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お酒で顔が赤くなる人は「食道がん」に要注意 飲酒を続けるとどうなるか医師が解説

 公開日:2025/06/05

お酒を飲んで顔が赤くなる人は、食道がんのリスクが高いという話を聞いたことがありませんか? そこで、飲酒と食道がんの関係について、横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニックの鈴木謙一先生に話を聞きました。

鈴木 謙一

監修医師
鈴木 謙一(横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院)

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埼玉医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院や昭和大学横浜市北部病院消化器センターなどで経験を積み、2024年に横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック横浜駅院を開院、院長となる。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化管学会認定胃腸科専門医、日本内科学会認定認定内科医、日本消化器内視鏡学会認定上部消化管内視鏡スクリーニング認定医・大腸内視鏡スクリーニング認定医、日本ヘリコバクター学会認定H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医。

飲酒と食道がんにはどんな関係があるのか?

飲酒と食道がんにはどんな関係があるのか?

編集部編集部

飲酒と食道がんには関係があるのですか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

飲酒と喫煙は多くのがんや病気の原因になり、食道がんの主要なリスク要因であるといわれています。飲酒は食道の粘膜を刺激し、細胞にダメージを与えることで、がんの発生リスクを高めるのです。特に大量のアルコール、もしくはアルコール度数の高い飲料を常習的に摂取することで、リスクがさらに増加します。

編集部編集部

お酒を飲んで顔が赤くなる人は、食道がんのリスクが高いと聞きます。

鈴木 謙一先生鈴木先生

お酒を飲んで顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)」の活性が低いため、体内にアセトアルデヒドが蓄積しやすくなります。このような人は「フラッシャー」と呼ばれますが、食道がんのリスクが高いとされています。

編集部編集部

アセトアルデヒドとは何ですか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

アセトアルデヒドは、アルコール(エタノール)が体内で分解される際に生じる有害な中間代謝物です。飲酒したアルコールは、肝臓内のアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに変換され、その後、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)によって酢酸へと分解されます。このアセトアルデヒドに、発がん性があるとされています。

飲酒で顔が赤くなる人が飲み続けると…!? 医師が解説

飲酒で顔が赤くなる人が飲み続けると…!? 医師が解説

編集部編集部

顔が赤くなる体質の人が飲酒を続けると、がんリスクはどうなりますか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

顔が赤くなる体質の方が飲酒を続けると、アセトアルデヒドの蓄積が続き、食道がんのリスクがより一層高まります。特に飲酒量が多い場合や喫煙を併用する場合は、リスクがさらに増加します。

編集部編集部

以前は顔が赤くなっていたが、飲み続けていると赤くならなくなったという話も聞いたことがあります。

鈴木 謙一先生鈴木先生

以前は飲酒で顔が赤くなっていた人が、飲酒を続けることで赤くならなくなった場合も、酵素「ALDH2」の活性が高まったとは考えにくく、体内でのアセトアルデヒドの蓄積は続いている可能性があります。そのため、食道がんのリスクは依然として高いことが考えられます。

編集部編集部

食道がんのほかのリスク因子は何ですか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

加齢、熱い食べ物や飲み物の常習的な摂取、肥満、食道の病気(バレット食道、食道アカラシア)、遺伝的要因などが挙げられます。これらの要因がある場合、食道がんのリスクが高まる可能性があります。

編集部編集部

フラッシャーの人が注意すべきことは何ですか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

フラッシャーの人は飲酒量を控える、定期的に胃カメラ検査を受けるなど、食道がんのリスクを低減するための対策を講じることが重要です。また、繰り返しになりますが、飲酒と喫煙を併用することで、食道がんのリスクが高まりますので、どうしてもお酒を減らせないという場合は、せめてタバコを止めるなど、対策を考える必要があります。

食道がんの予防法や治療法を教えて

食道がんの予防法や治療法を教えて

編集部編集部

食道がんの初期症状にはどのようなものがありますか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

初期の食道がんは無症状であることが多いのですが、進行すると喉のつかえ感、嚥下困難や胸の痛み、体重減少などの症状が現れることがあります。基本的に、自覚症状が現れた時点でがんがかなり進んでいることも多いため、早期発見のためにはやはり検査・検診が重要です。

編集部編集部

食道がんの予防策はありますか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

飲酒や喫煙を控える、バランスのよい食事を心がける、熱い食べ物や飲み物の摂取を避けるなどの生活習慣の改善が、食道がんの予防に役立つと言われています。しかし、これらで食道がんを完全に予防できるわけではありません。そのため、定期的な胃カメラでがんの早期発見に努めることが重要です。

編集部編集部

食道がんの治療法にはどのようなものがありますか?

鈴木 謙一先生鈴木先生

食道がんの治療法には、手術、放射線療法、化学療法などがあります。がんの進行度や患者さんの全身状態によって最適な治療法が選択されます。食道がんは早期に発見し、適切に治療できれば、治癒する可能性はほぼ100%です。いかに食道がんを早期の段階で発見し、早期に治療できるかがポイントとなります。

編集部編集部

最後に読者へのメッセージをお願いします。

鈴木 謙一先生鈴木先生

ピロリ菌感染者の減少により胃がんは減少傾向にある一方で、食道がんは少しずつ増加しています。発がん数はまだ多くありませんが、進行が速いがんの1つであり、進行がんでは予後が悪いことも知られています。一方で、食道がんを早期に発見し、適切に治療すれば完治が十分に期待できます。アルコールやタバコを控えることに加え、定期的に胃カメラを受け、食道がんの早期発見・早期治療を心がけましょう。

編集部まとめ

飲酒と食道がんは関連が深く、特に飲酒後に顔が赤くなる方は、食道がんのリスクが高いという特徴があります。飲酒、そして喫煙の習慣がある方は、定期的な内視鏡検査を受けるなど、早期発見と予防に努めることが重要です。

医院情報

横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院

横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院
所在地 〒221-0056 神奈川県横浜市神奈川区金港町1-10 横浜ベイクォーター6F
アクセス 京急本線「横浜」駅より徒歩3分 JR「横浜」駅より徒歩3分 東急東横線「横浜」駅より徒歩3分 相鉄本線「横浜」駅より徒歩3分
診療科目 内科、消化器内科、内視鏡内科、肛門内科

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