【闘病】いつも食べていたものが食べられなくなった《クローン病》(2/2ページ)

自分の調子を見ながら食事に気をつけています

編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
亜理沙さん
現在は薬での治療と、回盲部(右わき腹のあたり。小腸と大腸のつなぎ目)に狭窄があるため、定期的なバルーン拡張術(風船によって狭窄部を広げる治療法)をしています。食事も朝は食べないで、昼と夜に固形物。間食した方がいいと栄養士さんに言われたので、職場でエンシュア、ラコール(ともに半消化態栄養剤)を飲むといった生活です。自業自得ですが、調子に乗って完全にダメなものを食べた日は、お腹が張ったり、翌日にお腹を下したりする日もあります。その際は、経鼻経腸栄養でエレンタールを夜寝る前から朝にかけて注入したり、固形物を食べるのを辞めて、エンシュアやラコールのみの生活に切り替えたりしています。
編集部
食事で気をつけていることはありますか?
亜理沙さん
クローン病になってから、食事は継続的に注意しています。脂身の少ないお肉はOKなので、牛肉も普通に食べられます。一般的に便秘に良いとされるものは、すべてNGだと考えています。あとは、刺激物とよばれる辛いものや、柑橘系の果物も酸が刺激となるので食べられません。調子が悪いときは、固形物を入れるとその分腸が働いてしまうので、なるべく腸が動かないようにお粥やうどん、そうめんなどの消化に優しいものを食べるようにしています。お腹の調子も、ある程度年月が経つと、張っているな、なんか調子が悪いなというのがわかるようになるので、自分の体調を見ながら、食べるものに気をつけるという生活をしています。
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
亜理沙さん
クローン病という病名自体を聞いたことがない人も多いでしょうし、名前だけだとどんな病気なのか想像もつかないと思います。クローン病は症状が出ても、お腹が痛いという表現しかできないことが多いです。また、人によって全然症状が違いますし、「お腹が痛いだけでしょ?」と思われることが非常に多いですが、冷や汗が出るほどの痛みだったり、トイレから出られなくなるなど、生活に支障をきたりすることもしばしばあります。こういう病気があることを理解してもらいたいなと、よく思います。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
亜理沙さん
病気について知ると食事制限があるから、周囲の人は「気軽にご飯に誘えない」と気を遣うと思います。これはその人の性格にもよりますけど、私は誘われると嬉しいです。目の前でステーキを食べられても平気ですし、なんなら「一口ちょうだい」というタイプです(笑)。もし自分が食べられないものを目の前で食べられても、本人はそこまで気にしていないという人も多いのではないかと思うのですよね。一口食べたところですぐにお腹が痛くなるというわけでも、急激に悪化するという病気でもないので、あまり神経質にならないでほしいですね。
編集部まとめ
クローン病になった当時は、食べたいものが食べられないことや、仕事も休みがちになってしまうなどした亜理沙さん。取材後、現在では、ご自身の体調もある程度予測しながら、「食べたいものを食べる不良患者です!」と明るく語ってくださりました。病気と戦うことも大切ですが、病気と寄り添うことも重要であることを学べたインタビューでした。



