【闘病】突然の『心筋梗塞』で緊急搬送2回 過去の自分に「タバコやめろ」 大動脈解離も経験して
2回の心筋梗塞と、大動脈解離を発症した松山優一(仮称)さん。どちらも自身にとっては突然のことだったそうです。発症した時の状況から、どのように治療を行ったのかまで詳しく話を聞かせてもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。
体験者プロフィール:
松山 優一(仮称)
1955年生まれ、鹿児島県在住。妻と娘2人の4人家族(長女は独立、次女は同居)。診断時の職業は会社役員。2016年に健康診断で腹部大動脈瘤が見つかる。径が大きくなかったため経過観察をしていたが、2017年10月に急性心筋梗塞の発作が起こり、救急搬送され、カテーテル治療を受ける。この際、補助ポンプ挿入時に腹部大動脈瘤が弊害となったので、11月に動脈瘤のステントグラフト術による処置を受ける。2019年9月に2回目の急性心筋梗塞の発作が起こり、カテーテル治療を受ける。2023年1月、急性大動脈解離(スタンフォードB型)による大動脈破裂が起こる。破裂により胸腔に血液が溜まり、血気胸になる。また、解離の合併症により脊髄虚血となり、対麻痺がおこる。現在は薬の服用とリハビリを続け、通院加療を継続している。。
記事監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
目次 -INDEX-
突然のことだったので、ただ現実を受け止めるしかなかった
編集部
心筋梗塞も大動脈解離も突然のことだったようですね。
松山さん
はい。1回目の心筋梗塞は、家族と朝食をとっているときに突然胸が苦しくなり、大量の冷や汗が出て呼吸が困難になったので、救急車で救急搬送されました。2回目の心筋梗塞時は、夕方に息苦しさがあったものの30分程度でおさまったので、その後は仕事をしていました。仕事が終了した後、再度息苦しさがあったので、夜間診療を受け、心電図をとったところ心筋梗塞と判断され、救急車で搬送されました。
編集部
大動脈解離はどのように発症したのですか?
松山さん
パーソナルジムでストレッチをしたあとの休憩中に背中に激痛が走り、トレーナーに救急車を呼んでもらって病院に搬送されることになりました。下行大動脈で解離が始まり、腹部大動脈へ解離が進んだようですが、腹部大動脈瘤の部分に入れたステントに当たりその反動で弓部大動脈、上行大動脈まで解離が逆走し、大動脈が破裂したようです。
編集部
自覚症状などはあったのでしょうか?
松山さん
1回目の心筋梗塞の2カ月くらい前に呼吸が苦しくなったことがありましたが、8月だったために熱中症だと考えてしまいました。2回目の心筋梗塞と大動脈解離に関しては、特に自覚症状はありませんでした。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
松山さん
すべて緊急手術でしたので、とりあえず救命処置を受けました。心筋梗塞に関しては、救急搬送され、カテーテル治療を受け、その後リハビリを行いました。カテーテル治療の補助ポンプ挿入時に、経過観察をしていた腹部大動脈瘤が弊害となったことから、11月に動脈瘤のステントグラフト内挿術を受けました。
編集部
大動脈解離の方は?
松山さん
最初の手術で脊髄への血流の回復と胸腔ドレナージによるたまった血液の除去を行いました。2回目の手術で、ドレナージで排出できなかった血腫を開胸手術と肋骨切断によって取り除きました。その後は脊髄虚血で起こった対麻痺の回復を目的としたリハビリが中心でした。
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
松山さん
いきなり手術、入院、治療となりましたので、考えたり悩んだりする暇はありませんでした。現状を受け入れて、医師をはじめとする医療関係者の指示に従い回復に専念するしかありませんでしたが、思い悩んだり、迷ったりすることがなかったのは、かえってよかったのかもしれません。
発症後は食事内容の見直しを行い、運動の習慣をつけるようになった
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
松山さん
肥満体形なので、発症前から食事には気をつけていたのですが、発症後はより一層気をつけるようになりました。具体的には、一日のカロリー摂取量、塩分量、脂質量などを管理するようにしました。あとは、運動の習慣をつけるようにしています。
編集部
病気に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
松山さん
家族の支えです。1人では到底管理できません。1人だとマイナスに考えてしまいますが、妻と娘がいろいろなことを前向きに捉えてくれるので、悲観的な考えにならずに助かっています。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
松山さん
早くタバコを止めるように、そして、体重管理をしっかりするように言いたいです。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
松山さん
両足の麻痺は処置が早かったので軽く済んでいるのですが、長い距離は歩けませんし、速く歩くこともできません。ただ、「一生車椅子生活かも」といわれていたのですが、とりあえず自立歩行ができるまで回復しているので、医療関係者の皆さんに感謝しています。肺の機能は回復しているのですが、息苦しさが残っていたので検査した結果、アレルギー性の喘息が判明しました。今、気管支拡張剤を使用し治療中です。循環器関係の薬は、ロスバスタチン、オルメサルタン、タケキャブ、一硝酸イソソルビド、エリキュース、トラネキサム酸を服用しています。以前、イグザレルトを服用していましたが、副作用(虚血性腸炎)が出たためエリキュースに変更になりました。仕事は必要に応じて行っています。
定期的な健康診断が大事、積極的に受けることを勧めたい
編集部
この病気を意識していない人に一言お願いします。
松山さん
心筋梗塞も大動脈解離もなんの前触れもなく突然発症しますが、当然発症する原因があるので、日頃から検査などを通じて自分の体のチェックを行うことや、食生活などの日常生活を見直して、直せるところは改善していくことが大切だと思います。発症してしまった場合は、医師をはじめとする医療関係者の指示に従い、服薬やリハビリに取り組むことが必要になってきます。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
松山さん
今、自分が生きていられるのは、医療従事者のみなさんのお陰だと感謝しています。入院中、医師、看護師、理学療法士、検査技師、介護士などのみなさんと接していて、本当に大変な仕事であるということを再認識しました。ゆえに、今以上のことを望むことはないように思います。医療従事者のみなさんが自分自身の体調を壊さないように祈るばかりです。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
松山さん
循環器系の病気は自覚症状がないことが多いようです。健康診断を定期的に受けることで偶然発見される可能性が高いので、ぜひ受けてください。
編集部まとめ
心筋梗塞も大動脈解離も突然のことで、松山さんをはじめご家族もとても驚かれたことと思います。一命と取り留めた松山さんは、「日常にない異常を感じたら躊躇わず救急車を要請すべきです」とおっしゃられていました。いざというとき、救急車を呼ぶには勇気がいるかと思いますが、勇気ある行動で救える命があるはずです。
なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。