIから健常な状態に戻る可能性があり、MCIの当事者の約16~41%が健常な状態になったことが報告されています(1,2)。水泳やジョギングなどの有酸素運動に取り組んだり、認知機能向上のための活動を行うことで、認知機能の維持、または認知機能が正常な状態に回復する可能性があります(3)。
MCIにならないために、何歳から気をつけるべきか?
中年期(40~64歳)から対策を行っていくことが大切です。中年期に糖尿病などの生活習慣病がある場合、高齢期に認知症になりやすいとされており(3)、規則的な生活習慣を早めに取り入れることが推奨されます。また、社会的なつながりを持つことも認知機能を維持するためには有効です。
MCIはどのように診断されるの?
問診、神経心理学検査、画像検査などによって診断されます。MCIが疑われる場合は、早めにかかりつけの医師やもの忘れ外来で相談しましょう。
問診について
M問診では、これまでの経過や生活で困っていることなどをご本人やご家族から聞き取ります。認知機能が低下している場合は、ご本人が自分自身の症状に気づいていない場合も多いため、ご家族が付き添うことをお勧めします。
神経心理学検査について
記憶力や判断力を評価する神経心理学検査として、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、時計描画テスト(CDT)などの検査が行われます。
脳の画像検査や必要に応じて採血検査や髄液検査を行う場合もあります。問診や検査の結果をもとに、医師が総合的に診断することが一般的です。
MCI(軽度認知障害) に効果的な薬はあるの?
抗Aβ抗体薬という薬があり、こちらは早期アルツハイマー病の進行を抑制し、点滴投与するおくすりです。投与の対象となるかどうかの医学的判断は、投与を行う医療機関において検査などを行い、総合的に判断します。投与については、担当医や保険薬局の薬剤師から処方薬の内容や副作用について、十分な説明を受けるようにしてください。
自分や家族がMCIと診断されたらどうすればいいの?
ご自身やご家族がMCIと診断された場合は、認知機能を維持するために医師やご家族と相談し、今後の方針を考えましょう。地域包括支援センターや認知症カフェも相談の場として活用できます。
まとめ|軽度認知障害(MCI)は治る? 診療の流れを簡単に解説します
MCIは認知症の前段階の状態を指しますが、現在はアルツハイマー型認知症などの進行を完全に止める方法や根本的な治療法はありません(1)。運動や食事など生活を見直し、社会的な活動へ参加するなど、早期の対策を行うことが有効です。
参考文献
- (1)国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター あたまとからだを元気にするMCIハンドブック p8-11
- (2)日本神経学会監修:認知症疾患診療ガイドライン2017,医学書院.2017,p147
- (3)国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター あたまとからだを元気にするMCIハンドブック p12-23
※提供元:テヲトル「MCI(軽度認知障害) は治るの?MCIはどのように診断されるの?よくある質問に回答します」
https://theotol.soudan-e65.com/treatment/mci-question