~実録・闘病体験記~ 「病気は不幸」ではない。脊髄髄膜瘤と生きるヨガインストラクター(2/2ページ)

脊髄髄膜瘤と一生かけて付き合っていく術

編集部
この病気で思いがけない出来事はありましたか?
ロミさん
この病気は治るものではないので、一生かけて付き合っていきます。今も昔も症状は変わりませんが、皮膚感覚が麻痺している部分は筋肉が弱いため、出産を機に子宮脱(子宮が腟から脱出してしまう病気)となり、子宮摘出になったのは、まさかの出来事でした。もちろん全員がそうなるわけではないと思いますが……。
編集部
あなたの病気を知らない方へ、一言お願いします。
ロミさん
脊髄髄膜瘤という病名を調べたとき、書かれている説明だけを見て、重い気持ちになるかもしれません。でも、絶望しかないとは思わないでください。先天性疾患は、普通の方からすると可哀想に思えるのかもしれません。しかし私たちにとってこれが普通であり、「苦労=不幸」ではありません。無いことのおかげで、有ることのありがたみを感じます。「障がい・病気=悪」と決めつけないでください。当たり前に感謝できる生き方は、毎日に気付きがあります。私は現在の自分が誇りであり、幸せです。
編集部
産んでくれた親御さんへ、伝えたいことがあるそうですね。
ロミさん
この病気は妊娠中の葉酸不足で起こることがある、という記事をよく目にします。この一言が、どれだけ母親に責任や悔しさ、親族への肩身の狭さを感じさせたことか。私は母から「ごめんね」とか「かわいそうな子」と思われたくありません。「障がいをもつ勇気をもって生まれた自慢の子」と笑って言ってほしいですね。
編集部
医療関係者に望むこと、伝えたいことはありますか?
ロミさん
地域性かもしれませんが、この病気を総合的に診てもらえる病院がなかなかありません。泌尿器は泌尿器科、四肢は整形外科、運動は脳神経内科・外科、子宮下垂は婦人科。どこを受診しても脊髄髄膜瘤による症状だと説明しないとわかってもらえないことが多々あります。脊髄損傷による各症状のバラつきに対して、通院治療が大変です。
編集部
最後にメッセージがあればお願いします。
ロミさん
「病気になったから何かを失う」「障がいがあるから仕事も恋愛もできない」「なぜ自分ばかりがこんな目に合うんだ」など、病気を抱える人には、いろいろと想うところがあると思います。人は失うものばかりに目が行きやすく、今あるものや実は得ていたものには気付きにくいものです。病気が無くても、別のことで大変な思いをし、悩むことは誰にでもあります。障がいや病気を理由に、自分を不幸のベールに包まないでほしいです。乗り越えるために強くなった自分、弱った自分を影で支えてくれる人たち、ほかの人が経験していない体験を伝えることができる自分、これらを強みとできればいいと思っています。
編集部まとめ
この疾患は生まれながらにして持っているため、患者さん本人にとっての「普通」は、病気を持っていない方の「普通」とは考え方や捉え方が違います。先天性疾患だからといって不幸ではなく、無いことに目を向けず、日々当たり前に有ることに感謝しながら生活されています。あらゆる事を言い訳にせず、強く生きていく姿に勇気づけられる方も多いのではないでしょうか。




