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うつ病などの「メンタルヘルス不調」の予防・治療に効果的な生活習慣とは?【医師解説】

 公開日:2024/01/05
うつ病などの「メンタルヘルス不調」 医師が解説する治療・予防に効果的な生活習慣

近年、「メンタルヘルス」という言葉をよく耳にするようになりました。「うつ病」に悩む方が増えているという話も耳にします。そこでうつ病などのメンタルヘルス治療・予防に効果的な生活習慣について、心療内科医の薮野 淳也先生(Stay Fit Clinic 院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。

薮野 淳也

監修医師
薮野 淳也(Stay Fit Clinic)

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慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、徳島大学医学部へ入学、医師国家資格取得後、産業医として勤務し経験を積む。2023年、南青山に「Stay Fit Clinic 」を開院、院長となる。産業医だからこそできるサービスを提供し、働く人の健康管理とパフォーマンス向上、企業の生産性向上と業績UPを目指している。認定産業医、認定スポーツ医、健康運動指導士 、健康運動実践指導者。

「うつ病」とは?

「うつ病」とは?

編集部編集部

「うつ病」とはどんな病気ですか?

薮野 淳也先生薮野先生

うつ病は一般的な精神障害の一つで、気分の持続的な落ち込みやこれまで興味のあったものに興味を持たなくなる、エネルギー不足、集中力の低下などが見られる状態です。

編集部編集部

どうしてそのような状態になるのでしょうか?

薮野 淳也先生薮野先生

うつ病の原因や発症のメカニズムなどはまだ解明されていない部分も多く、明確にわかっているわけではありませんが、神経伝達物質のバランスや脳の機能に関連しており、遺伝的な要因や生活環境の影響を受けると言われています。

編集部編集部

気分の落ち込みなどは誰にでも起こりうると思うのですが、どんな状態になるとうつ病なのでしょうか?

薮野 淳也先生薮野先生

うつ病の症状は個人によって異なりますが、一般的には長期間続く抑うつ感や興味喪失が特徴的です。うつ病の診断基準は、一般的に精神医学の分類体系である「国際疾病分類(ICD)」や「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」によって示されています。

編集部編集部

詳しく教えてください。

薮野 淳也先生薮野先生

例えばDSM-5においては、以下のうち5つ以上の症状が、2週間の期間にわたって持続するとうつ病と診断されます。

(1) 持続的な抑うつの気分または興味喪失
(2) エネルギーの低下や疲労感
(3) 自己評価の低下や罪悪感
(4) 集中力や意思決定能力の低下
(5) 睡眠の障害(過眠または不眠)
(6) 食欲の変化(過食または食欲不振)
(7) 身体的症状(無明確な理由で体の不調を感じることがある)

これらの症状が患者の日常生活において重大な障害を引き起こし、医学的な物質使用、ほかの精神障害によるものではないことが確認されることなどによって、うつ病と診断されます。

うつ病の治療にはどんなものがある?心療内科医が解説

うつ病の治療にはどんなものがある?心療内科医が解説

編集部編集部

うつ病の治療にはどんなものがありますか?

薮野 淳也先生薮野先生

うつ病の治療は、主に、休養、薬物療法、精神療法(カウンセリング)の3つがあります。 なかでも特に「休養」は重要で、休養をとりながら薬物療法や精神療法を行う場合がほとんどです。

編集部編集部

ほかにはどんなものがありますか?

薮野 淳也先生薮野先生

最近はマインドフルネス(瞑想)などもよいとされていますし、アメリカ発の新しいうつ病治療としては、磁気刺激で脳の特定部位を活性化させる「反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation:rTMS)」があります。しかしこちらは、どの医療機関でも受けられるわけではないことや、保険適用外なのでやや高額なのが難点です。

編集部編集部

もっと身近に取り入れられるものはありますか?

薮野 淳也先生薮野先生

運動がおすすめです。運動をすると、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスが改善され、気分が安定したり、抑うつ感が緩和されたりという研究データがあります。ちょっとしたウォーキングやランニングなどであれば、取り入れやすい方も多いと思います。

編集部編集部

運動は身体的な効果だけではないのですね。

薮野 淳也先生薮野先生

そうなのです。もちろん身体を動かすことで、血流が改善されてリラックスできたり、運動後に身体的な疲労が生じ、質の良い睡眠がとれたりなど、身体的な効果も数多く報告されています。運動は、うつ病などの治療はもちろん、予防という意味でもとても良いのです。

メンタルヘルスの不調を予防するのに効果的な生活習慣とは?

メンタルヘルスの不調を予防するのに効果的な生活習慣とは?

編集部編集部

実際に、どのような運動をすると良いのですか?

薮野 淳也先生薮野先生

難しい運動をする必要はありません。先ほども申し上げましたが、ちょっとしたウォーキングやジョギング、ランニング、サイクリングなどを生活に取り入れることから始めてみてください。1人では不安という方は、当院でも併設しているような厚生労働省の認可を受けた「認定健康増進施設」を利用してみるのも良いかもしれません。

編集部編集部

ほかにはどんな生活習慣がメンタルヘルス不調の予防に役立ちますか?

薮野 淳也先生薮野先生

基本的なところですが、喫煙や過度な飲酒を控えることやバランスの取れた食事や質の良い睡眠を心がけることなどが、うつ病などの予防に非常に有用です。また、太陽の光を浴びることや人と話すこともとても良いとされているので、負担にならない範囲で取り入れてみてください。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

薮野 淳也先生薮野先生

運動習慣をつけたり、うつ病予防・改善に有用とされている生活習慣を無理なく取り入れたりすることで、気持ちが前向きになる、夜はリラックスして就寝できるなどの効果が期待できます。しかし、それですべてが改善されるわけではありません。状態や環境によっては、薬が必要な場合もありますので、これらの習慣を取り入れてみてもメンタルヘルスの不調が改善されない場合は、無理をせず専門家へ相談してください。それぞれに合った方法でサポートしていきます。

編集部まとめ

運動や食事・睡眠など、自分で取り入れられることもたくさんあったと思います。まずはこれらを無理なく取り入れ、それでも辛い場合には、我慢せずに専門家に相談してみましょう。

医院情報

Stay Fit Clinic

Stay Fit Clinic
所在地 〒107-0062 東京都港区南青山3丁目1−5 THE BATON Minami Aoyama 5F
アクセス 東京メトロ「外苑前」駅より徒歩3分
東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分
東京メトロ「青山一丁目」駅より徒歩7分
診療科目 内科・心療内科

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