【闘病】嫌な喉の痛み… まさかの「ステージ4の悪性リンパ腫」だった
喉の痛みが治らず病院を受診したところ「悪性リンパ腫」と診断された大沼さん。悪性リンパ腫と聞くと、とても怖い病気というイメージがありますが、大沼さんの場合は抗がん剤がよく効き、完全寛解したそうです。今回は大沼さんの闘病体験を通して、悪性リンパ腫を理解していきたいと思います。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年5月取材。
体験者プロフィール:
大沼 弥生
東京都在住、1962年生まれ。息子2人。東京都在住。診断時の職業は会社の事務。2021年に悪性リンパ腫が発覚し、経過観察ののち化学療法を受ける。2022年完全寛解。現在は再発予防のための維持療法(分子標的薬を2カ月に1回、2年間投与)を受けている。
記事監修:
今村 英利いずみホームケアクリニック
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
目次 -INDEX-
複数の病院を転々…そしてようやく「悪性リンパ腫」と診断
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
大沼さん
喉の痛みが治らずにどんどん悪化していき、水を飲むのも辛い状況になりました。発熱や倦怠感もなく、喉の痛みだけなので耳鼻咽喉科に行きましたが、複数の抗生剤や漢方薬でも治りませんでした。次に大きい病院の耳鼻科で組織検査をしても、はっきりした病名はわかりませんでした。そこでPET検査を受けたところ、悪性リンパ腫の可能性があるとのことで、血液内科のある病院を紹介されました。耳鼻科ではあご付近にあったしこりの生検も行い、後日悪性リンパ腫の中でも低悪性度の「濾胞性(ろほうせい)リンパ腫」と診断されました。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
大沼さん
ステージ3なので化学療法(抗がん剤)で治療すると言われました。ただ私の病型は年単位でゆっくり進むものなので、喉の痛みがなければしばらく経過観察をしてもよいとのことでした。でも、当時はコロナ禍で、ワクチンを2回打ったあとでなければ抗がん剤ができません。なかなか予約が取れないワクチンですが、かかりつけ医の協力で早く打つことができたこと、1回目の接種後に喉の痛みがなくなったことで、しばらく経過観察となりました。しかし、そのあと急激にあごのリンパが腫れ、涙腺にも腫瘍ができてステージ4となったので抗がん剤治療を始めました。
編集部
具体的にどのような抗がん剤治療を行なったのでしょうか?
大沼さん
標準治療である「R-CHOP療法」を6クール行いました。また、涙腺を支配する脳神経(中枢神経)などには抗がん剤があまり届かないとのことで、脊髄腔(せきずいくう)へ注入する化学療法でメソトレキセートとデキサメタゾンを計2回投与しました。初回は入院しましたが、2クール目からは通院で行いました。
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
大沼さん
やっと診断がついてほっとした気持ちでした。
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
大沼さん
話を聞いてもらうことが心の支えに。治療中と現在の過ごし方
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
大沼さん
二人の息子たち、親しい友達、趣味の活動、主治医の穏やかさです。そして、病院のピアサポーターさんにも大変お世話になりました。ピアサポーターというのは、その人自身もがんの経験をお持ちで、その経験を活かして同じ境遇にある人たちをサポートする人のことです。医師に話しづらいことを聞いてもらえたり、患者目線でのアドバイスをもらえたりと、私にとってとても心強い存在でした。どの病院にもある制度ではないようなので、この記事を読んでくださったみなさまにぜひピアサポーターの存在を知っていただけたらと思います。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
大沼さん
自分の生活を振り返ってみると、野菜嫌い・夜型の生活と乱れた生活習慣が良くなかったと思います。なので、昔の自分に声をかけるとしたら、野菜をもっと摂ることと、睡眠時間を増やすようにと言いたいです。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
大沼さん
抗がん剤治療終了直後にコロナにかかってしまい、肺炎になって1カ月入院するなど大変な思いをしましたが、今は後遺症もなく元気です。仕事は退職し、趣味を楽しんでいます。維持療法を受けている間は、抗がん剤治療中と同様に免疫力が低下してしまうので、コロナなどの感染症に人一倍注意しています。しかし、この冬に少し無理をしたのか、軽症ではあるものの帯状疱疹を発症してしまいました。特に体調の悪さや疲れを感じていなくても、コロナや帯状疱疹に罹患したことでやはり免疫力が落ちているのだと、身をもって知りました。維持療法中は特殊な肺炎を予防するための薬(バクタ)を週に2回、1日2錠服用しています。
日々進歩していく医療に救われた。情報の取捨選択も大切な理由。
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
大沼さん
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
大沼さん
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
大沼さん
悪性リンパ腫やそのほかのがんになったとしても、医学は日々進歩しており、どんどん良い薬も開発されています。そしてネットには病気の経験者をはじめさまざまな情報があふれているので、取捨選択して自分にとってためになる情報を取り込むことも有意義であると思います。
編集部まとめ
大沼さんは、「がんは、患者が治療法を選択していく時代だと思います」とおっしゃられていました。取材を通して、インターネットの情報を鵜呑みにするのではなく、自分の病気の参考になる情報を取捨選択することの大切さ、そして、納得した上で治療を受けることの大切さを実感しました。