リストカット跡を消す方法は?市販の塗り薬や塗り薬で消えない場合の対処法・美容外科での治療方法・費用の目安も解説
リストカットをした傷跡が白く目立って気になる、赤く盛り上がってしまったなどの悩みを抱えている人もいるでしょう。
数日後に薄着になる予定があれば焦ってしまうかもしれません。そのような場合には、傷跡を一時的に目立たなくする方法が有効です。
しかし、一時的ではなく根本的な治療を求めるのであれば、美容外科の受診を検討しましょう。
今回は、リストカット跡を消す方法・市販の塗り薬や塗り薬で消えない場合の対処法・美容外科での治療方法・費用の目安も解説します。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
リストカット跡を消す方法は?
リストカットやアームカットをしてしまった傷が残ってしまい後悔している人は少なくありません。
薄着になる夏場・スポーツをする時・プールや温泉を利用する時など、傷跡が目立たないか不安に思う人もいるのではないでしょうか。
傷跡を気にしてファッションやレジャーを楽しめないのは非常につらいことです。そのような状況を避けるために、上手く対処する方法を知ることがおすすめです。
傷跡をできるだけ目立たなくするためには、様々な方法があります。
市販の薬や便利アイテムを使用したり美容外科で治療を行ったりすることで、傷をある程度目立たなくできるので、是非活用してみてください。
市販の塗り薬は効果がある?
リストカットの傷跡を消すために、ドラッグストアなどで手軽に購入できる、市販の塗り薬を使用することを検討している方も多いのではないでしょうか。
市販の塗り薬には、炎症を鎮める成分・ダメージを受けた皮膚組織の修復を促進する成分・皮膚の生まれ変わりを促進する成分などが配合されていることが一般的です。
結論からいうと、完全には消えませんが、傷跡をある程度薄くする効果が期待できるでしょう。
ただし、傷跡ができてから5年や10年経ってしまっている場合には、あまり効果が期待できません。
また、傷の重症度でいえば皮膚表面の浅い部分にできた傷跡には有効ですが、傷が深い場合には十分な効果が期待できないでしょう。
いずれにしても、市販の塗り薬に即効性はありません。効果が出るまで毎日継続して塗り続ける必要があるでしょう。
塗り薬で消えない場合の対処法
では、塗り薬で消えない傷跡にはどのように対処したら良いのでしょうか。ここでは、傷跡が塗り薬では消えない場合の4つの対処法をご紹介します。
リストバンド
リストカットの傷跡を目立たなくする方法として、リストバンドの使用が挙げられます。特にスポーツなどで腕を露出しなければいけない場合には、有効な方法といえるでしょう。
リストバンドには細めのタイプもあれば太めのタイプもあります。そのため、傷跡の露出を避けたい人にはおすすめです。
その他にも、腕に装着することで自然に傷跡を隠せるアイテムがあります。
例えば、ヘアゴム・腕時計などです。また、夏場であれば日焼け防止用のアームカバーなどを活用しても良いでしょう。
コンシーラー
コンシーラーを使って傷跡を一時的に目立たなくすることも対処法の1つです。
このとき、ご自身の皮膚や傷跡の色に適した色を選ぶことが大切です。また、夏場は汗や水などでコンシーラーが落ちやすくなります。
衣服で擦れてカバー力が弱くなってしまうこともあるでしょう。できるだけカバー力があり、水や汗に強いタイプを選んでおくと安心です。
ご自身の肌に合った色のコンシーラーが見つからない場合には、複数の色を混ぜ合わせて、最適な色を調整することもおすすめです。
傷跡用テープ
傷跡を目立たなくする便利なアイテムとして、傷跡用テープというものがあります。具体的には、「ファンデーションテープ」という名前の商品が販売されています。
このテープは傷跡を隠すための「うすだいだい色」のテープで、薄くて目立ちにくいのが特徴です。
また、防水性や粘着力にも優れているため、プールや温泉などで傷跡を隠したい人も安心して使用できます
複数のカラーが展開されているため、ご自身の肌の色に馴染むものを選べば、様々なシーンで活用できるでしょう。
傷跡用クリーム
コンシーラーの他にも、傷跡用に開発されたクリームファンデーションなどを使う方法もあります。
傷跡用のクリームファンデーションは美容目的のコンシーラーとは異なり、水や汗などに強いのが特徴です。
傷跡用のクリームファンデーションであれば、赤みのある傷跡もしっかりカバーできるでしょう。
これまで美容系のコンシーラーやファンデーションでは、満足のいく効果が期待できなかった人も試してみる価値はあるかもしれません。
しかし、大きく盛り上がった傷跡の場合、色は目立たなくできても、凹凸まで隠すことは難しいです。
傷跡の凹凸を目立たなくしたい場合には、美容外科での治療も検討してみてはいかがでしょうか。
リストカット跡は美容外科でも治療ができる
傷跡を隠すアイテムや化粧品を使用しても満足できなかった人には、美容外科での治療という選択肢もあります。ここでは、美容外科での治療法を6つご紹介します。
外用薬治療
手術やレーザー治療をできるだけ行わずにリストカットの傷跡を治療したい人も少なくないでしょう。
そのような場合には、患部の炎症を抑えるステロイド軟膏や皮膚の修復を促進するヘパリン類用物質軟膏などの、外用薬のみで治療する方法があります。
しかし、すべての傷跡が外用薬のみで治療できるわけではありません。外用薬で効果が得られるのは、炎症が比較的軽い傷跡の場合です。
まず、皮膚が赤く盛り上がっている傷跡のことを「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」といいます。
このように赤く盛り上がっていても炎症が比較的軽度であれば、ステロイド軟膏で炎症を抑えられるでしょう。
しかし、炎症が強い「ケロイド」の状態になってしまった場合、塗り薬だけでは治療ができません。傷跡の状態によっては、手術をする必要があります。
切除法
肥厚性瘢痕やケロイドの手術では、盛り上がった傷跡を切除する手術も有効です。切除術では、傷跡部分を切除し、健康な皮膚を縫い合わせる手術を行います。
まず、皮膚組織は皮膚表面から深部に向かって、表皮・真皮・皮膚組織の3層構造になっています。
この切除術では、表皮だけを縫合するのではなく、その下の真皮も縫合する「真皮縫合」という方法が用いられることが一般的です。
表皮だけを縫合する場合、縫い目が離開しないように強く縫合する必要があります。
一方、真皮縫合の場合、内側を縫合しているため表面を強く縫合する必要がありません。これにより、傷口がつっぱって痛くなるのを防ぐ効果が期待できます。
また、ケロイドは体質による影響が大きいといわれています。そのため、ケロイドを切除しただけではさらにケロイドが発生し、大きくなってしまうこともあるのです。
それを防ぐための治療方法として、切除術に加え、放射線治療を併用することが一般的です。
剥削法
剥削法(はくさくほう)は、浅い傷跡に有効な治療方法です。皮膚表面の傷跡の部分のみを削り取ります。
剥削法はタトゥーの除去を行う場合に用いられることも多い治療方法です。
皮膚の表面を機械で削る必要があるため、施術後は一時的に発赤や色素沈着がみられることもあります。
多くの場合、半年もすれば傷跡が目立たなくなるでしょう。剥削法は一度で傷の除去が可能なので、何度も通院するのが難しい人にもおすすめです。
しかし先にも述べましたが、剥削法は深い傷跡には適用できません。この治療方法が行えるかどうかは、美容外科へ相談する必要があります。
再生療法
皮膚の再生医療には様々な種類があります。例えば、免疫細胞から分泌されるサイトカインというタンパク質を皮下に注射する方法です。
サイトカインを皮下に注射することで皮膚の炎症を抑制し、皮膚細胞の再生を促す効果が期待できます。
また、複数の細い針を傷跡に刺し、真皮層にラジオ波を直接照射する方法もあります。
具体的には、真皮に直接熱を与え、一度組織を破壊することにより皮膚の再生を促進させる方法です。この治療方法では、ラジオ波の照射と同時に薬剤の注入も行います。
薬剤の種類は傷跡の状態によって異なりますが、瘢痕組織を溶かす効果・皮膚組織の再生を促す効果・炎症を鎮める効果などがある薬剤を使用することが一般的です。
再生医療の種類は非常に豊富ですので、ご自身に合った治療方法を検討してみてください。
ケナコルト注射
ケナコルト注射とは、ステロイド注射のことです。ステロイド注射には、炎症を抑える効果や組織の盛り上がりを軽減させる効果があります。
副作用としては、注射をした周りの皮膚が薄くなったり血管が拡張して目立つようになったりすることがあります。
また、傷跡周囲の皮膚に薬剤が効いてしまった場合、その部分が凹んでしまうことがあるため注意が必要です。
傷跡の状態によっては注射で痛みを感じることがあるため、治療実績が豊富な専門医に相談することをおすすめします。
レーザー治療
皮膚表面にレーザーを照射し、傷跡を除去する方法もあります。皮膚にレーザーを当てることにより皮膚表面が削られ、傷跡部分を取り除くことが可能です。
レーザー治療と聞くと、傷跡がやけどのように赤くなったり痛くなったりすることを想像する人もいるかもしれません。
しかし、エルビウムヤグレーザーを用いたレーザー治療であれば、照射部位以外へのダメージは与えないため、色素沈着が起こることもほとんどありません。
また、治療は何度も通う必要がなく、1回で終了します。しかし、レーザー治療にも様々な種類があり、傷跡の状態によっても最適な方法は異なります。
まずは一度専門医に相談することがおすすめです。
美容外科での治療に痛みはある?
レーザー治療や手術などで傷跡の治療を行う場合には、麻酔薬を用いることが一般的です。治療の方法にもよりますが、局所麻酔や全身麻酔が適用されます。
局所麻酔の種類については、塗る麻酔やテープ麻酔など様々です。麻酔を用いて施術を行うため、施術中の痛みはある程度軽減できます。
しかし、麻酔の効果が切れた後に手術部位が痛み出すことはあるでしょう。痛みがあまりにも強い場合や痛みが長引いている場合には、かかりつけ医に相談してください。
多くの場合は、時間の経過とともに落ち着いていきます。
また、注射で傷跡を治療する方法として「ケナコルト注射」というステロイドの注射を先にご紹介しましたが、この注射で痛みを伴うことがあります。
ケナコルト注射による治療を効果的に行うためには、医師の確かな技術が必要です。場合によっては、痛みだけでなく皮膚が凹んだ状態になってしまうこともあります。
傷跡の治療を受ける場合には、しっかりと説明を聞き、納得した上で治療を受けることが重要です。
美容外科での治療費用の目安
美容外科で治療を受ける場合、気になるのは治療費用ではないでしょうか。費用については、施術方法や回数によって大きく異なります。
例えば、先のご紹介した再生療法であれば、1回あたり5万円以上かかることもあります。その他、切開法や剥削法では1cmあたり2万円〜3万円かかることもあるでしょう。
治療方法は、治療を受ける医院や傷の状態によって異なります。
また、麻酔の種類などによっても治療費用が大きく変わる可能性がありますので、一度カウンセリングを受けてみることがおすすめです。
リストカット跡で悩んでいるときは
リストカットをしてから、数か月・数年経過してから後悔する人は多いです。時間が経過して赤く盛り上がったケロイドや白い線状の傷跡に悩む人もいます。
どうしても腕を出さなければいけない状況の時は、周囲にできるだけ傷跡が目立たないように…と考えるのは当たり前のことです。
ご自身に合った方法で、傷跡を目立ちにくくすることを心がけてみてはいかがでしょうか。
一時的に隠すことが目的であれば、傷跡用テープやコンシーラーなどを活用するのがおすすめです。
しかし、炎症が強いケロイドという状態になってしまえば、それらで色を目立たなくできても、凹凸が目立つ可能性はあります。
傷跡治療の方法は様々ですので、傷跡が気になる場合には、一度美容外科に相談してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
今回は、リストカット跡を消す方法・傷跡を一時的に目立たなくするための対処法・美容外科での治療方法などを解説しました。
ふとした瞬間に見えてしまう傷跡が、周囲に気付かれていないか気になってしまう人も多いのではないでしょうか。
傷跡が見えないかどうかが常に気になってしまえば、日常生活でのストレスが大きくなったり外出することを避けたりしてしまうことも考えられます。
リストカットにより傷跡は治療により目立たなくすることが可能です。美容外科での治療が不安な人は、傷跡用テープやコンシーラーなどを使う方法も有効でしょう。
傷跡で悩んでいる際には、是非今回ご紹介した方法を検討してみてください。
参考文献
- 傷跡の治療について|一般社団法人 日本創傷外科学会
- ケロイドの電子線照射療法|日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院
- FAQ 創傷治癒 よくあるご相談|NPO法人 創傷治癒センター
- 傷あととは?|慶應義塾大学医学部 形成外科
- リストカットの傷跡を目立たなくする方法|医療法人陽水会 新宿杉江中央クリニック
- 施術後や傷跡にオススメのRSファンデーション|医療法人浩誠会 セタクリニック
- やけど跡・傷跡の修正|医療法人社団 天祐会 皮膚科形成外科グループ
- 切除法・剥削(ハクサク)法|医療法人陽水会 西新宿杉江中央クリニック
- ケナコルト注射のメリット デメリットは?|医療法人秀晄会 コムロ美容外科
- 美容医療ニュース:形成外科専門医だからできるメスを使わない傷跡・手術跡の修正治療|医療法人優肌会 スマイルクリニック
参考サイト