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「子宮頸がん検診」は何歳から受けるべきかご存じですか? 検診間隔・検査内容・注意点も医師が解説!

 更新日:2025/10/02

子宮頸がんは、20~30代の若年層にも発症するがんとして知られていますが、初期段階ではほとんど自覚症状がないため、定期的な検診が重要とされています。しかし、「いつから検診を受ければいいの?」「ワクチンを接種していたら検診は不要?」など、疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。今回は、子宮頸がん検診の適切な頻度などについて「もぐさ園三沢台診療所」の戸澤先生に解説していただきました。

戸澤 晃子

監修医師
戸澤 晃子(もぐさ園三沢台診療所)

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聖マリアンナ医科大学 医学部卒業。その後、川崎市立川崎病院産婦人科、大和市立病院産婦人科、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室、聖マリアンナ医科大学医学部産婦人科学教室などで経験を積む。2024年より東京都日野市に位置する「もぐさ園三沢台診療所」に勤務。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本臨床細胞学会専門医・教育研修指導医、日本がん治療認定医、日本婦人科腫瘍学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医。

子宮頸がん検診を受ける意義

子宮頸がん検診を受ける意義

編集部編集部

子宮頸がんとは、どのような病気ですか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんで、20~30代の若い女性にも発症する可能性があります。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行しているケースもあるので、定期的な検診がとても重要と言われています。日本のがん検診で、唯一20歳以上を対象にしているのが子宮頸がん検診です。早期に発見できれば完治できるがんなので、ぜひ検診を受けていただきたいです。

編集部編集部

子宮頸がんの原因について教えてください。

戸澤 晃子先生戸澤先生

HPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染が主な原因です。HPVの感染自体は特別なことではないのですが、一部の人ではウイルスが体内に残り、細胞の異形成からがんとなる可能性があります。HPVワクチンを接種することで、このリスクは大幅に下げることができます。ワクチンにはいくつか種類があり、例えば9価ワクチンであれば90%以上予防することが可能です。

編集部編集部

検診では、どのようなことをするのですか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

主に「細胞診」と呼ばれる検査をおこないます。細胞診は、内診で子宮頸部から細胞を採取し、がんやその前段階である異形成の有無を調べる検査です。痛みはほとんどなく、数分で終わる検査です。自治体の検診では、この「細胞診単独検診」のほか、「HPV単独検診」を採用している自治体もあります。こちらも同じように内診をして、おりものを採取してHPVの有無を調べるものです。

子宮頸がん検診を受ける頻度や年齢

子宮頸がん検診を受ける頻度や年齢

編集部編集部

子宮頸がん検診は、何歳から受けるべきですか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

日本では20歳以上の女性に対し、細胞診単独検診は2年に1回(全年齢)、HPV単独検診(30〜60歳)であれば5年に1回の検診が推奨されています(※)。これは国の方針でもあり、20歳は多くの自治体で無料、そのほかの年齢でも数百円~2000円程度の自己負担で受診できます。若年層での罹患が増えていることから、特に20代でも積極的な受診が望まれます。

※HPV単独検診を実施している地域でも20代は細胞診で検査をします

編集部編集部

2年に1回や5年に1回で十分なのですか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

基本的にはその頻度で十分とされていますが、あくまでも20歳の頃から定期的に受診していた人の場合です。長いこと未受診の人や、過去に異形成やHPV陽性の診断を受けたことがある人は、医師の指示に従って年1回や半年ごとに検査をおこなうこともあります。自分のリスクに応じて、適切なタイミングで受診することが大切です。

編集部編集部

HPVワクチンを接種している場合でも検診は必要ですか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

はい、必要です。子宮頸がんの主な原因であるHPVには様々な型があり、HPVワクチンは一部の型を予防できますが、全ての型をカバーしているわけではありません。ワクチンで子宮頸がんを100%防げるわけではないため、ワクチンを接種していても検診を受け続けることが推奨されています。

編集部編集部

妊娠中でも子宮頸がん検診は受けられますか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

妊娠中も検診は可能です。妊婦健診の一環として初期に検査がおこなわれることが一般的です。赤ちゃんへの影響はほとんどないので、安心して検査を受けてほしいと思います。

検診を受けるときに気をつけたいこと

検診を受けるときに気をつけたいこと

編集部編集部

自治体で子宮頸がん検診をおこなっているのですね。

戸澤 晃子先生戸澤先生

そうなのですが、受診率はまだ半分以下です。対象年齢になると自治体から受診券や案内が届くことが多いので、受け取ったら指定の医療機関に予約して、受診券を持参して受診するようにしてください。住民票を移していないとご実家に届いていることもあるようなので、確認してみることをおすすめします。費用負担が軽減されることもあるため、ぜひ活用しましょう。

編集部編集部

検診を受ける上で気をつけることはありますか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

特別な準備は必要ありませんが、生理中は検査を受けられません。また、検査当日は腟洗浄剤の使用や性交渉はなるべく控えてください。なお、性交渉の経験がない場合は、子宮がん検診をしなくても大丈夫です。

編集部編集部

ほかにも、知っておいた方がいいことはありますか?

戸澤 晃子先生戸澤先生

せっかく検診を受けても、受けて終わってしまう人もいらっしゃるようです。検診結果がややわかりにくいというのもあると思いますが、どんなに些細でも「頸部異形成」や「要精密検査」などの結果が出たら、先延ばしせずに医療機関を受診するようにしてください。また、繰り返しにはなりますが、国が推奨している検診の頻度は、「20歳のときからで2年に1回受けている」という前提で定められています。未受診の期間が長い場合はこの限りではないので、「いつか受けよう」ではなく、20歳になったら必ず検診に行くようにしてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

戸澤 晃子先生戸澤先生

職場検診などで自己採取キットを用いるケースもありますが、実際には偽陰性(本当は陽性であるのに陰性と判定される)が多いと報告されており、精度の面からあまり推奨できません。やはり、細胞診単独検診やHPV単独検診といった信頼性の高い方法で受診することをおすすめします。また、20歳の人には子宮頸がん検診の無料クーポンが配布されています。せっかくの制度なので、ぜひ積極的に活用していただきたいと思います。特に20歳になったら、一度は検診を受けることが大切です。

編集部まとめ

子宮頸がんは若年層でも発症リスクがあるがんであり、早期発見のためには定期的な検診が欠かせません。細胞診単独検診やHPV単独検診は、わずか数分で終わる簡単なもので、精度も信頼できるとのことでした。また、ワクチンを接種していても検診は必要なので、定期的に検診を受けて自分の健康を守る第一歩を踏み出しましょう。

医院情報

もぐさ園三沢台診療所

もぐさ園三沢台診療所
所在地 〒191-0032 東京都日野市三沢2-12-13
アクセス 京王線「百草園駅」 徒歩10分
診療科目 内科、婦人科、小児科、皮膚科、外科

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