【闘病】疲れやすさの正体は「急性白血病」… 再発・右目の失明を乗り越えた現在
急性骨髄性白血病(AML)は血液や骨髄がんの一種です。白血球の生成に異常が起こり、身体の免疫力が大きく低下します。急性骨髄性白血病を患った品田豊さんは、2012年に発症後一度は寛解。しかし、2024年に再発し、感染症によって右目も失明したそうです。現在は「趣味のライブ観戦がリハビリにもなっている」と語る品田さんに、これまでのことを聞かせてもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年8月取材。
体験者プロフィール:
品田 豊
1963年生まれ。新潟県新潟市在住。仕事は営業職をしていた。25歳のときに結婚し2人の娘に恵まれ、4人家族となる。現在ご息女は成人しており、ご夫人と二人で暮らしをしている。2012年11月に急性骨髄性白血病を発症するも2013年4月に寛解。しかし2024年3月に再発し、同年4月には感染症によって右目を失明。現在は杖なしで歩行し、車の運転も可能になっている。
記事監修医師:
今村 英利(ネムクリニック下井草院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
人間ドックをきっかけに急性骨髄性白血病だと判明
編集部
急性骨髄性白血病が判明した経緯について教えてください。
品田さん
最初の発症は49歳のとき(2012年)でした。人間ドックをして、血液一般検査で異常を指摘され、それをきっかけに急性骨髄性白血病だと判明したんです。その後の2023年12月の定期健診では、血液検査の結果は正常でした。でも、2024年3月11日に受けた人間ドックで血液検査の異常が見つかり、紹介状を持ってがんセンターの病院を受診することになりました。そこで血液と骨髄の検査を受けた結果、急性骨髄性白血病が再発していると判明しました。体調は良好だったので、再発の兆候は感じていませんでした。
編集部
はじめにカラダに起きた異変、初期症状はどのようなものでしたか?
品田さん
最初に発症したときは、身体が異常に疲れやすくなり、だるさが続いていました。周りに相談したところ、鍼灸を勧められて通いましたが、まったく改善されませんでした。疲労感があまりに強かったので「何かがおかしい」と思い、人間ドックに行ったんです。そのだるさがまさか急性骨髄性白血病の初期症状とは思いませんでした。
編集部
急性骨髄性白血病が再発したときは、どのような症状がありましたか?
品田さん
再発したときの初期症状は「ほんの少し疲れてるかな」という程度でした。前回のような強いだるさはなかったので、特に気に留めることなく過ごしていました。それが再発の兆候だったなんて思いもしなかったです。
編集部
最初に急性骨髄性白血病だと判明したときの心境についてお聞きしてもよいでしょうか?
品田さん
最初に白血病だと判明したときは、言葉にできないほどショックでした。ドクターから「余命3ヶ月の可能性もある」という話を聞いて目の前が真っ暗になりましたね。その後、会社や家族に報告をしましたが、不安でいっぱいでした。未来が見えなくなり、今後どうすればいいのかと途方に暮れたのを覚えています。
編集部
急性骨髄性白血病が再発したときの心境をお聞きしてもよいでしょうか。
品田さん
病気が再発したと聞いたときも、とにかくショックでした。「また前と同じ治療をするのか……」と。でも「必ず病気に打ち勝ち、復帰する」という強い想いがありました。
急性骨髄性白血病を発症してから
編集部
治療はどのようなものだったのでしょうか?
品田さん
抗がん剤治療や輸血、抗生剤治療を行いました。ほかにも呼吸器内科でのステロイド投薬や点滴、皮膚にはコブができるようになり、皮膚科での切開処置を受けました。また、医師から「ステロイドの投薬で経過を見ていきましょう。治療の効果を確認するために定期的に血液検査も行います」とも言われていました。
編集部
セカンドオピニオン(担当医とは違う医療機関の医師に第2の意見をあおぐこと)は受けられましたか?
品田さん
担当医を信頼していたので、セカンドオピニオンは受けませんでした。
編集部
急性骨髄性白血病発症後、生活にどのような変化がありましたか?
品田さん
免疫力の低下を考慮して、食事は生ものやお刺身、アルコールを一切控えるようになりました。免疫力の低下で一番大きかったのは、感染症の影響で右目を失明し、視界が半分しか見えなくなったことです。左目しか見えないので、日常生活にストレスを感じています。焦点が合わず物がはっきり見えないため、細かい作業をしづらいです。外出時はマスクをつけて、感染リスクを最小限に抑えていますし、帰宅後は手洗いとうがいをして、細菌やウイルスの侵入を防ぐようにしています。
編集部
治療中やこれまでの心の支えは何でしたか?
品田さん
心の支えとなったのは、やはり家族の存在でした。家族の励ましやサポートで気持ちが前向きになりましたね。また、周囲の方々からの温かい言葉や応援も力になりました。
身体の小さなSOSを見逃さないで
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
品田さん
今の体調は非常に良いです。いろいろ気をつけながらも毎日外出を楽しんでいます。病気を経験したことで、ささやかな幸せを強く感じるようになりました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
品田さん
「身体に無理をさせてしまってたんだね。これからはもっと健康を大切にするよ、ごめんね」と伝えたいです。当時の自分は、健康を犠牲にしながら頑張っていた部分もあったと思うので。
編集部
急性骨髄性白血病を意識していない人に一言お願いします。
品田さん
急性骨髄性白血病に限らず、病気はいつ、誰がなるかわかりません。なので「自分は健康だ」と思っていても、身体が発する小さなサインを見逃さないでほしいです。少しでも異変を感じたら、早めに医療機関に相談してください。それが大きな病気を防ぐことに繋がると思います。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
品田さん
「とにかく免疫力を下げてはいけない」と言いたいです。私が発症した急性骨髄性白血病は、免疫力が下がる病気です。免疫力が下がると、細菌やウイルスに感染しやすくなり、重篤な症状を引き起こすことがあります。皆さんも普段から免疫力を下げないよう気をつけてほしいです。また、「病は気から」というように、必ず治ると信じることが大切だと思います。そして何より自分を労わることを忘れないでください。辛い時期もあると思いますが、前を向いて進んでいけば、必ず光が見えてくると思います。自分自身を大切に、健康を最優先にお過ごしください。
編集部まとめ
急性骨髄性白血病が再発し、さらに右目の視力を失ったのは、品田さんにとって信じ難いことだったと思います。「病気は誰にでも、いつでも訪れる可能性がある」「自分の身体に少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診してほしい」という品田さんの言葉が少しでも多くの人に届くことを願っています。少しでも体調に異変を感じたら、早めに病院で検査を受けましょう。
なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。