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「質のよい睡眠」はフレイルの予防にも効果的! 質の高め方・適切な睡眠時間を解説

 公開日:2023/11/21
「質のよい睡眠」はフレイルの予防にも効果的! 質の高め方・適切な睡眠時間を解説

皆さんの睡眠時間はどれくらいですか? 睡眠時間は長すぎても短すぎても良くないようです。質の良い睡眠と適切な睡眠時間を保つことで、認知機能の低下予防や生活習慣病予防、ひいては老化により生じる虚弱状態フレイル予防に繋がると言われています。質の良い睡眠とはどのような睡眠なのか、適切な睡眠時間はどの程度かなどについて、鹿児島大学教授で理学療法士の牧迫飛雄馬先生に詳しく解説していただきました。

牧迫 飛雄馬

監修理学療法士
牧迫 飛雄馬(理学療法士)

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2001年国際医療福祉大学理学療法学科卒業、2009年早稲田大学スポーツ科学学術院博士後期課程修了。国際医療福祉大学病院、リハビリ推進センター株式会社、札幌医科大学特任助教、日本学術振興会特別研究員(PD)、ブリティッシュコロンビア大学(Research Fellow)、国立長寿医療研究センター予防老年学研究部健康増進室長を経て、2017年より現職。日本老年療法学会副理事長、日本転倒予防学会理事など。

睡眠とフレイルの関係とは

睡眠とフレイルの関係とは

編集部編集部

睡眠と身体的フレイルの関係について教えてください。

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

良質な睡眠は、高血圧や糖尿病など生活習慣病の予防にも効果的とされていますが、身体的フレイルの予防や改善のためにも重要です。睡眠時間は、短くても長くても、身体的フレイルの予防のためにはよくありません。また、睡眠の質が悪化することもフレイルの要因にもなるとされています。

編集部編集部

睡眠はフレイルの精神・心理的な問題とも関係しているのですか?

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

質の悪い睡眠は精神・心理的な問題にも影響を与えます。睡眠不足はさまざまな生活習慣病のリスクを高めるとされていますが、認知機能の衰えにも影響することが懸念されます。睡眠不足や眠りが浅いことにより、脳や肉体の疲労回復のために重要だとされているノンレム睡眠(深い眠り)の時間が確保できないと、アルツハイマー病の原因物質と言われるアミロイドβが脳に蓄積されやすいとも言われます。また、長すぎる睡眠も認知機能の低下に影響すると言われています。

編集部編集部

睡眠に関して意識することでフレイルは予防することができるのでしょうか?

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

フレイルの予防のためにも睡眠を意識することは大事な生活習慣のひとつです。適切な睡眠時間、ぐっすりと眠れたと感じる睡眠の質、夜間の中途覚醒の防止、日中の眠気の防止などを意識することが大切です。日中の積極的な身体活動の促進は、これらの睡眠の状態を良好にすることにもつながります。

質の良い睡眠をとる方法とは

質の良い睡眠をとる方法とは

編集部編集部

睡眠の質はフレイルにどのような影響を与えますか?

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

睡眠の質の低下は、フレイルにとっても負の影響を及ぼすことが考えられます。睡眠の質が低下すると、睡眠で心身ともに休息できたという感覚が低く、日中の疲労感が取れずに活動量が減少していくことが考えられます。日中の活動量が少なくなると、フレイルのリスクも高くなり、夜の眠気を感じにくくなり、寝つきが悪くなるなど、さらなる睡眠不足や睡眠の質の低下を招いてしまうという悪循環に陥ってしまいます。

編集部編集部

質の良い睡眠とはどのような睡眠を言うのですか?

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

睡眠の質は、ぐっすり眠れたと感じる熟睡感や寝つき・寝心地、朝の目覚め感の満足度などが良い状態が質の良い睡眠とされています。途中で覚醒することが少なく朝はすっきりと目覚める、寝床に就いて時間をかけすぎずに入眠できる、夜間の睡眠で熟眠した感じが得られる、といった睡眠が質の良い睡眠と言えるでしょう。また、昼夜のメリハリがはっきりとしている、日中に眠気や居眠りすることがなく快適に過ごせる、といった日中の生活や体内リズムの状態も質の良い睡眠には重要となります。

編集部編集部

睡眠の質を高める方法について教えてください。

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

睡眠の質を高めるためには、寝るときの環境も重要ですが、寝るまでの準備や日中の生活リズムも重要となります。体内時計のリセットのために、朝起きたら太陽の光を浴び、起床して2時間以内に朝食を摂って体内の臓器を目覚めさせることも1日の始まりには大切です。日中は、適度に身体を動かす活動をおこない、日中に眠くなったら午後3時くらいまでを目安に短時間(15~30分程度)の昼寝も有効でしょう。また、夜間は寝る前のパソコンやスマートフォンの利用は控えて、カフェインの多い飲料は控えることも睡眠の質につながります。

長すぎても短すぎてもダメ。適切な睡眠時間とは

長すぎても短すぎてもダメ。適切な睡眠時間とは

編集部編集部

睡眠時間はフレイル予防にどのような影響を与えますか?

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

睡眠の時間は、短くても長くても、身体的フレイルの予防や改善にとってはよくありません。適度な睡眠時間を習慣化することが望ましいとされています。また、短時間の昼寝が有効となることも報告されています。ただし、夕方くらいに居眠りをしてしまうと夜間の睡眠の質を悪くしてしまいます。昼寝をする場合は、昼食後から午後3時くらいまでを目安に30分程度の昼寝がよいでしょう。

編集部編集部

適切な睡眠時間はあるのでしょうか?

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

個人差があり、適切で明確な睡眠時間は不明なところが多いですが、1日6~8時間の睡眠時間が目安となります。短くても(6時間以下)、長くても(8時間以上)、フレイルの予防や改善にとっては望ましくないと考えられます。ただし、睡眠時間のみに気がとらわれずに、睡眠の質を高めるためにも、日中の活動時間の確保など、1日の生活全体を考えて、規則正しい習慣が大切となります。

編集部編集部

適切な睡眠時間を得るためにはどのような方法がありますか?

牧迫 飛雄馬さん牧迫さん

リラックスした気分で睡眠することも重要です。副交感神経が働き、血圧や脈拍数が下がって呼吸が穏やかな状態となると眠りに入りやすくなると言われています。例えば、ぬるめの湯で入浴したり、読書をしたりして、ゆったり気分で寝床に入ることも有効です。眠れないことへの焦りは睡眠を妨げてしまいます。眠れない場合は、眠くなるまでは寝床に入らない、寝付けなかったら一度寝床から出る、などの方法も有効かもしれません。休みの日の朝に長めに眠りたいときは、普段との差を2時間以内にとどめて日による差を少なくすることも普段の適切な睡眠時間を得ることにつながります。

編集部まとめ

個人差はありますが、6〜8時間の適切な睡眠時間と熟睡感の得られる質の良い睡眠を確保することによる身体への効果について解説していただきました。他方、睡眠時間のみにとらわれず、1日の生活リズムを考えて、規則正しい生活を送ることがフレイル予防に大変重要であることを教えて頂きました。読者の皆様も改めて、睡眠、生活リズムに目を向けてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修理学療法士