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【闘病】どうして私が? めまいや味覚異常の原因は『治らない難病』だった…(1/2ページ)

 更新日:2025/09/05
【闘病】「どうして私が?」 目眩や味覚異常の原因は「多発性硬化症」だった…

多発性硬化症は、神経系に影響を与える自己免疫性神経疾患の一種です。病巣の場所により様々な症状が出現します。実際に多発性硬化症にかかったCF2010さんの体験を通じて、この病気の発症から検査、診断、そして治療などについて知っていきましょう。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年8月取材。

CF2010さん

体験者プロフィール
CF2010(仮称)

プロフィールをもっと見る

40代女性。30歳の時発症するが病名不明のまま2ヶ月後寛解。4年後に複視、激しい浮遊性目眩を発症し再発。髄液検査の結果、多発性硬化症と診断。40日間にの入院中にステロイドパルス療法と血漿交換療法を行い寛解。その後何度か軽度の再発があったが現在は寛解。

上田 雅道

記事監修医師
上田 雅道(あたまと内科のうえだクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

その瞬間は「自分はもう普通じゃないんだ」と感じてしまい号泣

その瞬間は「自分はもう普通じゃないんだ」と感じてしまい号泣

編集部編集部

最初に不調や違和感に気づいたのはいつですか?

CF2010さんCF2010さん

30歳の時、結婚が決まったばかりのタイミングで最初の症状に気がつきました。

編集部編集部

受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。

CF2010さんCF2010さん

突然、舌の半分に味覚がなくなったことが始まりでした。次に舌のもつれで喋りにくくなり、その後、ふわふわした浮遊性の目眩(めまい)に発展しました。地元の病院や脳外科、神経内科を受診しましたが原因や病名はわからないまま2ヶ月ほど症状が続き、その後消滅しました。

編集部編集部

その後はどうなったのですか?

CF2010さんCF2010さん

次に症状が現れたのは34歳の時で、実父を亡くした半年後でした。この時の症状は「複視」から始まり、その後浮遊性の目眩へと発展しました。いくつかの病院を受診するうちに症状がどんどん酷くなり、30歳の時に受診した神経内科に行ったところ、診察後に即入院となりました。そこで行ったMRI検査と髄液検査で「多発性硬化症」と診断されました。

編集部編集部

告知はどのような形でしたか? また、その時どのように感じましたか?

CF2010さんCF2010さん

担当医にMRIの画像を説明してもらいながら夫とともに告知を受けました。動揺してしまい、細かな内容はあまり覚えていないのですが「今の医学では治らない難病」という言葉がとても突き刺さり、号泣してしまいました。いまの考えは違いますが、その瞬間は絶望のあまり「自分はもう普通じゃないんだ」と思ってしまいました。

編集部編集部

多発性硬化症とはどんな病気なのでしょうか?

CF2010さんCF2010さん

脳に病巣ができ、できた場所によって様々な神経症状が出る病気です。私の場合は主に眼球運動と浮遊性の目眩が特に重い症状でした。原因はまだはっきりとは解明されていない病気のようですが、個人的には重いストレスは確実に関与しているのではないかと思っています。

「揺れ動かない世界に早く戻して!」

「揺れ動かない世界に早く戻して!」

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

CF2010さんCF2010さん

ステロイドパルス療法を数クール行い、改善がみられなければ、血漿交換療法を行うとのことでした。

編集部編集部

そのときの心境について教えてください。

CF2010さんCF2010さん

複視と目眩が酷く、常に車酔いのような状態で、目を開けるのも厳しかったので、「どんな治療でもいいから揺れ動かない世界に早く戻して」と思いました。

編集部編集部

実際の治療はどのようにすすめられましたか?

CF2010さんCF2010さん

予定通りステロイドパルス療法を数クール行いましたが、思ったほど改善はみられず、血漿交換療法に進みました。血漿交換療法は、首の静脈にカテーテルを繋ぎ(人によっては鼠径部の静脈)、特殊な機械を通して体の血液内の病気の原因となりうる物質を取り除く治療です。横になったまま2~3時間かけて行います。痛みはありませんでしたが、それでも劇的な変化というものはなく、結局どの治療が効果的だったのかは分かりませんが、複合的に全ての治療が自分の状態を良い方向へ導いてくれたのだと思います。合計で40日間の入院をしました。

編集部編集部

退院後の生活はいかがでしたか?

CF2010さんCF2010さん

入院中は外に出れなかったので、まず外の空気を沢山吸いました。国道沿いの病院なので排気ガスまみれの空気だったはずなのに、この時ほど空気を美味しく感じたことはありませんでした。一方で、当時はアパートの2階に住んでおり、いつものように片足ずつ登ろうとした所、足に力が入らず登れないと気づいたときは愕然としました。部屋に辿り着いてからも、靴を脱ぐためにしゃがむと自力では立てず、物に捕まって腕の力でやっと立つような状況でした。日常生活が出来なくなっていたことに、情けなさとショックがありました。これまでなにも考えずにできていた行為が決して当たり前ではない……。病気にならなければ、知らなかった世界でした。

編集部編集部

受診から、現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。

CF2010さんCF2010さん

最初に症状が出た時、いくつもの病院へ行きましたが、原因が掴めなかった時は辛かったです。どこに行っても「うちでは分からない」と言われ続けたとき、病名がわかっている病気の人をうらやましいとさえ思いました。

今この時間を何より大切に

この記事の監修医師