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東ちづる、胃潰瘍から「胃がん」の疑い… “過信”が招いた落とし穴とは(2/2ページ)

 公開日:2025/08/04

東ちづる“自分は大丈夫”という過信を後悔。納得の治療に至るまで

東ちづる「あの過信が命取りに」胃がん“納得の治療”に至るまで

渡海義隆先生渡海先生

胃がんの治療方法は、どのようにして決定されたのですか?

東ちづるさん東さん

胃がんが発覚した後、最初は切除手術という話が出ていましたが、レストランでフルコースが食べられなくなるのは嫌だと思い、かなり悩みました。QOLを下げたくないという気持ちが強く、自分の意思で治療方針を決めたいと考え、3回も先生から説明を受け、セカンドオピニオンにも行きました。結果的に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という選択肢に辿り着きました。

渡海義隆先生渡海先生

自分の納得がいく形で治療を進めるという姿勢は、非常に重要です。治療方法を自ら選ぶことで、治療への向き合い方も変わってきます。

東ちづるさん東さん

幸い初期の胃がんでしたので、治療方針を決定するまでに時間がありました。1ヵ月間はとにかく情報を集め、自分と向き合う時間を持ちました。胃がんを経験した知人にインタビューもおこない、最終的に自分で納得のいく治療方法を選択できました。

渡海義隆先生渡海先生

東さんが受けた内視鏡的粘膜下層剥離術は、内視鏡から出した細い電気メスで胃の粘膜を剥がす治療法です。臓器を切除せずに温存できる利点があります。早期の胃がんに対して有効な治療方法で、がんが浅い層にとどまり、リンパ節転移の可能性が極めて低く、かつ一括で切除が可能と判断される場合に選択されます。

東ちづるさん東さん

ほかにはどのような治療方法があるのでしょうか?

渡海義隆先生渡海先生

胃がんの治療方法は主に3つあり、内視鏡治療、外科手術、抗がん剤治療に分かれます。がんの大きさや位置にもよりますが、早期発見ができれば内視鏡治療が基本です。手術には腹腔鏡手術と開腹手術があり、最近はロボット支援手術も増えています。

東ちづるさん東さん

早期に見つけることができれば、治療の負担も少なくて済むのですね。ステージ別の5年生存率についても教えてください。

渡海義隆先生渡海先生

はい。胃がんの5年生存率は、ステージ1で約92.8%、ステージ2で約66.6%、ステージ3で約41.4%、ステージ4では約6.7%と大きく異なります。だからこそ、早期発見と早期治療が極めて重要なのです。東さんは、これまでに検診や胃カメラを受けたことはありますか?

東ちづるさん東さん

以前、十二指腸潰瘍を患った時に胃カメラを受けましたが、それ以外はバリウム検査を何度か受けたことがあるくらいでした。普段から健康だったこともあり、ピロリ菌の検査も今回の胃がん発覚の際に初めて受けました。

渡海義隆先生渡海先生

ピロリ菌検査は若いうちにおこない、陽性であれば除菌することが望ましいです。胃がんの予防という観点から、非常に重要な検査と言われています。

東ちづるさん東さん

今回の体験を通じて、ピロリ菌検査の重要性を痛感しました。検診や胃カメラは、何歳から、どのくらいの頻度で受けるべきなのでしょうか?

渡海義隆先生渡海先生

症状がある場合は、必ず胃カメラを受けてください。胃潰瘍であれば胃薬で改善しますが、改善しない場合は早めに内視鏡検査を受けましょう。50歳を過ぎたら、症状がなくても定期的な検査をおすすめします。ピロリ菌陽性の方は1〜2年に1回、陰性の方でも5年に1回は受けておくと安心です。

東ちづるさん東さん

胃カメラ検査はつらいというイメージを持っている方も多いと思いますが、最近は、つらくない検査に進化していますよね。実際、私もそう感じました。

渡海義隆先生渡海先生

おっしゃる通りで、最近は鎮静剤を使い眠っている間に検査を終える方法が増えています。また、様々な理由で鎮静剤が使用できない場合には、経鼻内視鏡という選択肢もあります。経鼻内視鏡検査では、直径約6mmの細いカメラを鼻から挿入するため、鎮静剤を使用しない経口内視鏡検査よりも楽に受けられるという声も多く聞かれます。

東ちづるさん東さん

私も鎮静剤を使うことを選択して検査を受けました。このような工夫がされていることを、もっと多くの方に知ってほしいです。

渡海義隆先生渡海先生

今振り返ってみて、後悔していることや過去の自分に伝えたいことはありますか?

東ちづるさん東さん

コロナ禍で生活が不規則になったことは、本当に反省しています。家族歴もなく、普段元気だったため「自分は大丈夫」という過信がありました。体調の変化に気づくこと、そして放置せずに受診することの大切さを心から伝えたいです。

渡海義隆先生渡海先生

自分の体調に注意を払い、気になる症状を放置しないことはとても重要ですね。今回のご経験を公表しようと思われたのは、なぜですか?

東ちづるさん東さん

最初は公表するか迷いました。しかし、自分の経験を共有することも、私の役割の一つだと思ったのです。同じような境遇の方とつながれるかもしれないですし、何より検診の大切さを発信することができると考えました。ポジティブな面だけでなく、マイナスな部分も伝えることが私なりのフェアな姿勢だと思っています。

渡海義隆先生渡海先生

医師としても非常に心強いです。胃がんは予防可能ながんでもあり、早期に見つかれば内視鏡治療での完治も可能です。だからこそ、定期的な検診を受けてほしいと強く願っています。

東ちづるさん東さん

今では、毎年誕生月に検診を受けると決めて、自分の身体を大切にするように心がけています。食事や体調管理にも日々気をつけています。健康な人ほど、自分の体の変化に鈍感になりがちです。ほんの小さな違和感を放置しなければ、未来は大きく変えられます。今回の体験を通じて、早期発見・治療の大切さを改めて実感しました。

編集部まとめ

胃潰瘍をきっかけに、偶然見つかった胃がん。その背景には自分に限ってという思い込みと、それを乗り越えて治療に向き合った東さんの姿がありました。胃がんは進行するまで症状が乏しく、見逃されやすいがんでもあります。だからこそ、体調の変化を放置せず、検診やピロリ菌検査の重要性を多くの方に伝えたいという東さんの想いが強く心に残りました。本記事が読者の皆様にとって、早期発見のきっかけとなりましたら幸いです。

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この記事の監修医師