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「白内障手術」の“日帰り”と『入院』のメリット・デメリットとは? 医師が比較解説

 公開日:2025/08/21

「白内障手術」には、日帰りと入院の2つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットはあるようです。手術を検討する際には、どちらの方法が自分に適しているかを知ることが大切です。そこで、白内障とその手術方法について、三上武則先生(上大岡mioka眼科)に話を聞きました。

三上 武則

監修医師
三上 武則(上大岡mioka眼科)

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富山医科薬科大学医学部卒業(現・富山大学医学部)、横浜市立大学大学院医学研究科博士課程修了。その後、横浜市立大学医学部眼科、秦野赤十字病院や横須賀中央眼科などで経験を積み、現在は上大岡mioka眼科 院長。医学博士、日本眼科学会認定専門医、眼科PDT認定医、屈折矯正手術認定医、オルソケラトロジー認定医、水晶体嚢拡張リング(CTR)認定医。

白内障ってどんな病気?

白内障ってどんな病気?

編集部編集部

白内障について教えてください。

三上 武則先生三上先生

眼をカメラにたとえると、その中でレンズの役割をしているのが水晶体です。白内障とは、この水晶体が何らかの原因で白く濁ってしまい、視力が低下する状態を指します。水晶体が透明な状態を保てなくなると、光がうまく通らず物が見えにくくなるため、日常生活にも影響を及ぼします。

編集部編集部

「何らかの原因」にはどんなものがありますか?

三上 武則先生三上先生

水晶体が濁る原因はひとつではありませんが、大半は加齢によるものです。「加齢性白内障」という言葉がある通り、個人差はあるにせよ、誰でも年をとるにつれて水晶体が濁ってきてしまうのです。これは老化現象でもあるので、白内障は高齢になるほど患者数が増える傾向にあり、70歳以上の人では8割以上の割合で白内障を発症していると言われています。

編集部編集部

加齢性白内障以外の白内障についても教えてください。

三上 武則先生三上先生

ほかには、ぶどう膜炎や緑内障といった眼の病気に伴って起こる併発白内障糖尿病やアトピー性皮膚炎が関連する白内障、長期間のステロイド使用によって発生するステロイド白内障、遺伝や風疹などの胎内感染、代謝異常などが原因となる先天性白内障、さらには眼の外傷によって引き起こされる外傷性白内障などがあります。

編集部編集部

水晶体はどのように濁ってくるのですか?

三上 武則先生三上先生

いくつかのタイプがあります。水晶体の周辺から濁るもの、中心部分(核)から濁るもの、膜の部分から濁るものなどがあります。濁り方や症状は人によって異なりますが、共通して現れるのは、眼のかすみや明るい場所でのまぶしさ、物が二重に見えること、視力の低下などです。特に核が濁るタイプでは、一時的に近くが見えやすくなることもありますが、進行すると視界がどんどんぼやけてしまいます。

白内障の治療にはどんなものがある?

白内障の治療にはどんなものがある?

編集部編集部

白内障の治療について教えてください。

三上 武則先生三上先生

白内障と診断された場合、日常生活に大きな支障がなければ、まずは経過観察をおこないます。希望があれば、点眼薬を使った治療を始めることもありますが、この治療法は進行を遅らせることが目的であり、白内障を治したり、改善したりすることはできません。根治治療には、手術が選択されます。

編集部編集部

それはどんな手術になりますか?

三上 武則先生三上先生

手術で濁ったレンズ(水晶体)を取り除き、人工の眼内レンズを新たに挿入するという方法で、日帰りでおこなうことができます。国内で年間140万件もおこなわれている、非常にポピュラーかつ安全性の高い手術です。

編集部編集部

日帰りでできるというのは有り難いですね。

三上 武則先生三上先生

クリニックによって多少の差はあると思いますが、例えば当院の場合ですと手術時間は10~15分(大体10分前後)で、来院してからお帰りになるまでは、約2時間~2時間30分ほどです。麻酔も点眼麻酔ですし、切開する部分も非常に小さいので、縫合する必要はなく、時間の経過とともに自然と塞がります。

「白内障手術」 日帰りと入院の違いは?

「白内障手術」 日帰りと入院の違いは?

編集部編集部

同じ白内障手術でも、入院が必要となる場合もあるのですか?

三上 武則先生三上先生

そうですね。例えばパーキンソン病や心不全など、ほかにも病気を抱えていたり、全身状態がよくなかったりする場合や水晶体が硬かったり、濁って真っ白だったり、チン小帯(水晶体を支えている部分)の状態がよくなかったりする場合、入院での手術を勧められることがあります。あとは、高齢で通院が大変な人にも入院がおすすめです。

編集部編集部

日帰り手術のメリット・デメリットを教えてください。

三上 武則先生三上先生

手術したその日に帰宅でき、翌日からデスクワークなどであれば仕事も可能なので、時間的、経済的、社会的負担が少ないと思います。デメリットとしては、翌日にもう一度来院してもらうことになるので、遠方からの人などは入院よりも負担が大きいかもしれません。

編集部編集部

では、入院での手術をおこなうメリット・デメリットは?

三上 武則先生三上先生

術後、状態がどうなるか不安という人は、万が一何かあってもすぐに対応できる医療機関で過ごすというのが安心ではないかと思います。入院中は点眼も、看護師などがおこなってくれますので、慣れない、忘れてしまいそうといった不安も解消できます。一方で、費用がややかかってしまう、慣れない環境で過ごすストレスといったデメリットはあるかと思います。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

三上 武則先生三上先生

白内障手術は古くからおこなわれている治療ですが、近年は機器や技術が飛躍的に進歩し、非常に安全で効果の高い治療方法へと発展しています。もし視界のまぶしさや見えづらさを感じたら、放置せずに一度眼科で相談してみましょう。早期の対処が、クリアな視界を長く維持するための大切なステップになります。

編集部まとめ

白内障手術について、手術の内容や日帰り・入院のメリットとデメリットを解説してもらいました。白内障手術は、日帰りと入院のどちらにもメリットとデメリットがあるとのことなので、自分に合った方法を検討し、安心して手術に臨めるよう準備を整えましょう。

医院情報

上大岡mioka眼科

上大岡mioka眼科
所在地 〒233-0002 神奈川県横浜市港南区上大岡西1-18-5 ミオカ中2階(M2)
アクセス 京浜急行「上大岡」駅より徒歩3分
横浜市営地下鉄「上大岡」駅より徒歩2分
診療科目 眼科

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