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女性が“恥ずかしがらず”に内視鏡を受けるコツ 「婦人科系疾患」の経験がある場合の注意点【医師解説】

 公開日:2025/09/17

過去に婦人科系の手術や疾患を経験した女性の中には、「お腹に傷があるけど、大腸カメラってできるの?」「内視鏡検査で痛みが出たことがある」と不安を感じている人も少なくありません。では、そういった背景を持つ女性は、どのような内視鏡施設を選ぶと安心できるのでしょうか? そこで、婦人科系の既往がある人こそ知っておきたい内視鏡検査施設の選び方を、梅舟先生(ファミリークリニックひきふね)に解説してもらいました。

梅舟 行胤

監修医師
梅舟 行胤(ファミリークリニックひきふね)

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東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。JR東京総合病院にて初期研修修了。消化器系がんで亡くなる人の多さに愕然とし、東京大学医学部消化器内科に入局。JR東京総合病院、東京警察病院、日本赤十字社医療センター、東京大学医学部附属病院などで5000件以上の内視鏡検査・治療に携わる。2017年5月15日、東京都墨田区に「ファミリークリニックひきふね」を開院。

内視鏡検査の重要性を医師が解説!

内視鏡検査の重要性を医師が解説!

編集部編集部

内視鏡検査では、どんな病気がわかるのでしょうか?

梅舟先生梅舟先生

上部消化管内視鏡(胃カメラ)では、食道・胃・十二指腸にできるポリープや炎症、潰瘍、がんなどを見つけることができます。ピロリ菌感染の有無も確認できます。一方、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)では、大腸ポリープや大腸がん、潰瘍性大腸炎、虚血性腸炎などの腸疾患を調べられます。がんの早期発見だけでなく、慢性的な腹痛や下痢・便秘の原因を探るためにも有効です。検査中にポリープを見つけた場合は、その場で切除できるのも大きなメリットと言えます。

編集部編集部

腹痛などの症状がない場合も検査を受けた方がよいのですか?

梅舟先生梅舟先生

受けた方がよいです。日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで命を落とす時代において、大腸がんは最も患者数が多く、なかでも女性では死亡数が最も多いがんとされています。がんを早期に見つけることができれば、開腹手術せず根治を目指せる可能性が極めて高いのですが、早期には症状がないことがほとんどなのです。症状が出た時点でかなり進行していることが多いため、症状がない段階での内視鏡検査が非常に重要となります。

編集部編集部

何歳くらいから内視鏡検査を受けるべきですか?

梅舟先生梅舟先生

内視鏡検査は、がんの早期発見を目的に、すべての成人に一度は受けてもらいたい検査です。特に胃がんは35歳頃から、大腸がんは45歳頃から発症リスクが上がるため、この年齢になったら、症状がなくても定期的に検査することをおすすめします。また、家族に胃がんや大腸がん、ポリープの既往がある人、便通異常や腹痛などが続いている人、ピロリ菌の感染歴がある人、胃の不調が気になる人は、特に早めに受けておくと安心です。

編集部編集部

内視鏡検査は「痛い」「つらい」というイメージがあります。

梅舟先生梅舟先生

そういうイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし最近は、鎮静剤を使った「無痛内視鏡」もあります。鎮静剤を用いることで眠っている間に検査を終えることができ、患者さんのストレスを大きく軽減できています。

婦人科の既往がある人も内視鏡検査は受けられる? 注意点は?

婦人科の既往がある人も内視鏡検査は受けられる? 注意点は?

編集部編集部

検査にかかる時間や費用を教えてください。

梅舟先生梅舟先生

胃カメラはおよそ5分、大腸カメラは15分ほどで検査自体は終わります。準備や鎮静剤の回復時間を含めると、全体で1〜2時間程度かかると見ておくとよいでしょう。費用は保険適用時の3割負担で、胃カメラは5000〜6000円前後、大腸カメラは1万円程度が目安ですが、病院や処置内容によって変動します。また、1割負担の人や、自費診療の場合も費用は異なります。

編集部編集部

婦人科の病気を経験したことがある女性でも、大腸カメラは受けられますか?

梅舟先生梅舟先生

もちろん受けられます。少し注意が必要なケースとしては、子宮内膜症や子宮筋腫の手術、帝王切開などの既往がある人です。その場合、骨盤内に「癒着」といって、本来独立しているはずの臓器や組織がくっついてしまっていることがあります。

編集部編集部

癒着があるとなぜ注意が必要なのでしょうか?

梅舟先生梅舟先生

たとえば、腸と周りの組織に癒着があると、本来自由に動いているはずの腸が固定されてしまっていて、カメラを進める際に痛みが出たり、技術的に検査・観察が難しくなったりします。そのため、婦人科疾患の既往がある人には、より慎重で経験豊富な内視鏡技術が求められます。

編集部編集部

ほかに、婦人科系疾患の既往がある女性が知っておいた方がよいことはありますか?

梅舟先生梅舟先生

腸に癒着があると、腸の動き(ぜん動運動)がスムーズにいかず、便秘になりやすくなります。そのため、大腸カメラを受ける前に腸をきれいにする処置(下剤を使った前処置)にも工夫が必要になることがあります。

どんなところで内視鏡検査を受けたらよい?

どんなところで内視鏡検査を受けたらよい?

編集部編集部

婦人科系の既往歴がある方が内視鏡検査を受ける際、施設選びで重視すべきポイントを教えてください。

梅舟先生梅舟先生

婦人科系の既往がある人には、無痛でおこなう内視鏡を提供している施設、特に女性患者に配慮した診療体制を整えている医療機関を選んでもらうと安心だと思います。その上で、鎮静剤を使って検査をおこなえば、痛みや不安を軽減できます。また、癒着がある場合は丁寧に進めていく技術が必要になりますので、内視鏡専門医が常駐しているかどうか、医師の経験が豊富かなども確認ポイントです。

編集部編集部

「女性患者に配慮した施設」とは?

梅舟先生梅舟先生

ご自身が安心できる環境かどうかは、検査を受けるうえで非常に大事なポイントだと思います。同性の医師やスタッフが対応している医療機関だと安心感は増すかもしれません。そのため、内視鏡検査をおこなっている医療機関では、女性医師を選択できたり、女性専用時間帯を設けていたりするところもあります。ほかにも、たとえば当院のように「女性専用大腸カメラ施設」を設けているクリニックもあります。

編集部編集部

「女性専用大腸カメラ施設」とは具体的にどのようなものですか?

梅舟先生梅舟先生

検査はもちろんのこと、術前の下剤内服から、検査前の待合室、検査後のリカバリー室まで、全て女性患者さんのみが利用できるという施設です。「大腸カメラは恥ずかしい」と先延ばしにしている人は、このような施設を探してみてはいかがでしょうか。女性のがん死亡者数第一位が「大腸がん」であるにもかかわらず、大腸カメラを受けたことがないという女性が非常に多いのは切実な問題です。

編集部編集部

最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。

梅舟先生梅舟先生

女性に限っていえば、死亡数が最も多いがんが大腸がんですが、早期発見できればほぼ100%の根治が期待できるため、定期的な検査が重要になります。最近の内視鏡検査は、鎮静剤を使って苦痛なく受けることができますが、婦人科系の病気の既往があると検査時に痛みを感じやすいこともあるため、医療機関選びも重要になります。検査の実績が豊富で、経験のある専門医がいるかどうかを確認するとより安心です。また、女性の受診に配慮した体制が整っている医療機関であれば、検査へのハードルもさらに下がるでしょう。口コミなども参考にしながら、自分に合った施設を見つけてください。

編集部まとめ

婦人科疾患の既往がある女性にとって、内視鏡検査は不安が多いものかもしれません。しかし、無痛内視鏡や丁寧な問診、女性医師による対応など、検査のハードルを下げる取り組みは増えています。何より、大腸がんは早期発見で根治が可能な疾患。ご自身の身体を守るためにも、不安を我慢せず、信頼できる施設で相談することが大切です。

医院情報

ファミリークリニックひきふね

ファミリークリニックひきふね
所在地 〒131-0046 墨田区京島1丁目36−1 マークフロントタワー曳舟1F
アクセス 「京成曳舟」駅より徒歩1分
「東武曳舟」駅より徒歩3分
診療科目 内科、消化器内科

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