【闘病】「出産まで安心できなかった」流産を乗り越えて、ついに不妊治療が実を結ぶ(2/2ページ)

医療機関探しで“迷子”にならないように

編集部
不妊治療を経て、夫婦の関係性には変化がありましたか?
りんこさん
結婚して間もなく不妊治療を開始したので、治療の前後で夫婦の関係性が変わったということはありませんでした。ただ、治療を通してたくさん話し合う機会があったので、お互いの理解が深まったと思っています。
編集部
治療を始める前と実際に経験したときで、ギャップはありましたか?
りんこさん
ありました。こんなに心身ともに辛いものだと思わなかったですし、お金も想像以上にかかりました。正直に言って、「しなくて済むなら、不妊治療なんてやりたくなかった」と今でも思います。とくに女性側の負担は大きいですから。
編集部
心身ともに、相当負担が大きかったのですね。
りんこさん
はい。治療を無事に卒業できれば、その後は出産や新生児のお世話が待っています。本当に子育てはずっと大変です。もちろん幸せなことではありますが、不妊治療中からこれまでずっと休む間がないですね。
編集部
治療を始める前、万が一治療が上手くいかなかったら「どのタイミングで治療をやめるか」ということは夫と話し合っていましたか?
りんこさん
いいえ、治療を始める前にはそういう話をしませんでした。しかし、会社を1年間休職して治療に専念しようと決めたとき、「これでダメだったら終わりにしよう」という思いはありました。幸いにも、不妊治療休職期間に入ったらすぐに妊娠したので、治療期間は2年半で終わりました。
編集部
不妊治療を終えた今、政府や医療機関に望むことはありますか?
りんこさん
できれば、不妊治療に関する情報をオープンにしてほしいです。振り返ってみると、色々な医療機関を転院したり、採卵をやり直したりしたことで、時間とお金がもったいなかったなと感じました。例えば、不妊治療をおこなう医療機関が条件を一定にして成績を公開すれば、「自分にはどの医療機関で、どの治療をするのが向いているんだろう」と客観的に判断することができますよね。でも、現在はそうした基準がないので、たくさんの人が自分にふさわしい医療機関や治療法を探して迷子になってしまっている。それはとてももったいないことだと思います。
編集部
なるほど。情報がきちんと公開されていれば、効率的な選択ができるということですね。
りんこさん
実のところ、私はあと4つ凍結胚が残っていました。だから、頑張れば第二子を望み、治療することもできたんです。でも、第一子で時間もお金もだいぶかかってしまったので、第二子は難しいと諦めました。もし、医療機関を選ぶ時間が短縮できて、費用も軽減できていたら、第二子を望めたかもしれない。私と同じ思いをしている人はきっとたくさんいるんじゃないかと思います。
編集部
政府も「少子化対策」と唱えているなら、そのあたりの情報整備も期待したいですね。
りんこさん
そう思います。聞くところによると、海外だと不妊治療の情報公開が進んでいる国もあるそうです。ぜひ、日本の不妊治療もそうなってほしいと思います。
編集部
最後に、これから不妊治療を始める人や治療中の人へメッセージをお願いします。
りんこさん
不妊治療中、私はずっと情報収集ばかりしていました。血液検査を受けたら、「私の検査結果は他人と比べてどうなんだろう」って検索したこともありました。治療に目を向けすぎて、気分転換ができていなかったんだと思います。でも、今思うのは「もっと自分を労る時間があってもよかったな」ということです。お茶を飲んだり、散歩をしたり、自分の時間を作れば、もっと気持ちを楽にすることができたかもしれないと思います。治療が無事に進んで卒業できれば、その後は出産や子育てが待っています。治療中に心身が疲れ果ててしまったら、出産や子育てを乗り切れません。治療を諦めることになった場合も、この2年半は治療以外何もせず過ぎてしまった、と振り返って辛かったと思います。これから不妊治療を始める人や現在治療中の人には、ぜひ自分を労ることも意識して、あまり頑張りすぎないでほしいと思います。
編集部まとめ
「どの医療機関で治療を受けたらいいか悩んで、迷子になっていた」というりんこさん。この言葉には、きっと多くの人が頷くのではないでしょうか。医療機関選びは不妊治療の第一歩ですが、後悔しないためにも、ぜひセカンドオピニオンやサードオピニオンも参考にしながら、自分に合った医療機関や治療法を探したいですね。





