【闘病】足のむくみの正体が「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」だったとは
多くの女性は「浮腫み」を感じたことがあるのではないでしょうか? そのくらい身近な「ちょっとした不調」でも、実は大きな病気の症状という場合があり、放っておくと重症化する可能性もあります。G.I さん(仮称)も、浮腫みやすさを感じながら、「年齢のせいかな」と何ヶ月も様子を見ていた1人でしたが、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と診断されたといいます。詳しく経緯を聞かせてもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年4月取材。
体験者プロフィール:
G.I さん(仮称)
1973年生まれ、愛媛県在住。2021年6月頃から右足に浮腫みを感じるようになり、次第にひざ下全体に痺れを感じるようになる。やがて、同年10月に「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」と診断された。現在も治療継続中。
記事監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
年齢とともに体質も変化してるのかなぁ…
編集部
最初に不調や違和感を覚えたのはいつ、どのような状況でしたか?
G.I さん
2021年6月頃、いつものようにヨガやストレッチをしているときに右足がむくんでいるように感じたのが最初の違和感だったと思います。
編集部
そうなる経緯として何か思い当たることは?
G.I さん
もともと小児喘息があり、大人になってから喘息が再発したため、鼻炎や中耳炎で病院にかかっていました。その際に「好酸球」という言葉を耳にすることがあり、血液検査の結果から自身の好酸球の数値が高いことも知っていました。好酸球が多いことで血管炎になる人もいると先生から言われたこともありました。ただ、その後目立った症状はなく、気にせず過ごしていたところで感じた違和感でした。
編集部
それまで足の浮腫みは感じたことはなかったのですか?
G.I さん
それまで足が浮腫むことは一切なかったのですが、女性は足が浮腫みやすいとよく聞きますし、「年齢とともに体質も変化してきたのかな」くらいに思っていました。その後、どんどん浮腫みやすくなりました。
編集部
診断に至るまでの経緯を教えてください。
G.I さん
朝起きて気がつくとすでに足が浮腫んでいて、夕方にはパンパンになるという状態が数ヶ月続きました。特に右足がひどかったです。ある日、椅子に座って足を上げると、なんだか足がザワザワして気持ちが悪く、さらに足の裏がピリピリと痺れるようになったのです。
編集部
新たに痺れが出てきたのですね。
G.I さん
はい。最初の数ヶ月は足首から下だけだったと思うのですが、徐々に膝から下全体までも痺れるようになっていきました。そこで軽く腰痛もあったので、一度病院に行ってみようと思って、喘息の薬をもらっている近くの内科に行きました。
編集部
どのような診断を受けたのですか?
G.I さん
その日はいつも診てもらっている先生がお休みだったので、代わりの先生に診てもらったのですが「腰痛のせいかもしれないから、大きな病院で腰のMRIを撮ってきてください」と言われました。また、その日測ってもらった血圧はとても高くてびっくりしました。
編集部
それで、別の病院に行ったのですか?
G.I さん
いいえ。仕事をしていたこともあり、少し先の日に予約をしていたのですが、内科を受診した2日後に激しい頭痛があり、救急病院にかかることになりました。その日の血圧もとても高く、痛み止めと血圧を下げる薬を処方されて帰ったのですが、薬はあまり効かず、翌日の仕事は早退することになりました。内科で点滴をしてもらい、少し具合が良くなったので帰宅しました。
編集部
頭痛は治りましたか?
G.I さん
いいえ。頭痛は治まらず、足の痺れは痛みに変わり、15分おきにトイレに駆け込むほどの下痢にもなりました。その日はどうにか我慢して過ごし、翌朝すぐに大きな病院に行ったところ、そのまま緊急入院となりました。検査の結果、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」と確定しました。
緊急入院と入院生活について
編集部
確定した病気について教えてください。
G.I さん
「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」という指定難病で、全身の血管に炎症を起こす可能性のある病気です。寄生虫などと闘ってくれるはずの好酸球が、膨大に増えてしまうことで起こります。喘息とアレルギー性鼻炎を患っている人がなる可能性が高いと言われていますが、私の場合どちらも持っていました。
編集部
どのように治療を進めていくと医師からは説明がありましたか?
G.I さん
3週間ほど入院して、まずは大量のステロイドによる点滴治療と、併行して免疫グロブリン療法も行います。状態を見ながらステロイドを経口摂取して、数値が落ち着いて退院した後は、ヌーカラという注射を導入しながら徐々にステロイドを減らしていきましょうとのことでした。
編集部
そのときの心境について教えてください。
G.I さん
まさか入院することになると思わなかったので、とにかく仕事のことで頭がいっぱいでした。3週間も連続で仕事を休んだことがなかったので、同僚に迷惑をかけてしまうことが一番辛かったです。
編集部
実際の治療は予定通りでしたか?
G.I さん
最初に先生が説明してくれたとおりに進みました。ありがたいことに血液検査や尿検査の数値は順調に良くなり、3週間の予定でしたが2週間で退院することができました。
編集部
入院生活で、何か印象に残っていることがあれば教えてください。
G.I さん
最初は大部屋の4人部屋に4人いたのですが、徐々に退院されて最後にはおばあちゃんと私の2人だけになりました。そのおばあちゃんが私のことを娘みたいだと言って優しくしてくれたり、コーヒーをご馳走してくれたりしたので、そういった人との触れ合いも嬉しい経験でした。
先延ばしせずに受診してください
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
G.I さん
もちろん入院時と比べると元気ですが、完治はしない難病ということもあり、一筋縄ではいかないなと感じています。血液検査の数値は改善してきていますが、足の痺れや痛みは相変わらず残っているので、痛みが続くときは気持ちも下向き気味です。少しずつ良くなっているようですが、長期にわたっているので、時々不安になってしまうことがあります。少しでも前向きになれるように、友達や同僚と食事に行ったり出掛けたりして気持ちを上げています。
編集部
病気の前後で変化したことを教えてください
G.I さん
限度はありますが、「自分がやりたいと思うことは挑戦してみよう」と思うようになり、1人でドライブなどを楽しむようになりました。休みの日に友人や同僚を誘って出掛けることももちろんありますが、行きたいなと思ったときに出掛けています。一度きりの人生、誰かのために生きているのではない、自分が幸せでないと意味がないと思うようになりました。
編集部
今までを振り返ってみて、後悔していることはありますか?
G.I さん
普通に考えればあり得ない体調の変化であったのに、当時は異常とは感じなかったことに驚きを感じています。今後は体調の変化に気づいたら、先延ばしせずに受診しなければと思っています。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
G.I さん
入院から退院まで本当にお世話になり、感謝しかありません。退院後も、一度休みの日にお世話になることがありましたが、救急指定の日でなくても診てもらえたのは安心できました。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
G.I さん
私の場合、病院にかかっていて症状も分かってはいたものの、浮腫みやすさは年齢のせいかなとか、足の痺れは腰痛のせいかなと思ってしまい、身体からのサインを見逃していました。今はネットでいろいろ検索できる便利な世の中なので、いつもと違う症状があった時は是非調べてみると良いと思います。皆さんも何だかいつもと違うと感じた時、年のせいや勘違いなどと思わずに、病院に行ってみてください。
編集部まとめ
不調が現れた時に「年齢のせいかな」と受診を先延ばしにしていたことを後悔している、と話してくれたG.I さん。いつもと違うと感じたら、忙しくても、まずはインターネットで症状を検索したり、医師を探したりしてみることから始めてみましょう。早期発見はとても大事です。G.I さん、ありがとうございました!