【闘病】40代で乳がん発覚。乳房の茶色いしみに気付くも「しこりではない」と放置した結果…(2/2ページ)
身体の声に耳を傾け、異変を感じたら早めに受診してほしい
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
IZUMIさん
当時飼っていた犬が6歳でしたので、「愛犬を残しては死ねない」と思って自分を奮い立たせていました。子犬のころとても酷い状態にいて、「私がこの仔を迎えなければ死んでしまうかも」と思い私の元で飼うことにした愛犬です。「飼い主の責務として必ず私が看取るんだ」と決意したので、病気に負けるわけにはいかないと思いました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
IZUMIさん
41歳でステージⅡBの乳がんが発覚しているので、恐らく30代の前半~半ばにはすでに罹患していたのだと思います。何に気をつければよかったのか、何歳の時に、どのタイミングで検査を受ければよかったのか正直分からず、昔の自分にかけられる言葉が見つかりません。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
IZUMIさん
2023年10月の定期健診で10年になります。再発や転移の不安がなくなるわけではありませんが、「10年頑張れたんだ」と思うと気持ちが少し楽になりました。今年リンパ浮腫の手術を受けましたが、完治することはないのでこの先もずっと弾性グローブと弾性スリーブを着用し続けなければなりません。利き腕なので不自由なことも多いですが、自分の身体を労わりながら無理をしない、身体に優しい生活を送っています。
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
IZUMIさん
患った病気の症状や治療法は、100人いれば100通りだと思います。私の場合は治療中、特に抗がん剤治療中が人生で最も苦しかったです。あの経験よりも辛いことはこの先絶対に起こらないだろう、と確信するほど辛かったです。皆さんがこの辛さを経験しないことを願います。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
IZUMIさん
今回の闘病期間中、たくさんの医療従事者の方にお世話になりました。医療機関で働く方々は、日々忙しいことを察しておりますが、患者が質問や聞きたいことをもっと気軽に聞くことができる環境を作ってもらえると嬉しいです。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
IZUMIさん
病気を境に生き方がガラリと変わってしまうこと、変えなければならないことがあるかもしれません。できていたことができなくなるのは、とても辛いことです。自力で予防できる病なら予防の努力をしてほしいと思います。自力で予防できない病なら、身体からの声に耳を傾け、少しでも異変を感じたら受診してください。自分の体の不調は自分にしかわかりませんし、自分を守れるのは自分だけです。
編集部まとめ
病気から手術まであっという間で、しっかり考えることができないまま治療を始めることになったIZUMIさん。「健康な時に、万が一の事を考えるのはとても難しいことかもしれませんが、少しでも後悔を小さなものにするために、“もしものとき”の選択肢を数パターン考えておいたほうが良いと思います」とメッセージをくださいました。また、乳がん検診の効果が示されているのは40歳以上の方で、40歳未満の年齢の方できちんと効果が証明されていて、おすすめできる検診方法は残念ながらありません。ですが、もちろん検診開始年齢の前でも乳がんを罹患する方はいます。そこで、大切になるのが、ブレスト・アウェアネスといって、「日頃から自分の乳房の状態を知っておく(セルフチェック)」「乳房の変化に気をつける」「変化に気づいたら医療機関を受診する」「40歳になったら2年に1回の乳がん検診を受ける」という4つの生活習慣・アクションを20-30歳代から身につけることが大切です。日々生きているとつい目の前のことで精一杯になってしまいますが、この記事を読んだ読者の方にはぜひ一度考える時間を設けていただけたらと思います。
なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。