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【スラムダンク】湘北高校に受けた影響。自分の心を動かす習慣とは(2/2ページ)

 公開日:2024/06/14
スラムダンクから学ぶ心の動かし方“ゴキゲン”力で人生に勝つ!

私たちは「今」を忘れがち。過去・未来にとらわれず“今に生きる”大切さ

私たちは「今」を忘れがち。過去・未来にとらわれず“今に生きる”大切さ

篠山 竜青選手篠山選手

「スラムダンク勝利学」はどのようにして生まれたのですか?

辻 秀一先生辻先生

アメリカで「応用スポーツ心理学」を学んでいたとき、メンタルトレーニングを受けているNBA選手や企業の重役たちを見て、「心」がそこまで重要視されているのか! と衝撃を受けました。すぐに日本でも広めたいと思ったのですが、当時は「メンタル」というと、精神疾患とか宗教というイメージで……。それなら、当時日本で流行っていて私も大好きだった「スラムダンク」で伝えようと、漫画に解説をつけて勝手に配り出したのが最初です。

篠山 竜青選手篠山選手

それがみんなの心に響いたんですね。

辻 秀一先生辻先生

みんながコピーして周りに配ってくれるものだから、著作権の問題もあるしさすがにヤバいと思って(笑)。下北沢の居酒屋で井上先生に直接「こういう本を作りたいと思っています」と伝えました。
そしたら「それは素晴らしいですね!」って言ってくれて。

篠山 竜青選手篠山選手

出版してくれて本当にありがとうございます。
この本に出会って「今に生きる」とか「するべき事をする」大切さを学び、感銘を受けました。「今に生きる」は、切り替えたい時やメンタルを保たなければと思う時、自分の基礎となるものの1つですね。試合で、流れが悪い時のタイムアウトなどでも「今」を意識するよう選手にも声かけしています。

辻 秀一先生辻先生

ありがとうございます。

篠山 竜青選手篠山選手

この本で、先生が最も伝えたいことはなんですか?

辻 秀一先生辻先生

この本を書いた当時は「心がゆらぐとパフォーマンスもゆらぐ」と伝えたいと思っていました。

篠山 竜青選手篠山選手

今は違うのですか?

辻 秀一先生辻先生

今は「ゆらぎ」に影響する「とらわれ」、心理学でいう「セルフコンセプト」を解除するのが重要だと思っています。「自分は普通こうだから」とか「前もこうだった」と言ってしまうのは、とらわれているからです。
「ゆらがず とらわれず」、心理学でいう「フロー」の状態が、最も自然体で自分らしくパフォーマンスができると、その後私も学んだんです。

篠山 竜青選手篠山選手

なるほど。

辻 秀一先生辻先生

例えば、私は仙道が好きなのですが、仙道ってどんな時も自然体じゃないですか。ゆらいでいる時、とらわれている時、人は不機嫌になり、自然体ではなくなります。ですから、サポートする選手たちにはフローな状態、ゴキゲンな状態でいることを常に伝えています。
竜青くんもチームのムードメーカーですよね?

篠山 竜青選手篠山選手

いや……「ビジネス的なゴキゲン」のときも結構ありますよ(笑)。

辻 秀一先生辻先生

メリットがあるからですよね?

篠山 竜青選手篠山選手

はい。実際、機嫌良くいたほうが体はよく動きますね。一歩が早く出る、大きく出る。だから、上手くいかなくても眠たくても、ムードメーカーを演じています。

辻 秀一先生辻先生

リョーちんも言っていましたよね。「どんなに心が焦っていたって、表情には出さない」って。
プライベートではどうですか?

篠山 竜青選手篠山選手

「体が動く」と同じかもしれませんが、例えば家事や育児をもっとやろう! とか思えますね。自分からお皿を洗ったり、子どもとも遊べたります。

辻 秀一先生辻先生

ゴキゲンでいることのメリットをちゃんとわかっていますね。
大谷翔平選手も「嫌なこともあったし、打てないと焦りますけど、意識して心を保っています」のように言っていました。自分の機嫌を自分でとるのは1つのスキルです。

篠山 竜青選手篠山選手

先生が考える「ゴキゲンでいるメリット」は?

辻 秀一先生辻先生

たくさんありますが、大きく分けると4つです。まずは「パフォーマンスの質が上がる」。人間のパフォーマンスって、スポーツもビジネスも人生も、やることの内容と質で決定されるのですが、心の状態が悪くなると、同じ内容でも質が悪くなる。つまり、自分の機嫌をマネージメントすることは、パフォーマンスの質をマネージメントすることに繋がるのです。
そしてもうひとつ、パフォーマンスの質を上げることで「成長」にも繋がります。

篠山 竜青選手篠山選手

残りの2つも教えてください。

辻 秀一先生辻先生

3つ目は「健康」です。「病は気から」と言いますが、現代社会で問題となっているがん、動脈硬化、感染症、認知症、これらは全てストレスや不機嫌と関係があると言われています。アスリートの怪我もそうですよね。心の状態が乱れた時に、気が抜けたり、焦って無理に突っ込んだりします。
最後は「人間関係」です。不機嫌な人と一緒にいたいという人はいませんし、機嫌の悪い人とはコミュニケーションもうまくいきません。より良い人間関係を構築したければ、どんな時もゴキゲンでいることが大事なのです。
逆に言うと、機嫌が悪いと、これらのことを失ってしまうのです。

篠山 竜青選手篠山選手

それは困りますね。

辻 秀一先生辻先生

もちろん人間だから、怒ったりイライラしたりすることもありますが、だからこそ自分の機嫌をとっていくスキルが必要です。
竜青くんはどんな方法で自分のご機嫌をとっていますか?

篠山 竜青選手篠山選手

音楽ですかね。疲れているけどトレーニングをしなければならない時、やりたくないけどお皿洗いをしないといけない時など、好きな音楽をいつもより大きな音量でかけて自分のご機嫌をとっています。

辻 秀一先生辻先生

音楽はいいですよね。自分で歌うこともできますし。

篠山 竜青選手篠山選手

試合中は歌っている場合じゃないですけどね。

辻 秀一先生辻先生

そこですよね。例えば試合が残り3分、10点差で負けている時に音楽を聴いたり歌ったりするのは難しい。

篠山 竜青選手篠山選手

そんな時はどうしたら良いでしょう?

辻 秀一先生辻先生

やっぱり「今に生きる」「目の前のことに全力を尽くす」ですね。
人間って、過去や未来への思考が脳に搭載されているので「今」を忘れがちですが、一秒ごと、一瞬ごとにリセットし、今に集中して全力で楽しむことが大事です。ピンチの時こそゴキゲンを保つのは非常に重要なライフスキルです。

篠山 竜青選手篠山選手

今日はすごく勉強になりました。
中学生で辻先生の「スラムダンク勝利学」を知れた自分はとても幸運だったと思っています。未来への不安や過去への後悔にとらわれず、今に集中することができるようになったのはこの本のおかげです。中学生という最も多感な時期にこの本に出会えて、自分の基盤となる「心」のあり方を学べて本当に感謝しています。
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!

編集部まとめ

お二人のスラムダンク愛から始まり「心」がパフォーマンスに与える影響、そして人生にもたらす影響まで、たくさんの気づきがある対談でした。特に「ゴキゲン」であることのメリットの多さ、幅広さには驚かされました。プロスポーツ選手とスポーツドクターの対談でしたが、スポーツにとどまらず、ビジネスや人生に応用できる学びが多くあったのではないでしょうか。キツい時、ピンチの時こそ「ゴキゲンでいるメリット」を思い出し、「今」に集中して楽しんでいけたらと思います。ありがとうございました。

この記事の監修医師