【闘病】40代で膠原病の一種「混合性結合組織病」を発症。謎の体調不良は2カ月続いた…
「混合性結合組織病」という病気を知っていますか? 膠原病の一種で、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎の2つ以上の症状が混在する自己免疫疾患で、国から特定疾患に指定されています。ですが、ほかの膠原病と比べて診断がつくのに少し時間がかかることもあり、見た目ではわかりづらい病気です。今回お話を聞いた村上恵美さんは、不調を感じてすぐ受診した病院で「混合性結合組織病」と診断されています。病気を発症した経緯や病気との向き合い方、見た目で分からない疾患に対する思いなどをお話してもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年8月取材。
体験者プロフィール:
村上 恵美
1975年生まれ、千葉県在住。父、母、弟、妹の5人家族。診断時の職業は派遣社員。2019年2月に指定難病の混合性結合組織病を発症、1カ月半入院。主にステロイドと免疫抑制剤の内服治療を受ける。現在は寛解を維持しておりステロイドは脱薬。2023年4月に関節リウマチを発症したため免疫抑制剤を服用中。主治医から就労の許可が出たので求職活動中。
記事監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
2カ月続いた体調不良は混合性結合組織病という膠原病だった
編集部
村上さんが罹患した、「混合性結合組織病」とはどのような病気ですか?
村上さん
「混合性結合組織病」とは膠原病の一種で、全身性エリテマトーデス・強皮症・多発性筋炎・皮膚筋炎のうち複数の症状が発症する病気です。日本では1993年に厚生労働省が特定疾患に指定しています。
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
村上さん
2018年の年末から2019年の年明けにかけて体調不良を感じていたので、内科・皮膚科・整形外科を受診しました。そのとき、肝機能の数値やCPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)が高いことから、大学病院を受診し、「混合性結合組織病」と診断されました。
編集部
どのような不調や自覚症状がありましたか?
村上さん
具体的には、全身のだるさ、突然の全身の関節痛、全身の浮腫み、声が出にくくなる、微熱、思うように手や足が上がらない、息切れといった症状が現れました。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
村上さん
私の場合は合併症の間質性肺炎を発症していたため、入院治療となりました。「ステロイドを1日50mg服用する治療を2週間続け、徐々に減らして1日30mgになったら自宅療養での治療になる。現状ではステロイドを服用しないということはできないので最低でも5mgは継続して服用もらう」という説明がありました。入院治療中、間質性肺炎にステロイドがあまり効かなかったので、免疫抑制剤も追加して治療を行っていました。
周囲の人や音楽に支えられた闘病生活
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
村上さん
「膠原病」という名前と、それが難病だということは知っていたので、私はどうなってしまうのだろう? と頭の中が真っ白になりました。
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
村上さん
紫外線に注意しなければいけないので、外出する機会が少なくなりました。あと一時期ステロイドの副作用でムーンフェイス、中心性肥満と外見が変わってしまったので、人に会うのも苦手になりました。
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
村上さん
家族や友人、音楽です。退院後、体力・筋力がほぼなく、まだ人にも会えなかったので家族には買い物を頼み、通院の際は送迎してもらいました。今現在もそうですが、感染症に気をつけなければいけないので、友人からはマスクや除菌のウェットティッシュなどをプレゼントしてもらいました。通院の関係上、引越をしなければいけない時も友人は手伝いに来てくれて、本当に助けられました。あとは中学生の頃から好きなアーティストも心の支えです。ちょうど発病した年にライブがあり(しかも私の誕生日)、これは絶対に行くぞ! と思って、検査や薬の副作用に耐えました。闘病と聞くと、孤独に闘うものだと思っていたのですが、実際は違いましたね。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
村上さん
何でも一人で抱え込まないで、周りに助けを求めてと助言したいです。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
村上さん
ありがたいことに混合性結合組織病は寛解したので、ステロイドの服用はしていません。ただ2023年4月に関節リウマチを発症したので、免疫抑制剤や骨粗しょう症の薬を服用しています。実はステロイドの副作用で2020年に左大腿骨頭壊死症になり、人工股関節になったので重いものは持たないように注意しています。また、引き続き紫外線にも注意しながらライブに行ったり、好きなこともしたりしながら求職活動もしています。
見た目ではわからない病気があることを知ってほしい
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
村上さん
見た目ではわからない病気もあると頭の片隅にでも置いていただけたらと思います。体がだるかったり関節が痛かったりする時に、その辛さを言葉で説明しても、見た目が普通で動けもするので、なかなか伝わらないんですよね。なので、例えばヘルプマークをつけている方を見つけたら「何かしら見た目でわからない疾患を持っている」と意識してもらえたらいいなと思います。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
村上さん
先生方には感謝しかありません。あとは副作用もあるステロイド以外で完治する新薬が見つかることを祈るのみです。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
村上さん
生きていると本当に何が起こるかわかりません。病気は他人事と思わず、一度きりの人生で何かやりたいことがあるのなら今やってほしいと思います。
編集部まとめ
膠原病の治療薬として欠かせないステロイド。多くの患者さんが長期間服用していると思いますが、村上さんは脱薬することができたそうです。同じ病気を抱えている方へ、「病気と丁寧に向き合って主治医からの注意事項は守って生活してみてください」とメッセージをいただきました。また、見た目ではわからなくても、疾患を抱え、人知れず痛みと闘っている人がいるのだということを忘れてはいけないことも、ぜひみなさん意識してみてください。