【闘病】バセドウ病に隠れていた「甲状腺がん」 私は体を大切にできていなかった…?(2/2ページ)

10年経っても症状は出ているがストレスを溜めない生活を心がけている

編集部
現在の生活や体調はどのような状況でしょうか?
A・Wさん
現在、甲状腺摘出から11年目を迎えており、術後から毎日甲状腺ホルモン剤のチラーヂンを内服しながら、半年に1回の血液検査、頸部超音波検査、ほかの臓器のがん検診もおこなっています。本来なら、甲状腺を全摘出しているので薬の量も安定するはずですが、時々甲状腺ホルモンの数値が乱れるのが困ります。日常生活での症状としては、甲状腺ホルモンこそ正常範囲ですが、肌のかさつき、体の冷え(低体温)、倦怠感など甲状腺機能低下症のような症状が現在も続いています。そのため、今は子育て・温活・自宅でできる仕事を大事にして日々励んでいます。日々体を動かしてストレスを溜めないように気を付けています。
編集部
術後すぐの状況はどうでしたか?
A・Wさん
術後は副甲状腺が半分一緒になくなってしまったため、手の痺れがありました。術後1カ月ほどで副甲状腺の機能は正常化し、現在は痺れもなくなっています。
編集部
甲状腺がんについてよく知らない人、意識することなく暮らしている人に伝えたいことは何でしょうか?
A・Wさん
甲状腺がんは痛みや違和感が少ないため、発見されにくい病気と言われています。ある程度大きくなれば喉のあたりにしこりを触れるのですが、それまではほとんど無症状です。耳鼻科や内科を受診して、甲状腺に何らかの異常や精密検査を指摘された場合は、早めに専門病院を受診し、適切な診断を受けてほしいです。
編集部
これからの医療従事者に望むこと、期待することはどんなことでしょうか?
A・Wさん
患者個々の症例に合わせて、丁寧に説明してくださることを望みます。私自身は、そのおかげで医療従事者には絶大な信頼をおいて治療に臨むことができました。特に、私の主治医は「なぜこの手術方式をおこなうのか」という点について、ほかの選択肢や治療方針なども詳しく説明してくれました。情報過多の現代において、私は主治医がいたからこそ、「ここしかない」と安心して治療に専念できたと感じています。
編集部
最後に記事の読者にメッセージをお願いできますか?
A・Wさん
みなさんはがんと聞くと「余命は?」「痛くてしんどい?」「見た目の変化は?」「変わらず生活できる?」など、がんになったその日から正解のわからない悩みが次々に出てくると思います。一つひとつの疑問や不安の解決に向けて、一歩ずつでも行動していくことで気が楽になってくるのではないでしょうか。自分がどんな状態になったとしても、「ただ生きてほしい」と願う人がいるはずです。どうかがんになった自分を責めないでください。がんを人生の転機と捉え、がんと前向きに付き合っていきましょう。「仕方がない、乗り越えた先を考えよう」という気持ちで、希望を持って生きてほしいです。
編集部まとめ
甲状腺乳頭がんはある程度大きくならないと明確な症状が出にくいため、気付くまでに何年も経過することがあります。もし体調に違和感を覚える、喉のあたりのつっかえる感じ、声のかすれといった症状があるときは、早めに総合病院または専門病院を受診して検査をおこないましょう。




