妊娠検査薬を使うタイミングはいつ? 検査の仕組みや精度について 【薬剤師に聞く】
「生理が何日も遅れている」「なんとなくむかむかして体がだるい」など妊娠の可能性がある時に、まずは妊娠検査薬を使うという人は多いですよね。しかし、妊娠検査薬の使い方や仕組みを知っておかなければ、正しい結果が出ない可能性もあります。特に、妊娠初期は赤ちゃんの脳や神経など大切な臓器が作られるタイミングですので、早めに妊娠がわかるのが好ましいです。そこで今回は、妊娠検査薬の正しい使い方や使用するタイミングについて、薬剤師の速水さんに聞きました。
監修薬剤師:
速水愛(薬剤師)
目次 -INDEX-
妊娠検査薬の仕組みについて教えて! 妊娠しているか尿でわかる?
編集部
妊娠検査薬はどのような仕組みで行う検査ですか?
速水さん
妊娠検査薬は、妊娠したときに出るホルモン量で妊娠している可能性があるかどうかを判定する検査キットのことです。妊娠すると「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」と呼ばれるホルモンが分泌されます。このホルモンは、卵子と精子が一緒になり受精卵となったのち1週間ほどすると尿中に多く分泌されます。そして妊娠を維持させ、胎児の成長を促すなど大切な役割を果たします。このhCGというホルモンが妊娠検査薬と反応することで妊娠がわかる仕組みになっています。
編集部
妊娠検査薬の基本的な使い方を教えてください。
速水さん
hCGは、生理予定日からその1週間後までの間に尿中へ出てくる量が多くなるので、そのタイミングで妊娠検査薬を使用しましょう。また、尿をかけるタイミングも大切です。起床後すぐの尿を妊娠検査薬にかけ、検査薬を水平にしてしばらく待ち、判定窓に線が入れば妊娠している可能性があるという結果になります。比較的容易に判断ができます。通常妊娠をしていなければhCGは尿中に出ることはほぼないので、使い方を間違わなければ精度は高いと言われています。
編集部
妊娠検査薬の精度は具体的にどれくらいですか?
速水さん
正しく使えば、妊娠検査薬の精度は99%ほどと言われています。妊娠検査薬を作っているメーカーはさまざまありますが、大体どこの製品を使ってもさほど大差はないでしょう。また、検査をするタイミングが同時期であれば市販の妊娠検査薬も病院の検査もおそらく結果は一緒になると思われます。妊娠しているかも? と思ったら、まずは手軽にできる市販の妊娠検査薬を試してみるのがおすすめです。
妊娠検査薬を使うタイミングはいつがいい? 早く妊娠を知りたい場合はどうすればいい?
編集部
妊娠検査薬を使うタイミングはいつがいいですか?
速水さん
妊娠検査薬を使うタイミングは、生理予定日を過ぎてから1週間ほどを目安にしましょう。ちょうど「あれ?生理がくるのが遅いかも?」と思う頃です。生理予定日1週間後に妊娠検査薬を使う理由は、先ほども話した通り妊娠4週以降になるとhCGは尿中に排泄されるようになるためです。ただし、初めの頃はhCGの量がまだ少なく、妊娠検査薬は正しく反応できません。妊娠検査薬が正しく反応できるくらいの量になるには妊娠5週以降、つまり生理予定日1週間後になります。
編集部
妊娠しているか出来る限り早く知りたいときはどうすればいいですか?
速水さん
少しでも早く妊娠しているかどうか知りたいと思う方は「早期妊娠検査薬」を使い、判定してみてもいいでしょう。早期妊娠検査薬は少量のhCGでも反応してくれる仕組みになっています。生理予定日の3、4日ほど前から使うことができるので、妊娠しているかどうか気になって落ち着かない、仕事が手につかないという人などには便利な検査です。
編集部
性行為をした2週間後に妊娠検査薬を使うのは早いですか?
速水さん
性行為をしてから2週間後に妊娠検査薬を使うのは、まだ早いかもしれません。その理由は受精卵ができたあとに分泌されるhCG量が不十分であるためです。性行為をしてから3週間は検査を待ちましょう。そして、その結果が仮に陰性だったとしてもまだ妊娠していないと確定せずに、さらにもう1週間待って再検査することをおすすめします。「性行為してから何日で陽性?」「性行為してから何日で妊娠が発覚しますか?」という問いへの明確な答えはありません。
妊娠検査薬の正しい使い方を解説 失敗しないポイントとは?
編集部
妊娠検査薬を早い段階で使うと偽陰性になりますか?
速水さん
偽陰性とは、本来妊娠しており妊娠検査薬も陽性反応が出るはずなのに、何かしらの原因があり誤って陰性反応となってしまうことです。偽陰性となるケースはいくつかありますが、妊娠検査薬を使うタイミングが早すぎる(性行為をしてから3週間未満に妊娠検査薬を使う)ことが一例として挙げられます。これは「フライング検査」とも言います。このほかには、大量に飲み物を飲んだ後の尿で検査するなども偽陰性となる可能性があるので、しっかりと使用の際にはタイミングを守りましょう。
編集部
では逆に偽陽性となる場合もあるのですか?
速水さん
もちろんあり得ます。偽陽性とは、本当は妊娠していないのに陽性反応が出ることをいいます。主な原因としては、卵巣がんや子宮頸がんなどの腫瘍がひそんでいることや、hCGが関係するホルモン剤を飲んでいる、尿を妊娠検査薬にかけすぎる、尿中にタンパク質が多く含まれる、流産経験があるなどが考えられます。
編集部
妊娠検査薬を失敗せずに使うポイントを簡潔に教えてください。
速水さん
一番良いのは、生理予定日から1週間後に妊娠検査薬を使うことです。そして生理予定日がよくわからない場合は、性行為をしてから少なくとも3週間たってから検査するようにしましょう。そして妊娠検査薬に尿をかける際には、多すぎず少なすぎない適量を心がけてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
速水さん
妊娠検査薬はドラッグストアなどで手軽に購入出来る一方、使い方を間違えると正しい検査結果が出ずに自分の身が危なくなる可能性があります。ついつい「早く検査結果が知りたい」と思うかもしれませんが、適切なタイミングでの検査を心がけましょう。また、仮に検査結果が陰性であったとしても、お腹が張ったり、生理が遅れたりするようであれば早めに医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ
今回は、妊娠検査薬の仕組みや使い方の注意点について解説していただきました。妊娠検査薬の正しい使い方については、意外と皆さんが知らないことも多かったのではないかと思います。妊娠したかもしれない、と思ったときに焦らず落ち着いて対応できるよう、事前にしっかりと妊娠検査薬の使い方をマスターしておきましょう。