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つらいインフルエンザの症状、型や感染経路を知って効率的に予防しましょう

 更新日:2023/03/27

この記事の監修ドクター:
近藤 正弘 医師(こんどう内科クリニック 院長)

高熱や下痢など、普通の風邪よりもつらい症状に陥りがちなインフルエンザ。
予防接種や普段の生活習慣から、効率的に予防したいですよね。
今回はインフルエンザの予防から、もしかかってしまった場合でも療養中に気を付けたいことまでまとめました。

インフルエンザとは

インフルエンザウイルスの感染によって発症するインフルエンザ。

ひとたび感染してしまうと、一般的な風邪症候群とは明らかに異なる不快な身体症状が起きるのもインフルエンザの特徴であると言えます。

このインフルエンザウイルスは、体内に入ることで喉や呼吸器と言った体の器官へのダメージが大きい流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)であり、世界的な年間の死者数が20~50万人にものぼることで知られている恐ろしい病気となのです。

日本におけるインフルエンザは、特に冬を中心にして爆発的に流行するため季節性の感染症とみなされますが、これは気温と湿度の低い状態を好むインフルエンザウイルスにとって好条件が整っているからにほかならず、一年を通じて気温が高い熱帯地方ではほとんど見られない傾向となっています。

インフルエンザの原因と関連するものについて

インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症であり、現在のところa・b・c・d型という4種類が確認されています。

ヒト同士の感染が確認されていないd型以外の3つの型のうち、いずれかのタイプへの感染が原因となって発症することがわかっており、その年に流行する型の予測が予防や対策にも大きく影響する要素となっています。

ここでは、インフルエンザで気になる3つの型の特徴を見ていきましょう。

a型の特徴

インフルエンザa型は、144もの種類に分かれています。

a型ウイルスは特に変異しやすく、ワクチンの作製が困難なことから対応が後手に回りがちになるなど、世界的な流行と隣り合わせである危険をはらんでいます。

また人間だけでなく豚などの家畜・鳥にも感染することで知られるこの型では、致死率が高いと評判になった「鳥インフルエンザ」「豚インフルエンザ」などの名前も記憶に新しいところでしょう。

このように、何かとクローズアップされるタイプもインフルエンザa型の特徴だと言えます。

a型のインフルエンザは全ての型の中でもっとも早い時期から流行し、その症状も激しいものとなる傾向にあります

特に38℃以上の高熱や肺炎などの合併症・筋肉・関節の痛みなどの症状に加えて、重篤なケースでは脳に重い障害を残す脳炎やインフルエンザ脳症を引き起こしやすいことも危惧されます。

b型の特徴

b型インフルエンザの種類には2種類あり、ウイルスの変異がほとんどみられないことからワクチンも作りやすく、現在の傾向ではa型ほどの大流行が見込まれていないとも考えられているインフルエンザです。

また、従来までは隔年周期で発生が認められる型とされていたb型インフルエンザもここ数年では毎年流行しており、a型との流行度の差はあまり見られなくなっているようです。

a型と大きく異なるの特徴は、感染の対象です。

b型は動物には感染せず人のみに感染するインフルエンザであり、発熱はさほど高くなく下痢や腹痛などの消化器障害が主な症状として報告されています。

c型の特徴

ウイルスの変異もほぼみられず、1種類のみというインフルエンザc型は、季節性ではなく一年を通して感染する可能性のあるインフルエンザです。

これに罹患するのは4歳以下の子どもがほとんどであり、一度発症することにより体に免疫ができるため、完治後に再び感染したとしても一般的な風邪と見分けがつかなくなる、という特徴を持っています。

したがって、大人の多くがそうであるようにすでにc型の免疫を持っている同士で感染には至らず、爆発的なc型インフルエンザの流行の危険性はあまりないと考えることができます。

症状も、ごくわずかに発熱し鼻水が出る程度であるため、これを対象とした予防ワクチンは基本的に不要であることにくわえて、特別な検査キットも存在しないという珍しいスタイルのインフルエンザとなります。

インフルエンザの感染期間と経路

 インフルエンザの感染期間

人と人の間で感染が広まっていく特徴から、インフルエンザが流行する時期になると決まって学校や職場などをいつまで休むべきかという問題が生じます。

国立感染症研究所感染症情報センターが発信している学校保健法に基づくインフルエンザの取り扱いから抜粋すると、次のような内容を知ることができます。

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱したあと2日(幼児にあっては3日)を経過するまで出席停止とする。ただし病状により、学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りではない」

(出典:国立感染症研究所感染症情報センター)

多くの会社もこれに準じており、インフルエンザ発症後の経過観察では解熱後2日経つまでは休養を取るというのが一般的となっているようです。

では、これをも少し現実的な話に置き換えてみましょう。

インフルエンザの潜伏期間は1~4日、平均すると2日間程度と考えられています。

発症前の潜伏期間中は、弱いながらも感染の可能性がゼロではありません。

したがってインフルエンザが流行し始めた時期に疑わしい症状がでたら、その時点で人との接触を極力避けるのが感染拡大を防ぐ最善の方法となります。

しかし実際にそれはほぼ難しいことであり、ウイルスの感染力が増してアッという間に発熱後3日という期間を迎えるてしまうケースも多くみられます。

症状のピークとなるこの頃は特に外出を控え、二次感染を防ぐ目的において人との接触も避けるようにしなければなりません。

では解熱後2日が過ぎ、学校や会社に復帰する時点ではどうかというと、患者本人の症状は治まりウイルスの量も減っていきつつはあるものの、実はまだウイルスの排出が続いている状態となっています。

したがって、激しい咳が出ていなくてもマスクの着用は欠かさない事など、やはり周りへ感染させない配慮が必要となってくるのです。

では、目に見えないインフルエンザウイルスから身を守るために必要な知識として、ウイルスの感染経路について確認してみましょう。

 インフルエンザの感染経路

病原体の感染経路は、一般に「飛沫感染」「接触感染」「空気感染」の3つが考えられます。「このうちインフルエンザは飛沫感染、接触感染によって感染すると考えられています。特に飛沫感染の割合が大きいといわれています。」

飛沫感染というのは、感染者の咳やくしゃみから飛散したウイルスを別の人が鼻や口から吸いこみ、体内に取り入れてしまうことを言います。

インフルエンザの感染者が1回咳をするだけで、飛び散るウイルスの量は約10万個、くしゃみの場合は約200万個もの量が飛散します。

この量は半径1.5メートル以内の人に対する感染の可能性を示唆する数字であり、鼻や口にくわえて時には目の粘膜からも感染してしまうことがわかっています。

また接触感染は、感染した人が自分の咳やくしゃみを直接手で覆った時に付着したウイルスがその後に触れたドアノブや取っ手などに移ることによって、人の手を介して別の人の口や鼻の粘膜から取り込まれてしまうことを指しています。

このように、エチケットとしてつい誰もがしてしまいそうな行為が、かえってインフルエンザの感染を拡大させてしまっているいう例であると言えるでしょう。

インフルエンザの流行期間

インフルエンザは、早い地域で12月の中旬ごろから徐々に感染が疑われる症例がみられるようになります。

その後2月頃にピークを迎えた後、急速に感染枠が縮小し4月中旬にはほぼ全国的にインフルエンザが落ち着く傾向にあります。

日本においてインフルエンザが流行性感冒と言われる理由として、特に湿度との関係が指摘されています。

低温と乾燥を好むインフルエンザウイルスにとって、ちょうど湿度が20%前後にまでなる1月から2月の気候は活動の活発化にとって絶好のシーズンなのです。

飛沫や空気によっても自在に飛び散ることのできるインフルエンザウイルスも、湿度が高く空気中の水分が多く含まれる状態では自由に活動をおこなうことができません。

一方で、空気が乾燥すればするほどウイルスは移動しやすく、さらに人間の粘膜自体も乾燥によってウイルスが侵入しやすい状態となっていることから、この時期のインフルエンザ感染が飛びぬけて多くなる結果につながっているのです。

インフルエンザの症状

インフルエンザは発症する型によっても症状にバラつきがあります。

ただし、発熱などが軽度で緩やかに訪れる風邪との区別は明らかなのがインフルエンザの症状の特徴と言われています。

感染してしまったインフルエンザは、放置することなく適切な処置を施すのが早いほど重症化を防げるため、その症状について正しい知識を学ぶことは非常に大切なことであると言えるでしょう。

ここからは、一般的なインフルエンザの症状とは一体どういうものかについて解説していきます。

頭痛

風邪による発熱の場合では、ボーっとしたり顔が火照るなどの感覚が現れるのが一般的です。これに対してインフルエンザの場合には、痛みを伴う発熱であるという特徴があります。

インフルエンザによる頭痛の原因とされるのは、体にウイルスが侵入したときに分泌される「プロスタグランジン」と呼ばれる痛みを増幅させる作用のある物質です。

プロスタグランジンは発熱によってウイルスの活動を封じるべく働きかけますが、これによって血流が促進されます。

特に頭でプロスタグランジンが分泌されてしまうと、過度の痛みを伴う頭痛となって症状が現れてしまうのです。

インフルエンザで感じる頭痛の正体は、インフルエンザウイルスそのものが引き金ではなく、これを排出しようとして分泌される別の体内物質の影響だということを抑えておくとよいでしょう。

プロスタグランジンの分泌によって引き起こされる頭痛は、一般的な風邪の頭痛とは比較にならないほどの激しい痛みであり、熱が下がった後でもウイルスが完全に体内から無くならない限り続くため適切な備えが肝心となります。

インフルエンザを発症したすべての人に咳の症状がでるとは限りません。

あくまでも、咳はインフルエンザという感染症の症状のひとつであり、患者の年齢や免疫機能の状態、またはそれを引き起こしがちな因子との関係も絡んでいることを頭においておくとよいでしょう。

インフルエンザを発症して現れる咳には、風邪による咳には見られない特徴があります。徐々に咳がひどくなってくる風邪に対し、インフルエンザは発症後1~2日後に咳が出始める傾向にあります。

また、高い熱が下がった後も咳の症状が長引きやすいのがインフルエンザによる咳の特徴であり、発症からすでに2週間以上経過した後も繰り返す咳に悩まされることは珍しくありません。

長引く咳で最も注意しなければならないのは、肺炎などの合併症です。さらにもともと喘息などの持病を抱えている方は、インフルエンザの症状が引き金となって重症化することも考えられます。

もちろん呼吸器に現れるインフルエンザの症状は咳に限らず、鼻水や鼻づまりなどの不快症状も含まれますので、治療の経過とともに呼吸器への症状の出方にも注意しておくことが必要です。

インフルエンザの熱には一般の風邪と見分けるポイントとも言うべき特徴があり、そのひとつが発症から数時間で38度以上の熱に達してしまうことです。

この突発的な発熱により多くの場合はインフルエンザを疑うことにもなりますが、このほかにも38℃以上の発熱状態が3~5日間持続するという傾向もみられます。

また高い発熱に伴う症状として、寒気が止まらない悪寒(おかん)・戦慄(せんりつ)・頭痛・さらには全身を襲う筋肉痛も発熱とともに現れる症状となります。

発熱と同時に感じるこれらの症状は長引く体の倦怠感となって解熱後2週間程度続くこともあり、インフルエンザの回復期にこそ慎重に体の変化についてしっかりと観察する必要があると言えるのです。

感染した人にとっては非常につらい熱の症状も、医療の専門家からは少し違った見立てでとらえられることもあります。

これは、熱の高さより熱の推移や他の症状に注目しているということにあり、特に子供の感染の場合は普段と比べて機嫌はどうか、また意識の混濁などが無いかなど、熱に伴う合併症の危険性を考えた処置やアドバイスをされることもあります。

ご家族は経過について医師にしっかりと伝えつつ、その後の経過観察も丁寧におこなっていく必要があります。

下痢

インフルエンザに感染すると、これまでの症状のほかに消化器系等にも異常をきたすことがわかっています。

成人よりも子どものインフルエンザに現れやすい症状が消化器系のトラブルであり、食欲の低下や吐き気・嘔吐・または下痢などに悩まされるケースが多くみられます。

インフルエンザと消化器系等のトラブルの関連は確実に解明されていないものの、インフルエンザの下痢は一般に発症後5日間の間でみられることが多く、この間に現れる下痢に対して原因とされている仮説もいくつか報告されています。

 消化管の粘膜がインフルエンザに感染してしまう

インフルエンザのウイルスが人の体内の粘膜に定着するためには、シアロ糖鎖という物質が関与しています。

このシアロ糖鎖はもともと消化器系等の粘膜中にも存在するものでもありますが、口や鼻から入ったインフルエンザウイルスが胃酸の流れとともに消化管にたどり着く段階でもともとあったシアロ糖鎖と反応を起こし、消化管の粘膜そのものをインフルエンザウイルスに感染させてしてしまうのではないか?という仮説が唱えられています。

 インフルエンザウイルスによって腸内環境が乱れる

ヒトの腸の中には腸内フローラと呼ばれる、まるで花畑が広がるようにたくさんの良い腸内細菌が集っている場所があります。

インフルエンザウイルスの侵入はこの腸内フローラの働きを乱すとも考えられており、結果的に下痢の症状を引き起こすという説もあります。

 インフルエンザウイルスによって大腸菌の攻撃を受けやすくなる

消化管は、口から入った物を食道から胃へ、小腸から大腸へと順に運ぶ役割を担っており、この働きにはタンパク質の力も大いに影響しています。

インフルエンザウイルスはこの消化管粘膜の表面に存在するタンパク質を変化させる性質を持っているという仮説から、表面タンパク質の変化によって無防備になった消化管粘膜が大腸菌によって攻撃されやすくなり、下痢を引き起こしているのではないかと考える説があります。

インフルエンザに効果的とされる対策

不特定多数の人が介在する職場や学校、またはそういった場所に縁のあるご家庭では、その年に発生するインフルエンザの型の傾向などを考慮しながらいろいろな対策が建てることが重要となります。

ここでは、インフルエンザの効果的な対策として勧められているいくつかの方法をご紹介したいと思います。

予防接種

インフルエンザワクチンの予防接種を受けたからといって、100%罹患しないわけではありません。

インフルエンザが流行する前におこなわれる予防接種は、罹患の確率を減らしつつ罹患しても重症化しないための対策として有効であると言えるでしょう。

現在のインフルエンザワクチンの効果は医学的に立証されており、ウイルス感染に負けない免疫力を高める目的でも多くの医師たちが支持している対策法となります。

しかしこれは即効性が期待できるものではなく、体の免疫機能がインフルエンザに対抗できるようになるまでには接種後2~3週間ほどの時間を必要とします。

さらにその効果も永続的なものではなく、約半年ほどで消滅してしまうようにできています。

したがって、インフルエンザの予防接種をより効果的に受けるためには、その時期やタイミング、またはそれを受けるに見合った年齢や体の状態についての的確な判断が極めて重要となります。

以下に、インフルエンザの予防接種を受ける前に知っておきたいポイントについて記述いたします。

  • 生後6ヶ月以降から接種は可能だが、特に1歳未満の乳幼児への効果は証明されていない。
  • 3歳以上13歳未満の子供の場合は2~4週間の間隔で原則2回の接種が望ましいとされるが、3歳に満たない子供への効果は低く、接種してもそれ以上の年齢の子どもより罹患する傾向が強い。
  • 卵による重度のアレルギーを持つ方、またはアレルギースコアが5以上の方の場合、医療機関によっては接種を控えられることがある。
  • 接種を希望した日に明らかな発熱がある場合は控える
  • 何らかの急性疾患をかけている場合は接種を避ける
  • 妊娠4か月を過ぎた妊婦であればインフルエンザの予防接種は可能である

日常生活における予防法

予防接種のほかにも、医師や専門家が推奨する日常的な予防法がいくつかあります。

  • 帰宅時の手洗い・うがい・アルコール消毒の実施
  • 人ごみの中を避け、必ずマスクを着用する
  • 着用したマスクは使い捨てとし、一日に数回交換することが望ましい
  • 十分な栄養を摂り、睡眠時間が不足しないように注意する
  • 室温20℃以上、湿度50~60%の室内環境を維持する

また、インフルエンザに罹患してしまった方がおこなうエチケット習慣も、新たな感染の拡大を防ぐという意味で予防行為であると言えるでしょう。

もしもインフルエンザにかかってしまったら、次のようなことに注意して行動するよう心がけましょう。

  • 咳やくしゃみが出ている時はマスクを欠かさない
  • ティッシュを常に携帯し、マスクが付けられない時の対策として咳や鼻水をカバーする
  • 咳やくしゃみをするときは周りから1m以上の距離を置く
  • 自宅での休養中は適度な換気を心がける
  • 学校保健法の基準にならい、解熱後2日は家庭で様子をみるようにする

投薬

感染前に対策をおこなう予防接種に対して、発症してから用いられる対策となるのが投薬療法です。

インフルエンザに対して有効に働く薬剤には、カプセル・粉末吸入剤・錠剤などの種類があり、医師や薬剤師のアドバイスを受け自分に合ったタイプの薬剤を選択することを心がけるとよいでしょう。

一般的なインフルエンザの薬物療法には、ノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる抗インフルエンザ薬を用いる「原因療法」と、苦痛を生みだす症状を緩和する目的の投薬をする「対症療法」とがあります。

もっとも広く処方されている抗インフルエンザ薬には「タミフル」「リレンザ」「イナビル」などがあります。

しかし、ウイルスの中でも特に増殖するスピードが速いという特徴を持つインフルエンザの場合には、発症後48時間以内に服用がおこなわれない場合には、これらノイラミニダーゼ阻害薬による原因療法の効果は得られないとされています。

また、発症後の抗インフルエンザ薬の服用タイミングを逃してしまった場合には、その段階で患者さんが抱える不快症状への対処を目的として、一般的な解熱鎮痛薬や抗菌薬・吐き気止めなどが処方されることもあります。

 インフルエンザと解熱剤

インフルエンザは熱との関連が深い感染症です。

医療機関で処方される解熱剤には、乳幼児や妊娠中の方にも安心なカロナールが処方されることが多くみられます。

カロナールは解熱剤の中でも鎮痛効果に優れていることに加えて効き目が速いというメリットがあり、インフルエンザ脳症のリスクがない解熱剤だと言われています。

正確な医師の診断の元で処方される薬剤には服用によって生じるリスクは少ないと考えられますが、ご家庭にある市販薬を自己判断でインフルエンザに用いるのは禁忌であると覚えておきましょう。

 ロキソニンに関する注意点

テレビCMなどでもおなじみのロキソニンは、NSAIDs(エヌセイズ)という種類に属する薬剤であり、非ステロイド系の解熱鎮痛薬とも呼ばれることがあります。

非ステロイド系の解熱鎮痛薬にはバファリンやPL総合顆粒・ボルタレンなども含まれますが、これらはどこの薬局でも取り扱われているため、常備薬としているご家庭も多いことでしょう。

しかしながら、これらの薬剤をインフルエンザに対して用いるのは厳禁であり、危険なインフルエンザ脳症やライ症候群といった病気を引き起こす原因となるうえに、さらなる重症化をまねいてしまうリスクも指摘されている薬剤であることを認識しておく必要があります

どんなにメジャーな市販薬でも、その用法を誤ってしまった場合には命の危険さえ伴うということを心に刻んでおくとよいでしょう。

インフルエンザを正確に判断できるのはやはり専門の医療機関であると考え、できるだけ早期の受診をするように心がけましょう。

ワクチンに関する留意点

効果的な予防法であると考えられながらも、ワクチンの接種にはさまざまな疑問が存在しているようです。

 接種したワクチンの型と流行がマッチしなければ効果はないのか?

インフルエンザの流行は毎年変化し、そのため効果的なワクチンをタイミングよく接種できないケースも出てきます。しかしそれらが全く意味をなさないわけではなく、50%以上の確率で予防効果が認められたとする報告もあります。

 ワクチンを接種することでむしろインフルエンザに罹患する?

インフルエンザのワクチンは不活化ワクチンであるのが特徴です。したがってこれによる感染が認められるものではありません。

爆発的な流行をみせる中で予防接種のタイミングが遅れると、その効力が発揮される前に感染してしまうリスクも大きくなります。

この疑問に関しては特に正すべき要素が強く、ワクチン接種に関する正確な知識の重要性を感じるエピソードとも言えます。

 インフルエンザワクチンは危険な副作用がある?

インフルエンザワクチンの接種による副作用は全くないわけではありません。

注射を受けた部分が赤く腫れたり、一時的には固くしこりのようになるケースもあります。

また痛みに対して弱い方の中には注射部分の疼痛として訴える方もいるようです。

これらはいずれも他のワクチン接種にもみられる副反応で、数日から長くても一週間程度でほとんど気にならない程度に回復するものです。

インフルエンザにかかってしまったら…家庭で気をつけたいこと

予防接種を受け、万全の予防策をとったとしても絶対にインフルエンザを避けられる保証は残念ながらありません。

医師の診断を受けインフルエンザに罹患していることがわかったら、まずは処方されたお薬の用法・両量を守ってきちんと服用することを心がけて下さい。

さらに国の指針で最低限定められた療養の期間は、じっくり体を休めることを最優先に考えましょう。

このほか、インフルエンザ療養中に心がけたい生活のヒントには以下のようなものがあります。

 インフルエンザ療養中の食事

まずは熱によって失われた水分をタップリ補給しましょう。甘いジュースなどは避け、経口補水液やミネラルウォーターなどを選ぶとよいでしょう。

喉通りの良いおかゆや豆腐、もちろん食が進むようであれば淡白な鶏の胸肉などもいいでしょう。

ビタミンやミネラルも失われていますので、野菜もできるだけ摂ることを心がけましょう。

 入浴のタイミング

湿度が高い浴室では家族やパートナーへの感染は低いと言われるのがインフルエンザです。

しかし直接口などに触れるタオル類や、手で触ることの多い小物類は別のものを使用し、触れた部分のアルコール消毒などをしておくと安心です。

入浴タイミングの判断基準として一番重要なのは、熱の具合やお風呂でサッパリできるだけの体力の有無です。

熱が下がり始めてからの入浴の目安は体温が37℃~37.5℃になる頃として、無理のない程度に清潔を心がけてください。

近藤 正弘 医師 こんどう内科クリニック 院長監修ドクターのコメント

インフルエンザは症状が多彩なので、例えば普通の風邪や胃腸風邪など、その他の病気と間違いやすいものです。調子が悪いなと思ったらすぐに医療機関で受診してください。
また、2009年の新型インフルエンザの世界的大流行のように突然インフルエンザの変異が起きて大流行になることもあります。理論上225種類もあるインフルエンザですが、まだまだ型が変異する可能性はあり、型の変異により今までの抗生剤が効かなくなったときには大流行しますので、日々の生活の中でもインフルエンザにかかりにくくなるように、気をつけてお過ごしください。

 

監修ドクター:近藤 正弘 医師 こんどう内科クリニック 院長

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