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顔の「たるみ治療」 さまざまな美容機器による効果・違いと使い分け方を医師が解説

 公開日:2025/12/06
顔の「たるみ治療」 さまざまな美容機器による効果・違いと使い分け方を医師が解説

年齢とともに気になる「顔のたるみ」。近年ではメスを使わずにリフトアップを図る治療法も多く登場していますが、治療法によって得られる効果や適応は異なり、「何を選べばよいかわからない」という人も少なくありません。そこで、たるみ治療に用いられる美容機器の効果や使い分け、選び方のポイントなどについて、医師の名倉直彌先生(アンジークリニック)に、話を聞きました。

名倉 直彌

監修医師
名倉 直彌(アンジークリニック)

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東京医科大学医学部卒業。その後、東京医科大学茨城医療センター勤務、都内の美容クリニックで院長を務める。2021年、東京都渋谷区に「アンジークリニック」を開院。日本外科学会、日本甲状腺外科学会、日本臨床外科学会、日本形成外科学会、日本乳癌学会、日本外傷学会の各会員。

顔のたるみ治療の選択肢とは?

顔のたるみ治療の選択肢とは?

編集部編集部

顔のたるみ治療とは、どのようなものですか?

名倉 直彌先生名倉先生

顔のたるみ治療とは、加齢や皮膚の老化によって下がってきた皮膚や脂肪を引き上げたり、引き締めたりすることで、輪郭やフェイスラインを整える治療のことです。たるみの程度や部位、希望する効果によって治療法は異なり、機器を使う方法から注入、糸リフトや外科的アプローチまで多岐にわたります。

編集部編集部

美容機器を使ったたるみ治療にはどんなものがありますか?

名倉 直彌先生名倉先生

代表的なものに、高密度焦点式超音波(HIFU)、高周波(RF)、レーザー治療などがあります。HIFUはSMAS(スマス)と呼ばれる筋膜に熱を加え、たるみを引き締めます。また、HIFUや高周波(RF)、レーザー治療はいずれも肌の奥に熱を加えてコラーゲンの再構築を促す仕組みで、たるみの引き締めや肌のハリ感アップが期待できます。メスを使わずにできるため、ダウンタイムが少ないのも特徴で、効果は徐々に現れるのが一般的です。

編集部編集部

注射や注入によるたるみ治療にはどんなものがありますか?

名倉 直彌先生名倉先生

注入治療には、ヒアルロン酸やボトックス、コラーゲン製剤などが使われます。たとえばボトックス注射は、筋肉の動きを抑えることで、口角やあご周りの引き下げを防ぎ、すっきりとした印象をつくります。注射のみで行えるため手軽ですが、効果は一時的で、3〜6カ月ごとのメンテナンスが必要です。

編集部編集部

糸リフトはどのような治療ですか?

名倉 直彌先生名倉先生

糸リフトは、皮下に特殊な糸を挿入し、たるんだ組織を物理的に引き上げる治療です。糸は時間とともに吸収されていきますが、コラーゲン生成を促すためハリ感も一定期間は持続します。切らずに行える「準外科的治療」でありながら、即効性と高いリフトアップ効果が期待できます。

美容機器を使った顔のたるみ治療の特徴を教えて!

美容機器を使った顔のたるみ治療の特徴を教えて!

編集部編集部

HIFU(ハイフ)治療の特徴を教えてください。

名倉 直彌先生名倉先生

HIFUは、皮膚の深い層であるSMAS(筋膜層)から、皮膚の浅い層である真皮に超音波で熱を集中させ、たるんだ組織を引き締める治療です。切らずにリフトアップ効果が得られるため、フェイスラインのたるみやあご下の引き締めに向いています。1回でも変化を実感しやすく、半年から1年程度の持続が期待できます。

編集部編集部

高周波(RF)治療とはどのようなものですか?

名倉 直彌先生名倉先生

一般的な高周波(RF)治療は、皮膚の浅い層から中層にかけて熱を加えることで、コラーゲンやエラスチンの生成を促すため、肌のハリや弾力を改善します。また、最新の機械だと、深い脂肪層にエネルギーを加え、少ない痛みで、深い層から浅い層まで脂肪自体を縮めることも可能です。HIFUに比べると効果が出るまではやや時間はかかりますが、肌質改善も期待でき、たるみ予防やエイジングケアに役立ちます。ダウンタイムが少なく、刺激もマイルドです。

編集部編集部

では、レーザーを使ったたるみ治療にはどんな特徴がありますか?

名倉 直彌先生名倉先生

レーザー治療は、皮膚の浅い層に熱を届けてコラーゲンの再生を促すことで、軽度のたるみや小じわ、肌のハリ感の改善に効果的です。レーザーの種類によって作用する深さや目的が異なり、リフトアップというよりは「引き締め」や「肌質の底上げ」に向いています。定期的に続けることで肌全体の若返り効果が期待できます。

それぞれのたるみ治療、違いや選び方を医師が解説!

それぞれのたるみ治療、違いや選び方を医師が解説!

編集部編集部

それぞれのたるみ治療において、どのような違いがありますか?

名倉 直彌先生名倉先生

治療によって効果の現れ方や持続期間、ダウンタイムに大きな違いがあります。HIFUや糸リフトは比較的即効性があり、持続も半年〜1年程度。高周波治療やレーザー治療は回数を重ねることでじわじわと効果が出てきます。注入治療は注入量によって効果に差が出ますが、過剰な施術は不自然になることもあるため注意が必要です。

編集部編集部

美容機器を使った治療に興味があるのですが、どのように使い分けたらよいでしょうか?

名倉 直彌先生名倉先生

美容医療には多くの機器があり、「この人にはこの治療」と一概に言えるものではありません。「肌が柔らかい人には高周波治療が合う」といった傾向はありますが、実際にどうかは専門家に診てもらわなければ判断できません。自分で「これがいい」と決めつけず、信頼できる医療機関で相談し、「あなたにはこの治療が合いそうです」と提案を受け、きちんと説明を聞いた上で選ぶことが大切です。どの治療にしても、熱を加える施術は肌にプラスに働きますので、ぜひ臆せず相談してみてください。

編集部編集部

美容機器を使った顔のたるみ治療について、ほかに知っておいたほうがよいことはありますか?

名倉 直彌先生名倉先生

各美容機器の効果は、あくまで個人差があることを理解しておくことが重要です。また、美容医療のほとんどが自由診療であり、保険が適用されないため、自分にとって無理のない範囲で治療計画を立てることも大切です。

編集部編集部

最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。

名倉 直彌先生名倉先生

「友人がこの治療で綺麗になったから」「インフルエンサーがおすすめしていたから」といった理由で治療を決めて来院される人も少なくありません。ただし、肌の状態や体質は人によって異なります。そのため、きちんとカウンセリングを受け、肌の状態や予算、ダウンタイムの希望に合わせて最適な治療の提案を受けることが大切だと思います。人は年齢とともに必ずたるみが進みます。すべての治療に共通して言えるのは、ある程度たるんでから始めるよりも、少しずつ早めにケアしていく方が将来のためになります。大事なのは「信頼できる医師を選ぶこと」と「早めに治療を始めること」です。

編集部まとめ

顔のたるみ治療にはさまざまな方法があり、それぞれ得意とするアプローチや持続期間が異なります。効果を最大限に得るには、正しい情報と信頼できる医療機関の選択が欠かせません。たるみが気になっている人は、お近くの美容皮膚科や美容外科に相談してみてはいかがでしょうか?

医院情報

アンジークリニック

アンジークリニック
所在地 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti3F
アクセス JR・東京メトロ「渋谷駅」 徒歩4分
診療科目 美容外科、美容皮膚科

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