【闘病】あらゆる検査で「異常なし」なのに声を失ってしまった《心因性失声》(2/2ページ)

伝えたい思い

編集部
解離性運動障害経験したあなたが今伝えたいことを教えてください。
奈津美さん
心因性失声だけでなく、世の中にはいろんな病気があり、苦しんでいる人がたくさんいることを知ってもらいたいです。見た目が健康そうに見えても、本人はとても苦しんでいたり、葛藤していたりと、毎日を一生懸命に過ごしています。精神疾患は「気のもちよう」「考え方が良くない」「みんなストレスがある」「弱いからそうなる」などと言われます。人それぞれ、顔やスタイルが違うように、物事の受け止め方や受け止められるキャパシティも違うと思います。自分とは違う人間もいて、苦しんでいることを少しでも理解してもらえると嬉しいです。
編集部
なにか注意点はありますか?
奈津美さん
精神的な疾患は遺伝的要素も関わるとは思いますが、誰にでも起こりえると思います。人それぞれ、ストレスなどを受け止めるキャパシティ、感じ方が違います。他者(家族・友達・職場の同僚など)が自分の物差しで対象者に言葉かけをすると、病状を悪化させてしまいかねないと思いますので注意してほしいです。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
奈津美さん
ごく少数の方かもしれませんが、毎日のルーティンワークで雑になるケースもあると思いますが、デリカシーのない発言や態度をされる方もいらっしゃいました。そういう方には、人の身体の健康を支える仕事のプロとして対応していただきたいと思いました。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
奈津美さん
私の場合は声を失う心因性失声という症状でしたが、解離性運動障害はいろいろな症状が出るそうです。精神疾患はいまだに理解されにくいところがあります。私自身、周りの方に症状を説明すると、腫れ物に触れるような対応をされたこともあります。精神疾患を患ってしまった人は、私自身もそうですが、自分自身を責めている方もたくさんいます。そんなときに、他者からの言葉がとても深く突き刺さります。その人が一人で、抱えこんでしまって動けなくなったときには、ただただ、寄り添ってもらえたらと思います。
編集部まとめ
奈津子さんは、学生時代からストレスが原因で、精神疾患を何度も経験してきたそうです。精神疾患は検査データからはわからない場合も多く、患者さん自身も不安になり、余計にストレスを増幅させてしまうケースもあるようです。さいごに「精神疾患の診断を受けた場合には、自己判断で受診や内服・カウンセリングを辞めてしまうのではなく、継続して受診してください。適切な治療・アドバイスを受けると、病状を繰り返さないための抑止力になると思います。カウンセリングを受け、自分を知り受け止めることも再発の抑止力になると思います」と話されていました。見た目では理解しにくいもので、本人から言ってもらわないとわからないケースも多いですが、苦しんでいる方がおられる事実を理解し、接していく必要がありますね。







