【闘病】”いつもの腰痛”のはずが「急性白血病」になっていた 寝汗に悩んでいたのも…

話を聞いたのは、急性前骨髄球性白血病(急性骨髄性白血病の一種)と診断された京子さん(仮名)。彼女の場合、腰痛と股関節痛が白血病発覚のきっかけになったそうです。日頃から腰痛に悩まされていた京子さんが、どのようにして診断確定に至ったのでしょうか? 詳しく話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年12月取材。

体験者プロフィール:
京子(仮称)
山口県在住。1974年生まれ。2019年7月に急性前骨髄球性白血病が発覚し、化学療法を受ける。現在は3カ月に一度の外来で経過観察をしながら、派遣社員として発症時とは別の派遣先で事務をしている(発症時は営業事務)。
“いつもの”腰痛のはずが、そうではなかった

編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
京子さん
その日はいつもより少し腰の痛みが強いなと思ったのですが、もともと腰痛持ちで坐骨神経痛もあったので、「またか」という感じでやり過ごしていました。しかし、翌日くらいから腰(臀部)に加え、股関節が痛くなり、歩くのも辛くなったため、近隣の整形外科を受診しました。レントゲン、エコー検査をしたところ、エコー検査で少し気になる部分があるとのことで、連携している病院を紹介され、そこでMRIを撮りました。
編集部
紹介先の病院ではどのような結果となったのですか?
京子さん
結果ははっきりせず、「筋肉の炎症かな」と言われ、一通りの診察後「炎症反応だけ見ておきましょう」という先生の判断で、血液検査を実施しました。数日後に結果を聞きに来るようにとのことで、その日は鎮痛剤の飲み薬と湿布を処方されました。とりあえず薬で症状は徐々に改善していました。
編集部
その血液検査の結果はどうでしたか?
京子さん
血液検査の結果で骨髄の病気の可能性があると告げられ、総合病院を紹介してもらい、改めて血液検査を受けました。そして、初めて骨髄検査を受けました。結果は3日後という話でしたが、その日のうちに病院から連絡があり、「明日家族を連れて来てください」と言われました。
編集部
そこではどのような説明があったのでしょうか?
京子さん
「白血病の疑いがありますが、白血病にも種類があり、詳しい型などは大学病院を紹介するので、そちらで検査をして治療を受けて下さい」と言われ、最終的に急性前骨髄球性白血病(APL、FAB分類のM3)と診断されました。
編集部
自覚症状はあったのでしょうか?
京子さん
腰痛(臀部)、股関節痛がありました。ただ、振り返ってみると、診断の2カ月前に我慢できない背部痛があり、救急を受診したことがありました。また、1カ月前には、今までにはない多量の月経の出血がありました。今となっては、腰痛や背部痛は白血病細胞が骨髄や骨組織内に浸潤していたのかなと思います。月経に関しては、血小板が少なくなっていたからだというのがわかりました。またその頃、寝汗をかいていた気がします。総合病院へ行った時には、38℃の熱があったのですが、夏場の暑い時期だったので、熱が出ていたことも病院で体温を計るまで気がつきませんでした。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明があったのでしょうか?
京子さん
入院は約半年間で、骨髄移植はなし、最初は経口薬からスタートし、白血球の数によっては追加で化学療法が始まるとの話でした。1クール目に、ベサノイド(経口薬)、2クール目にトリセノックス、3クール目にキロサイド、ダウノマイシン、4クール目にトリセノックス、5クール目にマイロターグ(分子標的薬)をおこないました。また、3クール目と4クール目の間で、髄注をおこないました。治療中は免疫力が低下していたためか、帯状疱疹にかかってしまいました。退院後は維持療法として、アムノレイク(経口薬)1回2週間を1クールとして12週間ごとに計8クール行いました。
闘病中は家族や友人が心の支えに

編集部
診断がついたときの心境について教えてください。
京子さん
入院前日にある程度ネットで調べていたので、「やっぱりか……」という感じでした。もちろん、病気の型までは告知されるまで分かりませんでしたが、怖さや不安はなく、「どうやったら早くよくなるのだろう」ということばかり考えていました。また、不安がほとんどなかった理由の一つとして、病気の説明を受けた時点で、主治医の先生方を100%信頼できていたというのがありました。
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
京子さん
原因はあくまでも不明で、何をしたから病気になったとかではないと主治医の先生から言われました。ただ、病気になってからは、何ごとも我慢をすること、無理をするのはやめようと思いました。
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになったものを教えてください。
京子さん
子ども、姉、2人の兄、それから友達の存在が支えとなりました。子どもは当時成人していなかったですし、「まだここで命を落とすわけにはいかない」と思っていました。その子どもが、連絡もせず突然帰省し、病室にお見舞いに来てくれたことがすごく嬉しかったのを今でも覚えています。姉と2人の兄は、病状をよく気にしてくれましたし、友達は忙しい中、病室で退屈にしている私とのLINEでのやり取りに付き合ってくれ、また別の友達は時間がある限り、お見舞いに来てお世話をしてくれました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
京子さん
「ストレスを溜めず無理をせず、ある程度のことはなるようになるからもっと気楽に生きていいよ」ということと、「明日が当たり前に来るとは限らないんだよ」と言いたいです。
いつもある症状でも油断せず、少しの違和感にも敏感になってもらいたい

編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
京子さん
現在は全ての治療が終わり3カ月に一度、経過観察で通院しています。初発から5年が経過し、仕事もフルタイムで働くことができるようになり、元気に普段通りの生活をしています。なお、退院後の維持療法は「アムノレイク」という経口薬を使用しました。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
京子さん
何も望むことがないくらい、親身になってくださいました。日々の業務が多忙な中、入院中はすべての職員さんが私の要望にできるだけ応えようとしてくださっていました。当時、主治医の先生と、職員の方々だったからこそ弱音を吐かずに治療を乗り越えられたと言っても過言ではないと思っています。また、現在の主治医の先生にも感謝の気持ちでいっぱいです。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
京子さん
いつもと同じ症状だからと軽くみないで、ちょっとした違和感にも敏感になってもらいたいと思います。白血病に対して、歯ぐきから出血したり体にあざができたりするなどのイメージを持っている人も多いと思いますが、初期の症状は人それぞれです。実際に、私はどちらの症状もなく、その代わりに、痛みとして体がサインを出してくれました。口内炎から始まったという人もいますし、普段よくある症状が発症のきっかけとなることが多いので、それをいかに早く確定診断できるかが重要になってくるかと思います。また、これは病院の先生の判断にはなりますが、原因不明の場合は、私のように内科以外の受診科で血液検査をしていただくことも大事だと思います。
編集部まとめ
京子さんのお話を聞いて、誰にでも起こる症状が、時に重病であることもあるのだということを実感しました。「いつもより痛みが激しいなどの違和感を感じたら、そのサインを見逃さないでほしい」という京子さんの言葉を、ぜひみなさんの心にも留めていただけたらと思います。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

記事監修医師:
今村 英利(ネムクリニック下井草院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。