「シミ治療」を受けるベストシーズンはご存じですか? 回数や注意点、肝斑の治療法も医師が解説!
肝斑やシミの治療には、「レーザー」「ピーリング」「内服薬」など様々な治療法があります。しかし、肝斑と老人性色素斑は合併していることも多く、治療計画をしっかり立てないと、効率よく消すことができないこともあるそうです。肝斑やシミの治療計画をどのように立てるべきなのかについて、「みきなクリニック」の東海先生に解説していただきました。
監修医師:
東海 玲美(みきなクリニック)
シミ治療の治療計画はどのように立てる?
編集部
シミ治療を始めたいのですが、どのような選択肢がありますか?
東海先生
現在ではレーザー治療やIPL(光治療)、ケミカルピーリング、内服薬、外用薬など様々な選択肢があります。シミの種類に応じて治療法を決定します。
編集部
治療を始めるときには、どのようなことに注意したらいいでしょうか?
東海先生
まずはシーズンに注意しましょう。基本的にシミ治療は1年中おこなうことができますが、治療後の肌は非常に敏感になっているため、紫外線を浴びると色素沈着を起こし、さらに濃いシミになることがあります。紫外線の量は4月頃から増え始めるので、できれば秋から冬にかけてシミ治療をおこなうのが好ましいです。ただし、30分程度の通勤時間であれば、しっかり紫外線対策をおこなう限り、それほど気にする必要はありません。
編集部
そのほか、治療をおこなう時期で気をつけることはありますか?
東海先生
スキーなどウィンタースポーツをおこなう人は、夏に治療を受けた方がいいかもしれませんね。
編集部
シミの場合、どの治療をおこなうのが一般的ですか?
東海先生
一般的なシミのことを老人性色素斑と言いますが、この場合にはレーザー治療あるいはIPLをおこないます。レーザー治療は波長の短いレーザー光線によってシミの原因となるメラニン色素を破壊し、シミを除去します。一方、IPLとは複数の波長の光を肌に照射してシミをとる治療です。一般的なレーザーと比べてIPLの方が、効果が穏やかで、時間をかけてゆっくりシミを消していきます。
編集部
どのように使い分けるのですか?
東海先生
どちらの治療が適しているかは、シミの種類や深さなどによって選択します。また、IPLはレーザー治療よりもダウンタイムが短いので、あまりダウンタイムを長くしたくないという場合にはIPLが適しているかもしれません。
編集部
内服薬や外用薬を使うこともありますか?
東海先生
はい。多く用いられるのが「トレチノイン」や「ハイドロキノン」の外用薬です。トレチノインはビタミンAの誘導体であり、シミの改善が期待できますし、ハイドロキノンは強力な漂白作用があり、レーザー後、シミの予防に効果が期待できます。あわせてビタミンCやトラネキサム酸などの内服薬にもシミを薄くしたり、新しいシミができるのを予防したりする効果があるので併用することをおすすめします。
肝斑の治療法
編集部
肝斑の治療は、一般的なシミとは異なると聞きました。
東海先生
そうですね。肝斑の場合、レーザー治療をおこなうとかえって悪化することがあります。ハイドロキノンやトラネキサム酸を含む美白外用薬、美白内服薬、ケミカルピーリング、トラネキサム酸のイオン導入が効果的です。
編集部
肝斑の治療ではレーザー治療が使えないのですね。
東海先生
基本的には使うことができません。ただし、「レーザートーニング」というそれほど出力が高くないレーザーを照射する方法もあります。メラニンを生成するメラノサイトの刺激が抑えられ、メラニンのみ破壊することができるので、肝斑治療にレーザートーニングを用いる場合もあるのです。
編集部
レーザートーニングの治療に加えて、内服薬や外用薬を使うのですね。
東海先生
はい。肝斑は女性ホルモンのバランスも関係しているため、一般的なシミと比べて治療が難しいとされています。また、一見改善されたように見えても、再発することが少なくありません。そのため、医療機関での治療に加えて、自宅でのセルフケアなどにも長期的に取り組む必要があります。
編集部
具体的に、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
東海先生
「紫外線対策をしっかりおこなうこと」と「摩擦を加えないこと」に注意しましょう。特に洗顔するときゴシゴシこする癖のある人は要注意です。また、強いストレスも肝斑を悪化させる原因になるので気をつけましょう。
編集部
摩擦が肝斑を悪化させるのですね。
東海先生
はい。一生懸命、美顔器を使っている人もいますが、かえって肌に刺激となり肝斑を悪化させる原因になり得ます。また、化粧をする際にも優しく上から押さえるなど、あまり刺激を加えないよう心がけましょう。
肝斑とシミの両方があるときはどのように治療する? 注意点は?
編集部
肝斑とシミが両方あるときには、どうしたらいいのでしょうか?
東海先生
肝斑とシミの治療法はまったく異なります。肝斑には強い刺激が厳禁なので、レーザー治療でシミを取ろうとすると「シミは取れたけれど肝斑が悪化した」ということになりかねません。肝斑の症状が強い場合、まずは肝斑の治療を優先して、その後にシミ治療をおこなうことが重要です。
編集部
肝斑が軽度の場合は?
東海先生
内服薬や外用薬による治療をおこないつつ、シミに対してレーザー治療をするケースもあります。また、肝斑とシミのある部位が離れていて、シミにレーザーを照射しても肝斑に影響がないと思われる場合には、レーザー治療をおこなうこともあります。
編集部
症例によって治療法や治療計画が異なるのですね。
東海先生
そのとおりです。ただし、肝斑の治療法の第一選択は、トラネキサム酸の服用などの内服治療です。トラネキサム酸には抗プラスミン作用があり、メラノサイトを活性させるプラスミンの働きをブロックしてメラニンが再生されるのを防ぐ効果があります。そのため、肝斑を改善するだけでなく、皮膚内の炎症を抑えることも期待できるので、トラネキサム酸の服用を続けてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
東海先生
肝斑やシミ治療のために来院される患者さんの中には「もっと早く受診すればよかった……」と思うケースが少なくありません。特に、40代後半から50代にかけて肝斑が濃くなります。そのため、もしこの時期に肝斑とシミの治療を同時におこなおうとすると、年齢的に皮膚がダメージを受けやすくなっているため、期待した効果が得られないということもあります。それよりも若い時期であれば、細胞も比較的早めに修復できるので、できれば30代くらいまでに一般的なシミ治療をしておきましょう。
編集部まとめ
肝斑と一般的なシミでは治療法が異なるため、適切に治療計画を立てることが大切です。特に肝斑治療は根気が必要になるので、中々よくならないといって諦めず、地道に内服薬や外用薬による治療を継続しましょう。
医院情報
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診療科目 | 皮膚科、美容皮膚科 |