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子どもの「弱視」は早期発見できる? 大人が気づいてあげる方法とは?【眼科医解説】

 公開日:2025/08/17

子どもの視力は発達の途中にあり、注意深く見守ることがとても大切です。しかし、小さな子どもは自覚症状を人にうまく伝えられないことも多く、異変に気づくのが遅れてしまうケースもあるそうです。そこで、子どもの弱視やその早期発見などについて、「池袋東口アイクリニック」の石塚匡彦先生に詳しく話を聞きました。

石塚 匡彦

監修医師
石塚 匡彦(池袋東口アイクリニック)

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2013年、獨協医科大学医学部医学科卒業。その後、獨協医科大学埼玉医療センター眼科に入局し、眼科診療に従事する。獨協医科大学大学院医学研究科に進学、2022年に修了後、むさしのメディカルクリニック眼科部長を経て、2024年、「池袋東口アイクリニック」を開院、院長となる。医学博士、日本眼科学会専門医。

子どもの視力発達と弱視を医師が解説

子どもの視力発達と弱視を医師が解説

編集部編集部

子どもの視力はどのように発達していくのでしょうか?

石塚 匡彦先生石塚先生

生まれたばかりの赤ちゃんの視力は非常に弱く、成長とともに徐々に発達していきます。一般的には、3歳頃までに視力は急速に伸び、6歳くらいで大人と同じ程度になると言われています。この発達の過程で異常があると、適切な視力に育たないリスクがあるため、早期のチェックが重要です。

編集部編集部

弱視とはどのような状態を指すのですか?

石塚 匡彦先生石塚先生

弱視とは、目自体には大きな異常がないにもかかわらず、視力が正常に発達しなかった状態を指します。斜視や屈折異常(遠視・乱視・近視)が原因となることが多く、適切な時期に発見・治療しないと、視力が十分に発達しないまま固定されてしまう恐れがあります。

編集部編集部

大人が気づいてあげることはできますか?

石塚 匡彦先生石塚先生

弱視の子は、「頻繁に目を細める」「目つきがやや気になる(斜視)」など、周りが見てわかる症状もありますが、症状がなにもない場合も多く見られます。ぜひ、自治体の3歳児健診などで、視力検査をおこなう機会を利用してもらいたいと思います。

編集部編集部

3歳児健診ではどのような視力検査がおこなわれるのですか?

石塚 匡彦先生石塚先生

3歳児健診では、視力検査表を使って視力を測定します。まだ小さなお子さんでもわかりやすいように、絵を指差すタイプの検査などを用いて、両目それぞれの視力を調べます。簡単な方法ですが、弱視や斜視の早期発見に非常に役立ちます。

編集部編集部

健診で異常を指摘されたらすぐに受診した方がいいですか?

石塚 匡彦先生石塚先生

はい。視力の異常が疑われた場合は、できるだけ早く眼科を受診してください。早期に正確な診断を受け、必要に応じた治療を始めることが、将来の視力を守ることにつながります。

弱視にも種類があるってホント?

弱視にも種類があるってホント?

編集部編集部

弱視にはどのような種類があるのでしょうか?

石塚 匡彦先生石塚先生

弱視には、斜視が原因の「斜視弱視」や左右の視力の差から起こる「不同視弱視」など、いくつかの種類があります。

編集部編集部

「斜視弱視」とはどのような状態ですか?

石塚 匡彦先生石塚先生

「斜視」とは、右目と左目が違う方向を向いてしまうことです。これが原因で、片方の目だけ視力の発達が妨げられると「斜視弱視」となります。よい方の目で日常生活が送れてしまうため、本人も周囲も気づきにくく、片目ずつの検査が重要です。

編集部編集部

では「不同視弱視」とは?

石塚 匡彦先生石塚先生

不同視弱視は、左右の視力に差があって、片方の目だけ視力の発達が遅れてしまう状態です。こちらも片目ずつの検査が重要です。

編集部編集部

弱視の原因もさまざまなのですね。

石塚 匡彦先生石塚先生

そうですね。ほかにも強い近視や遠視、乱視が両目にあってピントが合わず、視力の発達がうまくいかなくなる「屈折異常弱視」や「先天性白内障」、眼瞼下垂が原因の「形態覚遮断弱視」などがあります。

早期発見・早期治療のためにできることは?

早期発見・早期治療のためにできることは?

編集部編集部

弱視は自然に治ることもあるのでしょうか?

石塚 匡彦先生石塚先生

弱視は自然に改善することはほとんどありません。視力が発達する大切な時期を逃さないためにも、早期発見と治療がなにより重要です。

編集部編集部

弱視の治療にはどのような方法がありますか?

石塚 匡彦先生石塚先生

弱視の治療は、原因に応じて異なります。たとえば遠視や乱視が原因なら、眼鏡による矯正が基本です。また、症状によっては弱視の視覚訓練などをおこなう場合もあります。繰り返しになりますが、早期に発見し、治療を開始することが重要です。

編集部編集部

治療にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか?

石塚 匡彦先生石塚先生

個人差はありますが、年単位で経過を見ながら治療を続ける必要があることが多いです。根気よく続けることで、改善が期待できます。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

石塚 匡彦先生石塚先生

弱視には、それぞれ異なる原因や仕組みがあるため、正確な診断と適切な治療が欠かせません。お子さんの見え方に不安がある場合は、できるだけ早めに医療機関の受診をおすすめします。また、すでに「弱視」と診断されて治療を受けている人も、気になることがあればセカンドオピニオンを受けてみるのも一つの選択肢だと思います。

編集部まとめ

子どもの視力発達は一生に一度きりの大切なプロセスです。弱視は早期に発見して治療を始めることで、大きく改善が期待できる疾患です。3歳児健診をきっかけに、少しでも気になることがあれば眼科に相談することが大切です。お子さんの未来のためにも、早めの受診を心がけましょう。

医院情報

池袋東口アイクリニック

池袋東口アイクリニック
所在地 〒171-0022 東京都豊島区南池袋1-28-2 池袋パルコ7階
アクセス JR線・西武線・有楽町線・丸の内線「池袋」駅東口より徒歩1分
診療科目 眼科

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