【闘病】「これは遺伝なの?」 妹と同じ難病・全身性エリテマトーデスになった女性(2/2ページ)

患者側の気持ちはとてもセンシティブ

編集部
治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
福井さん
医療スタッフの優しい声かけや、一緒に入院していた仲間との友情です。入院中、「ゆっくり休みなさい」と言われているような感じがしました。また、家族や友人がお見舞いに来て、とても励みになりました。
編集部
やはり、周りの人々にも心配されましたか?
福井さん
はい。ただ、周囲は「大変な病気だ」と心配してくれるのですが、私自身が知識もほとんどないまま急に難病と宣告されたので、大変さの実感が湧かない部分がありました。加えて、入院しても体が痛いこと以外には、自覚症状もなかったので、なおさら現実味がなかったのです。苦労したのは、SLEに理解を示してくれない人や、付き合いをやめる人がいたことです。逆に、私にとって本当に大切な人が誰なのかもよくわかりました。
編集部
もし、病気になる前の自分に声をかけるとしたら?
福井さん
もっと早く検査して、治療が始められたらよかったと思います。また、子宮筋腫によるものだとしてSLEを疑わなかった当時の医師に「もっとしっかり調べてほしい」と声をかけたいですね。あとは、自分に「もっと自分を大切にして」と言いたい。今だからわかることです。
編集部
SLEと闘っている仲間に伝えたいことはありますか?
福井さん
毎日を楽しく過ごすことで免疫が上がると思うので、できるだけ笑っていてほしいですね。物事を前向きに考えることで、こんなに体調に変化があると思いませんでした。病院では、毎朝にっこり笑った写真をSNSにアップして、自分の心を持ち上げていました。体と心に良い言葉だけを使い、良い習慣を身につけ、食生活をし、心身が元気になる環境に身をおく。そういうことを毎日実践し続けていると、病気は軽くなる気がします。私は、心がめげそうな状態から脱するために、ステロイドの副作用のムーンフェイスをどうにかできないかと思い、「ミセスコンテスト」に出ることを決意しました。そうしたら、思ったよりも早く薬を減らすことができ、外見も元通りになりました。元気なとき、調子の悪い時はありますが、どんな自分も自分と認めることができるようになりました。今は元気に暮らしています。この度、念願の書籍を出版することもできました。以前よりも充実した日々を送っていると思います。
編集部
医療関係者に伝えたいことはありますか?
福井さん
お医者さんによっては、治療ガイドラインに縛られすぎていると感じることがありました。難病は薬だけでは治りません。病気への不安を抱えている患者の、人生を背負っていることを自覚して臨み、常に視野を広げて医療に目を向けて、勉強してもらいたいです。
編集部
医師側と患者側との双方向のコミュニケーションが重要だと?
福井さん
そうですね。患者さんとのコミュニケーションを密に取ってほしいと思っています。コミュニケーションエラーによって、患者さんの症状が悪化することは十分に考えられます。また、患者側も自分と合う医師と出会うことはとても大事なことです。合わなければ、セカンドオピニオンも検討していいと思います。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
福井さん
急に難病と診断され、しかも一生付き合わなければならず、いつ再燃するかわからない。こんな病気と付き合いながら「いかによく生きるか」を模索する日々です。だからこそ1日1日を、有意義だと感じられています。私は妹と同じ病気で、名前と症状は一通り知っていましたが、詳しい症状はあまり理解していませんでした。闘病者の気持ちは、その病気にならないとわからない部分もありますが、ぜひこれを機会に少しでも多くの人に知ってほしいです。
編集部まとめ
難病と聞いた周囲の反応から、「自分にとって大切な人かどうかがわかった」というのはとても印象的でした。また、福井さんは獣医師として医学の知識をお持ちですので、より病気に対して深く感じるところもあり、悩まれたようです。医師も闘病者の気持ちにできるだけ寄り添った対応が必要で、治療法もガイドラインに縛られるのではなく、柔軟性を持った対応が必要だと感じました。


