【闘病】摂食障害で155cm・30kgでも「痩せている」とは思えなかった(2/2ページ)

食への「許容」が少しずつ増えていった

編集部
治療や闘病生活の中で、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。
moeさん
入院初めは食べ物を見るのも嫌で、食べようと思って口まで運んでも食べられない状況が続いていました。私は6人部屋での入院で、周りには同世代や自分より小さな子が入院していました。周りの子たちはみんな食事を楽しんで食べていて、とても幸せそうだなと感じました。最初は疎外感がありましたが、そのような環境にいるうちに、本当に少しずつですが、食事への抵抗がなくなり食べられる量も増えていきました。部屋のみんなで話しながら楽しく食べることで、こんなにも食事への恐怖や抵抗が和らいでいくのかと感じました。時間はかかりましたが、周囲の環境や楽しみながらご飯を食べるということだけで、こんなにも食事に対する意識を変えられると学べたことが入院中で一番印象に残りました。
編集部
病気の前後で変化したことを教えてください
moeさん
一番変わったことは、食事に対する楽しみができたということです。入院前は、食事の時間が1日の中で一番苦痛でした。食べたくないのに食べないといけないという、いわば地獄のような時間でした。ですが、退院後はある程度いろいろなものを食べられるようになって、食べたいと思うものができたり、行きたいお店ができたり、食事を自ら楽しむことができるようになりました。それまではできなかった外食ができるようになったり、スイーツが食べられるようになったり、少しずつ食への許容が増えていったことが大きな変化です。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
moeさん
もっと多くの病院で摂食障害を診てほしいです。私は診てもらえる病院を見つけるまで何件も病院へ行きました。国が定めている摂食障害専門病院は予約を取ることすら難しく、本当に自分が辛い時や困っている時に診てもらうことができません。心療内科にも何件も行きましたが低体重で受け入れてもらえませんでした。摂食障害で悩んでいる人、辛い思いをしている人はたくさんいます。少しでも多くの人が早い段階で、診察してもらえる環境をつくってほしいです。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
moeさん
私は摂食障害になり10年経ちます。そして食べなかったことを本当に後悔しています。痩せすぎた外見だけでなく、体の機能や骨粗鬆症のリスク、妊娠が出来ない体になるかもしれないという不安や恐怖と今も闘っています。もし、周りに摂食障害かもしれないという人がいたら、声をかけてあげてください。摂食障害は一度なってしまうと回復まで時間がかかるし、本人も周りの人も辛い思いをしてしまいます。摂食障害に陥る前に周りが気づいてあげられれば、早い段階で救うことが出来るかもしれません。そして今摂食障害と闘っている方は、辛いかもしれません。どうしたらいいかわからないかもしれません。でも大丈夫。自分を信じて、治したいという意思が少しでもあったら乗り越えられます。私も頑張ります、乗り越えます。一緒に闘いましょう。
編集部まとめ
「拒食症」という言葉は聞いたことがありましたが、食事や体重に応じて行動範囲を増やす「行動療法」についてきちんと話を聞かせてもらったのは初めてでした。食事が「自由に行動するための手段」になってしまうのはお辛かったと思いますが、周りの方達に支えられながら「食べる楽しみ」を感じられるようになり本当に良かったです。そんな経験を経てからの「周りに摂食障害かもしれないという人がいたら声をかけてあげてください。」というメッセージに重みを感じました。moeさん、ありがとうございました。




