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「生活習慣病」の予防を成功させるコツはご存じですか? 効果的な運動の取り入れ方を医師が解説!

 公開日:2025/01/30

メディカルフィットネスは、医療的なサポートのもとで安心して運動ができる新しい形のフィットネスです。特に心臓に負担をかけずに生活習慣病を予防するための運動法は、近年注目されています。この記事では、メディカルフィットネスを活用した生活習慣病予防と心臓に優しい運動法について、「飯田医院」の飯田圭先生に解説していただきました。

飯田 圭

監修医師
飯田 圭(飯田医院)

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日本大学医学部卒業。その後、国立循環器病研究センター心臓血管内科レジデントとして勤務、日本大学医学部内科学系循環器内科学分野准教授などを務める。2007年、埼玉県ふじみ野市に位置する「飯田医院」の副院長に就任。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心臓リハビリテーション学会指導士、日本医師会認定健康スポーツ医。

持病がある人は生活習慣病予防のためにどのような運動をすればいい?

持病がある人は生活習慣病予防のためにどのような運動をすればいい?

編集部編集部

「生活習慣病予防のために運動をしなければいけない」と思っているのですが、高血圧があって心配です……。

飯田圭先生飯田先生

たしかに、そうした人は多くいらっしゃいます。高血圧の原因は様々ですが、動脈硬化による高血圧などは心筋梗塞や脳卒中のリスクが普通の人よりも高いため、「運動が必要でも運動するのが怖い」「どの程度運動していいのかわからない」と心配される人が多いのです。

編集部編集部

では、どうすればいいのでしょうか?

飯田圭先生飯田先生

高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症の人も似たような悩みを抱えています。しかし、運動しなければ、心筋梗塞や脳卒中のリスクはさらに高くなってしまいます。これらの持病のある人こそ、しっかりと運動することが重要なのです。運動習慣をつけることで、寝たきりや認知症などの予防も期待できます。運動を日常に取り入れるには、きっかけや動機づけが重要です。

編集部編集部

さらなる病気の予防につながるのですね。

飯田圭先生飯田先生

そのとおりです。しかし、「持病があるから心配」というお気持ちもわかりますし、もちろんやり方によっては体に負担がかかってしまう場合もあります。そこでおすすめなのがメディカルフィットネスです。

生活習慣病予防になる「メディカルフィットネス」とは?

生活習慣病予防になる「メディカルフィットネス」とは?

編集部編集部

メディカルフィットネスとはなんですか?

飯田圭先生飯田先生

医療の視点や医学的根拠を基にした運動プログラムやフィットネスです。医療機関が運営する施設や、治療や予防を目的に医療的サポートを取り入れたジムなど、一般的なスポーツジムとは異なる特徴を持つフィットネス施設そのものを指す場合もあります。生活習慣病の発症予防・進行予防などの観点から、メディカルフィットネスは最近広がりつつあります。また、似たような概念として「心臓リハビリテーション」という概念もあり、心臓病のある人には特におすすめです。

編集部編集部

メディカルフィットネスでは、生活習慣病の発症予防・進行予防が期待できるのですね。

飯田圭先生飯田先生

発症予防・進行予防だけでなく改善も期待できると言われています。メディカルフィットネスは、筋力や持久力を向上させるだけでなく、心臓病の症状の緩和や整形外科的疾患の改善や後遺症の予防にも役立ちます。持病を抱える人や、加齢による体力低下が気になる人、手術後の人なども、安心して運動を続けられる環境を提供するのがメディカルフィットネスなのです。

編集部編集部

心臓病などがあっても大丈夫ですか?

飯田圭先生飯田先生

心臓病のある人こそ、ぜひメディカルフィットネスを取り入れていただきたいです。「心臓病があるため運動することに抵抗がある」というのもわかりますが、心臓病のある人が適切な運動療法を取り入れることで、症状の改善や健康寿命の延長、さらには突然死のリスク低減に効果があることが多くの研究で示されています。心臓病のある人は、先述した心臓リハビリテーションという選択肢もあり、条件を満たせば保険適用で受けることができます。

編集部編集部

メディカルフィットネスをする流れについて教えてください。

飯田圭先生飯田先生

メディカルフィットネスに興味のある人は、近くの施設を訪れて直接相談してみましょう。また、通院中であれば主治医に相談してみたり、メディカルフィットネス施設を併設している、または提携している医療機関に問い合わせたりするのもおすすめです。

メディカルフィットネス、具体的にどんなことをするの?

メディカルフィットネス、具体的にどんなことをするの?

編集部編集部

メディカルフィットネスでは、具体的にどんなことをするのですか?

飯田圭先生飯田先生

施設によって多少の違いはありますが、最初に個々の状態を正確に把握するための医学的な検査を実施します。当院の提携施設では、血液検査や尿検査、心電図、心エコーに加えて、動脈硬化の検査や心肺運動負荷試験などをおこなっています。これらの検査によって、現在の体の状態や課題、運動能力を把握し、それをもとに医師が運動処方をします。

編集部編集部

運動処方とは何ですか?

飯田圭先生飯田先生

「どんな運動をどの程度おこなうのか」という指示のことを運動処方と言います。メディカルフィットネスでは、医師の運動処方に基づいてフィットネスがおこなわれるのです。

編集部編集部

運動処方の後は、どのように実際のフィットネスをするのですか?

飯田圭先生飯田先生

多くの場合、運動プログラムは理学療法士が立案し、看護師との面談などを通じて個々に合った目標を設定していきます。施設によっては、管理栄養士による食事指導がおこなわれることもあります。また、一部のメディカルフィットネス施設では、ヨガやピラティスといったプログラムを取り入れるなどの幅広いサポートを提供しています。

編集部編集部

メディカルフィットネスの費用についても気になります。

飯田圭先生飯田先生

病態や施設によって費用は異なるため、一概には言えません。保険が適用される場合もあれば、自費診療となる場合もあります。また、支払い方法も1回ごとの料金制や月額制など、施設によって様々で、月額制の場合も1カ月あたり数千円〜数万円と幅があります。具体的な料金については、各医療機関やフィットネス施設に直接確認することをおすすめします。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

飯田圭先生飯田先生

大切な自分の健康を守るために、症状が出てからではなく、元気なうちにできることはしておくという意識を持っていただきたいです。それが健康寿命を伸ばすことにつながります。「運動をしなければいけないと思っているけれど、どうしたらいいのかわからない」という人はぜひ、メディカルフィットネスという選択肢も知ってほしいと思います。

編集部まとめ

医療のサポートを受けながら、安全かつ効果的に運動を続けることができるメディカルフィットネス。医師をはじめとした専門スタッフのもと、自分の健康状態に合った運動を取り入れることで、無理なく健康を維持できます。興味のある人はぜひ一度、お近くのメディカルフィットネス施設に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

医院情報

飯田医院

飯田医院
所在地 〒356-0038 埼玉県ふじみ野市駒林元町2-1-37
アクセス 東武東上線「ふじみ野駅」 徒歩12分
診療科目 内科、循環器内科、呼吸器内科

この記事の監修医師

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