【闘病】はじめて授かった子どもは死産「もう同じ経験はしたくない…」恐怖に打ち勝って出産(2/2ページ)

「不妊治療は妊娠して終わりではない」妊娠中にも助成制度を

編集部
不妊治療を経て、夫婦の関係性には何か変化がありましたか?
Nakoさん
私たちは同い年で仕事が似ていることもあり、不妊治療を始める前はフラットな関係でした。しかし、不妊治療を始めたら、私の方が会社を抜けて通院したり、手術や検査をしたりする回数が多く「全然対等ではないな」と思いました。社会的に男女平等を求める動きもありますが、初めてその意味がわかりました。
編集部
旦那さんはいかがですか?
Nako夫さん
彼女が治療や検査で辛かったときには、「私の代わりに出産して!」と言われました(笑)。女性と同じ体験をすることはできませんが、子どもが産まれてくる痛みなどをできるだけ想像するようにしていました。
編集部
治療を終えて、政府や医療機関に望むことはありますか?
Nakoさん
不妊治療は妊娠してゴールではなく、そこからがスタートです。現在、少しずつ助成制度が整備されてきましたが、できれば不妊治療だけでなく、妊娠や出産における助成制度を手厚くしてほしいと思います。
編集部
旦那さんはいかがですか?
Nako夫さん
僕は現在、2週間の育休中なのですが、本当は1~2カ月取りたかったんです。会社に育休制度はありながら、実際にその制度を使おうとすると上司があまりいい顔をしないのが現状です。今、僕の友だちがドイツにいるのですが、ドイツでは国をあげて男性も3カ月の育休を取るよう推奨されているらしく、そうした国と比べると日本はまだ遅れているなと思います。また、制度自体は用意されていても、それを活用しようとする人のマインドが変わらないと、なかなか実態が伴わないんじゃないかなと思います。
編集部
最後に、これから不妊治療を始める人や、治療中の人へのメッセージをお願いします。
Nako夫さん
男性も不妊治療中は不安や悩みを抱えるもの。1人で問題を抱え込んで殻に閉じこもるのではなく、ぜひ周りの人と話をして悩みを共有してほしいと思います。僕は会社の先輩と話をすることで、役立つ情報をもらえましたし、不妊治療中に起こり得る悩みや問題についても色々と教えてもらえました。不妊治療をしていない普通の友だちに治療の悩みを相談するのは難しいので、ぜひ同じ環境の人を見つけて、様々な話ができるといいと思います。
編集部
Nakoさんはいかがですか?
Nakoさん
私はよくTwitterなどのSNSを活用していたのですが、なかにはネガティブな感情でいっぱいになっている人も見かけました。同じ不妊治療をしていた仲間が無事に妊娠出産をして、SNSで幸せな写真を投稿しているのを見つけては、「あれは私への当てつけだ!」と言ったり、「マウンティングだ!」と怒ったり……。そういう人と関わると自分もネガティブな感情に引きずり込まれそうになるので、その人とは距離を置いて連絡を取らないようにしていました。また、無事出産した人に対する妬みや愚痴ばかりを聞いているとその雰囲気に飲み込まれてしまいそうだったので、あえて距離を置きました。不妊治療中は不安を感じることも多いけれど、できるだけ自分のメンタルを保つためにも、自分に悪影響になりそうな情報はシャットダウンするくらいの割り切りが必要だと思います。
編集部まとめ
タイミング法で妊娠できたものの、染色体異常による死産を経験。二度目に妊娠したときには「また染色体異常だったら……」「死産だったら……」という思いが呪縛のように襲いかかってきたとNakoさんは言います。そうした不安を増幅させないためにも、自分に不要な情報はシャットダウンする強さが重要とのことでした。できるだけ精神をポジティブな状態で保つためにも、情報の取捨選択には注意する必要がありそうです。





