【糖尿病体験】夜勤続きで乱れた食生活を後悔 「自分は大丈夫」は禁物
糖尿病を予防する意識を持つことは大切です。そうわかっていても、自らを律することは簡単ではないのでしょう。糖尿病罹患者となった藤丘さん(仮称)は、予防の意識が足りなかったことを後悔しています。「糖尿病は生活習慣を正せば、予防していける病気だと思っています」と語る藤岡さんに、糖尿病を患うまでの過程や予防の大切さについて話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年3月取材。
体験者プロフィール:
藤丘さん
1961年生まれ。独身、一人暮らし。2019年に糖尿病を発症し、現在でも通院治療中。現在は、受診の際に血液検査結果をもとに、先生から処方された薬を内服しながら食事療法と運動療法を行う。職業柄、外出することも少なく、また新型コロナ感染症の拡大によって外出が制限されたため、家の中で出来る筋トレを行っている。
記事監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
目次 -INDEX-
診断までの経緯
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
藤丘さん
私は仕事で夜勤の仕事をしていました。2019年5月に職員健診を行った病院で、血糖が高く、ヘモグロビン値も高値だったため、専門のクリニックを紹介しますと言われ、2019年5月に紹介先のクリニックを受診しました。そこで糖尿病と診断されました。
編集部
糖尿病と診断されるまでに予兆のようなものは感じましたか?
藤丘さん
少し太ってきたという感覚はありましたが、診断されるまで自覚症状は感じていませんでした。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
藤丘さん
先生からは「とにかく痩せてHbA1c値を下げましょう」と言われ、飲み物や食事に気をつけるようになりました。運動は体力的に至らないところもありましたが、食事療法と運動療法でヘモグロビン値を下げる努力をしていました。それでも下がらなければ、内服を開始しましょうとの説明でした。通院し始めてしばらくは、採血でヘモグロビン値を観察していたようです。自分としても、お薬はできるだけ飲みたくなかったので、食事と運動で頑張ろうと思っていました。
病気の判明した時の心境とその後の経過
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
藤丘さん
糖尿病と診断されたときはびっくりしたのとともに、とてもショックでした。皆さんおっしゃることは同じだと思いますが、まさか自分が糖尿病にかかるとは思っていなかったですね。今まで病気になったことも、入院したこともなかったですからなおさらでした。とにかく、先生の言うことを聞いて治療に専念することにしました。
編集部
治療中の心の支えはなんでしたか?
藤丘さん
家族がいないので、食事の買い出しから食事作り、飲み物を作って飲むことなど、全て自分がやっていました。一人なので自分を甘やかすこともできたでしょうが、「だからこそちゃんとしなければ」と思って励んでいました。実際、糖尿病の悪化で透析に移行したり、失明や足の切断になったりした方の話も聞きますが、自分はまだ悪化していないので「ここで食い止めてそんな状況にならないようにしなければならない」、それだけを考えて治療に専念しています。先生の助言やアドバイスを受けながら過ごしています。
編集部
発症後、食生活はどのような変化がありましたか?
藤丘さん
糖尿病と診断されてからは、栄養士の食事指導を受けて食事の量と質、飲む物が大きく変わりました。先生から果糖ブドウ糖液が糖尿病に悪影響を及ぼすと言われていましたので、果糖ブドウ糖液が入っているモノを摂らないように気をつけています。普段の飲み物は、お茶を中心に摂取するようにしました。運動の量も筋トレを増やすようにしています。最初のころは、極力糖質を減らしていました。全く糖質を取らないようにしていた時期もありました。
編集部
現在の食生活はどうしていますか?
藤丘さん
糖質制限をした食事内容の指導を受けながら、血糖をなるべく上げないように気をつけて食事を作っています。これは過去の自分にとっての反省でもありますが、夕食は遅くとも20時前までに済ませるようにしています。食事時間が不規則で、摂取時間が遅いと血糖が上がったままになると教わっています。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
藤丘さん
現在は夜勤の仕事を辞めて、日中に自営の仕事をメインにしているため体調はいいです。運動は有酸素運動より、筋トレをメインに行っています。また、糖尿病専門の先生を探して、そのクリニックに通院を続けています。先生の言いつけで、内服治療も受けています。
編集部
内服治療で副作用はありましたか?
藤丘さん
以前、よく効く薬と言われ、尿から糖を出す薬を処方していただいたことがありましたが、私には合わず泌尿器系に副作用が出てしまったため、その後インスリンを活性化する薬に変えてもらいました。現在は朝一回1錠、1日3回の1錠ずつの薬でコントロールが出来るようになりました。それ以後、副作用は出ていません。
予防の大切さを実感
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
藤丘さん
仕事柄夜勤も多かったので「食事や生活習慣を規則正しくすること。夜中に重めの食事をしないようにすること」です。夜中の食事は、身体にとても悪いと思います。糖質を夜中に沢山取ることは血糖を上昇させる原因にもなります。仕事が夜勤だからとは言え、もっと考えるべきだったと後悔しています。
編集部
「自分は糖尿病にならないと思っている人」に一言お願いします。
藤丘さん
糖尿病はある程度歳を取った人が患う病気だと考えている人が多いかもしれません。ですが、ジャンクフードやお菓子を沢山日常的に摂取している人は、生活習慣病のリスクが増加していると思います。自分もそうでしたが、最近は太っている人が若い方にも多く、食べ物も特に気を使うことなく食べたいものを食べている感じがします。もっと食べているものを意識して、栄養・成分なども日頃から考えながら食べることを推奨します。糖尿病は予防出来る病気です。ありきたりですが、若い頃から健康に気をつけて食事や運動を行ってほしいと思います。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
藤丘さん
仕方ないことと受け止めている部分もありますが、病院を受診すると、予約時間があってないもののように感じます。待たないようにするための予約制度だと思うので、もう少し改善してもらえると助かります。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
藤丘さん
糖尿病の怖いところは、自覚症状があまりなく発覚するところと合併症です。失明や人工透析をしなければ生活していけないような腎機能の悪化、足の切断にも繋がりかねません。心臓や脳の病気にもなりやすいため、やはりできる限り若い時期から予防に取り組んだほうがいいと思います。自分は病気にかからないから大丈夫という安易な考えは捨てるべきです。
編集部まとめ
糖尿病を罹患した人たちは、継続的な食事に制限が必要であり、個人差はあれど生活の変化を求められます。今後の生活の質を落とさないためには、やはり予防の意識が重要になりそうです。糖尿病に限らず、病気には気をつけて生活していきたいものです。