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AGA治療の飲み薬、ミノキシジルには副作用も! 理解の上でリスク管理できる医師と治療しよう

 更新日:2023/03/27

AGA治療薬には飲み薬や塗り薬といったように、いくつか種類があります。しっかりと効果が出るかはもちろんですが、「副作用」もけっして無視できない問題です。そこで、AGA治療薬の副作用の実態を、「神田駅前クリニック内科」の遠藤先生に伺いました。

遠藤 広史医師

監修医師
遠藤 広史(神田駅前クリニック内科 院長)

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浜松医科大学医学部医学科卒業。日本医科大学救急医学教室入局を機に各医療機関へ出向、AGAクリニックの勤務歴ももつ。2021年、東京都千代田区に「神田駅前クリニック内科」を開院。主に、内科、不眠症、AGAの診療を扱っている。日本救急医学会専門医、日本集中治療医学会専門医、プライマリ・ケア連合学会指導医。

AGA治療薬の種類と評価

AGA治療薬の種類と評価

編集部編集部

AGA治療薬の成分で最も耳にするのは、「ミノキシジル」という印象です。

遠藤 広史医師遠藤先生

そうかもしれませんね。ミノキシジルは、処方薬と市販薬の双方で多用されています。ただし、「日本皮膚科学会ガイドライン2017年版(※)」では、ミノキシジルの外用、つまり塗り薬のみにA評価を与えています。A評価とは、「おこなうよう強く勧める」ことを意味します。

※日本皮膚科学会ガイドライン2017年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf

編集部編集部

同じミノキシジルでも、使い方によって評価が違うということですか?

遠藤 広史医師遠藤先生

違います。ミノキシジルの内服、つまり飲み薬はD評価になっています。D評価は、「おこなうべきではない(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)」です。ミノキシジルを内服する場合、心臓血管系に重大な影響を及ぼすことが懸念されています。

編集部編集部

塗布と内服で正反対なのですね。つまり、ミノキシジルの「飲み薬」は避けるべきだということですか?

遠藤 広史医師遠藤先生

ミノキシジルの内服そのものは、効果のある治療方法です。問題は副作用リスクなのですが、米国国立医学図書館のホームページによると、ミノキシジルの内服について「専門性の高い医師が管理するように」と記載されています。つまり、否定はしていないということです。飲み薬の成分は頭部に限らず全身に行き渡るので医師による経過観察が必要なのです。そのコントロールを担当医がおこないきれるかということが問題となっています。

「A評価」のAGA治療薬でも副作用は起こり得る

「A評価」でも副作用は起こり得る

編集部編集部

一方、塗り薬のミノキシジルであっても、副作用はありますよね?

遠藤 広史医師遠藤先生

起こり得ます。血流促進作用による動悸(どうき)や息切れ、血圧の低下作用による立ちくらみなどが報告されています。それでもA評価なのは、副作用リスクが極めて稀で、それらを上回る効果があるからなのでしょう。

編集部編集部

治療による「初期脱毛」というキーワードを聞いたことがあるのですが、これも副作用ですか?

遠藤 広史医師遠藤先生

はい。AGA治療の主眼は、髪の毛が生えてくる「ヘアサイクル」をリセットすることです。このリセットによって、“ゼロからやり直しするための初期脱毛”が起きます。ただし、正常なプロセスなので、治療開始から3カ月もすれば髪が生えはじめてくるでしょう。なお、初期脱毛へ目をそらせておいて、副作用に注視させないような誘導広告もあり得るので要注意です。

編集部編集部

初期脱毛はAGA治療全般に言えることですよね?

遠藤 広史医師遠藤先生

そうですね。初期脱毛はAGA治療に共通した症状で、ミノキシジルに限った兆候ではありません。また、上述した動悸や息切れなどの副作用も、AGA治療薬全般にみられる症状と考えていいでしょう。もし、これらの副作用が確認できたら、処方元のクリニックへご連絡ください。

AGAの治療薬は自分に限らず、他人への副作用にも要注意

自分に限らず、他人への副作用にも要注意

編集部編集部

先ほどの評価で、男女による違いはあるのでしょうか?

遠藤 広史医師遠藤先生

はい。今回のテーマと離れますが、「フィナステリド」と「デュタステリド」の内服には性別による差異があります。男性は「A評価」なのに、女性だと同じ成分の内服でも「D評価」となっています。ここで注意いただきたいのが、内服薬の管理方法です。女性が自分の薬と間違って飲んでしまうことも考えられるからです。

編集部編集部

なるほど。あるいは、触った手を何らかのタイミングでなめてしまうとか?

遠藤 広史医師遠藤先生

あり得る話でしょうね。薬全般に言えることですが、他人との使い回し禁止は元より、「他人が触れないように管理する」ことがとても重要になります。薬は作用・副作用問わず、体に変化を生じさせるものだという認識でいましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

遠藤 広史医師遠藤先生

ミノキシジルの内服については、日本専門医機構が認定した「専門医」と相談して進めるといいでしょう。なお、日本専門医機構が認定した「専門医」とAGAに関する“学会”が認定した「専門医」とでは基準が異なります。肩書の名称に注意してください。

編集部まとめ

内服薬のミノキシジルには心臓血管系に与える重大な影響が、塗布薬のミノキシジルにはレアケースながらも血流促進作用や血圧の低下作用による副作用が、それぞれ懸念されるということでした。遠藤先生によると、アメリカでは、高血圧の内服薬にミノキシジルが認められているとのこと。米国国立医学図書館による注意喚起には、そうした背景もあるのでしょう。「内服」をNGとするのではなく、「管理不十分な環境」がNGという結論でした。

医院情報

神田駅前クリニック内科

神田駅前クリニック内科
所在地 〒101-0047 東京都千代田区内神田3-13-2 松尾ビル5階
アクセス JR「神田駅」 徒歩1分
診療科目 内科、睡眠障害、AGA

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