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【闘病】「私死ぬんですか?」 ステージ4の『乳がん』から如何に生還を果たしたか(1/2ページ)

 更新日:2025/09/05
【闘病】「私死ぬんですか?」 ステージ4の『乳がん』から生還はたしたシングルマザー

竹本さん(仮称)は、ある日の入浴中、胸にしこりを感じたそうです。不安を抱えて病院を受診すると、診断は乳がん、しかもすでに転移があり、ステージ4という厳しい現実に直面しました。しかし、治療のための病院の予約は2ヶ月先。焦りと恐怖の中、竹本さんはどのように行動したのでしょうか? しこりを発見してから診断、治療開始までについてや治療中の想い、現在の体調や生活について、話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年7月取材。

竹本さん

体験者プロフィール
竹本さん(仮称)

プロフィールをもっと見る

50代女性のシングルマザー。2020年11月、入浴中に、ピンポン玉位のゴリッとした胸のしこりに気付き、あっという間に「乳がん」と診断される。全く痛みなども無く、健康意識も高かったが、「3cm・HER2陽性・ステージ4」「肝臓・腰骨・リンパ転移有」と言われる。2020年12月、抗がん剤治療開始、身体中・頭の中・の細胞が壊れていく感覚を経験する。2022年3月より社会復帰。

寺田 満雄

記事監修医師
寺田 満雄(名古屋市立大学病院乳腺外科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

「悪性って何?」

「悪性って何?」

編集部編集部

最初に違和感があったのはいつですか?

竹本さん竹本さん

2020年11月30日の入浴中でした。お肌の余計な油分を取ることなく洗えるというボディソープで身体を洗っていたところ、左胸に違和感がありました。確認するとゴルフボール位のしこりというか、「こぶ」のような感触がありました。何度も両胸を触って確認しましたが右胸には何もなく、一人で「まさか? えっ……?」と気が動転していました。一度ゆっくりお風呂に浸かり落ち着いてから上がり、携帯で情報を調べ始めました。以前、ブレストクリニック(乳腺専門のクリニック)へ検診に行った事があったので、まずはそこに診察予約を入れました。

編集部編集部

受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。

竹本さん竹本さん

2020年12月1日にブレストクリニックを受診すると、診察後、あっという間に「悪性です」と言われました。「急いで転移してないかを調べるPET検査予約を入れます」「組織検査をするので横の処置室へ入ってください」と矢継ぎ早に指示をされ、涙も出る暇なく、何も考えられないまま言う通りにして、会計も済ませてクリニックを出ました。帰り道、「あの先生は何を言っていたの?」「悪性ってどういうこと?」と自問しながら仕事に戻り、外回りの営業をして夕刻会社へ戻りました。それから1週間後、検査結果を聞きにクリニックへ出向きました。

編集部編集部

告知はどのような形でしたか?

竹本さん竹本さん

診察室では女医さんが画像を見せてくださり、「左乳がん3cm悪性HER2陽性。かなり進行の早いタイプです」「肝臓、骨、リンパに転移しています」「ステージ4です」と説明されました。頭が真っ白になり、初めて涙が出ました。一言だけ「私死ぬんですか?」と聞いた事だけは覚えています。先生は否定も肯定もせず「進行が早いタイプなので急ぎましょう」とだけ言ってくれました。

「進行が早い、急ぎましょう」なのに診察が2ヶ月先…

「進行が早い、急ぎましょう」なのに診察が2ヶ月先…

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

竹本さん竹本さん

喘息の持病があったので、ここでは治療できないと言われ、ほかの病院へ受け入れの手配をしてもらうことになりました。その病院の予約日が、2ヶ月以上先の2021年2月10日と言われ、「進行が早いタイプなので急ぎましょう」と言われていたのにあまりに先過ぎないか、と不安になりました。

編集部編集部

そんなこともあるのですね。

竹本さん竹本さん

がんだとわかり、「進行が早い」と言われたのに、診察まで2ヶ月以上必要というこの現実に愕然としました。「こんなに医療が充実している日本という国で、自分のがんをすぐに治療してくれる病院、先生が見つからないなんて……」と絶望的な気持ちになったのを覚えています。それまでは誰かが簡単に、治療する病院を決めてくれるものだと思っていました。誰かが敷いてくれたレールに乗るだけと思っていましたが、現実は違っていました。

編集部編集部

そこからどうされたのですか?

竹本さん竹本さん

喘息の主治医に連絡し、事情を話して嘆願すると、12月10日に別の病院を受診できるように手配してくれました。そこが現在も通院している病院です。クリニックから、病理プレパラートや諸々の書類をもらい診察に行きました。主治医が決まるまでが不安でしたが「すぐに抗がん剤を投与します。期間は未定」「やるだけの事を最大限やります」と言ってくれて、本当に安心して大泣きしてしまいました。自分の感情が分からなくなっていました。先生はいっぱい泣いたら良いよと声を掛けてくださり、背中をさすってくださいました。まさに「手当て」でした。その手当てに本当に救われました。何も言わず横に座って背中に手当てをしてくださる。言葉にできない優しさを感じました。

編集部編集部

実際の治療はどのようにすすめられましたか?

竹本さん竹本さん

2020年12月15〜18日まで入院して、抗がん剤治療を行いました。使った抗がん剤はハーセプチン、パージェタ、ドセタキセルです。初日に喘息発作が出てしまい、呼吸困難となり、正常値が98%以上と言われる酸素飽和度が90%まで低下してしまったので、抗がん剤を中止することになりました。薬の種類や順番を変えて投与してみたところ、その後は大きな喘息発作が出ることもなく、3週間に1度の通院での抗がん剤治療を続けました。

生きていたらまた頑張れる

この記事の監修医師