『ステージ4の子宮体がん』闘病体験をYouTubeで発信する理由「検診を受けないのは時間がもったいない」(2/2ページ)

術後の抗がん剤治療…乗り越えられたのは周囲の人々に支えられたから

編集部
手術後はいかがでしたでしょうか?
ヒダノさん
手術後一番辛かったのが「水分禁止」で、1日だけではありましたが水分を摂ってはいけない期間がありました。もちろん喉は乾くので、水分を含んだガーゼを含むという初めての経験をしました。術後2日目に水をやっと飲めたときは感動しましたね。また、手術後は身体に管だらけで、うがいもしたいし鼻水も出るのですが、動けなくて辛かったですね。
編集部
「管だらけ」というのは?
ヒダノさん
背中には痛み止めの点滴、排尿のための管、鼻には酸素マスク、腹部左右にはドレーン、足には血栓予防の管がついていました。もちろん、術後経過につれてだんだん管の数は減っていきましたが、お腹が痛かったです。動こうとしても動けないものの、腸閉塞予防のために動きましょうと言われて頑張っていたら、だんだん動けるようにもなりましたね。
編集部
大変でしたね…退院後は抗がん剤で治療されたと思いますが、副作用などありましたか?
ヒダノさん
私の場合はTC療法を6サイクルしました(3週間に1回、うまくいけば半年で終わるくらいのペース)。1サイクルの中で変化が大きく、初日は吐き気止めの影響で吐き気はありませんが、薬をアルコールに溶かして投与するので、顔が赤くなります。それから次第に吐き気が出て、投与から4日目が吐き気・むかむかのピークに。5日目は便秘になり、腸閉塞が頭をよぎって怖くて酸化マグネシウムを飲んで対応します。7日目になると体調が回復して、便秘も解消される。このような流れを、6サイクルしました。ほかには、そこまで強くないものの味覚障害やしびれ、脱毛が徐々にありました。卵豆腐が苦いと感じたときはびっくりしましたね。
編集部
今の体調はいかがでしょうか?
ヒダノさん
今は卵巣を摘出した影響で骨密度が80歳超え、骨粗鬆症になっています。ですが、今のところ骨折もなく、そのほかの体調も問題なく生活できています。
編集部
辛い時期だったと思いますが、闘病中の心の支えは何でしたか?
ヒダノさん
当時はコロナ禍ではなかったのでいろんな人がお見舞いに来てくれました。少しでも病気のことを考える時間が減って本当に心の支えになりました。あとはSNSで出会ったがん患者さんたちとの情報交換だったり、オフ会での交流だったりでいろんな人から笑顔をもらっていました。わたしはずっと周囲の人に救われていましたね。
編集部
ヒダノさんはYouTubeで発信もされていますが、病気のことを動画で配信する理由は何なのでしょうか?
ヒダノさん
そもそも「がんになりました」と顔を出して公表はあまりしないということを知らなくて、やってしまったというほうが近いですね。私の経験が役に立つのであればそれでいいと思い、ずっと発信を続けています。YouTubeでは毎週ライブ配信をしていますが、視聴者さんからコメントがよく来ます。「不安に思っている時間も結果は変わらないから、なるべくそれを考えない時間を増やすと心が落ち着きますよ」「周囲に頼ってくださいね」とよく伝えています。
編集部
この記事を読んでいる方へ、メッセージをお願いします。
ヒダノさん
不正出血や、もしかしてがんかも? と思ったら、怖がらず早めにお医者さんに行って検診してください。仮にがんだった時に治療にかかる時間を考えると、早く見つかればもっと仕事もできますし、子ども・家族・自分のための時間も作ることができます。私のように進行してからの治療はお金も時間もかかるので、定期検診を受けて心と時間とお金の余裕を作ってください。そして告知を受けたばかりの方は、不安と恐怖でいっぱいと思います。でも、ステージ4のがんになった私が今こうして笑顔でいれるということを頭の片隅にいれて治療を続けてください。自分の時間を大事にしてください。人生は有限なので、後悔しない人生を生きていきましょう! 応援しています。
編集部まとめ
体の異変はあれど「自分は大丈夫」と思っていたら、子宮体がんを発症し、辛い治療を乗り越えて現在は元気に活躍されているヒダノさん。「自分と向き合う時間を大切にしてほしい」理由の裏には、時間が有限であることを病気から学んだからだと思います。定期的に検査を受けることもまた、自分と向き合うことの一つではないでしょうか? 異変があれば、遠慮せずに医療機関へ相談に行くことの大切さを忘れないようにしましょう。





