【闘病体験記】俳優・間瀬翔太さんに降りかかった10万人に1人の病気「脳動静脈奇形」

間瀬さん

脳動静脈奇形によって、脳出血とてんかんを患うことになりました。脳の中では、動脈と静脈とが直接つながってナイダスというとぐろを巻いたような状態になっているそうです。しかも血管が薄く破れやすいため、脳出血やくも膜下出血の危険性があるのです。

間瀬さん

2019年7月、新曲のレコーディング中に脳出血を起こしました。最初は壁に強く頭をぶつけてしまったような感覚だったと思います。とにかく激しい頭痛だったのですが、仕事なので最後まで歌い切ったことは覚えていますが、そのときの記憶はあいまいです。

間瀬さん

歌い終わった後、一緒にスタジオに来ていた友人に助けを求めようとしたのですが、その名前を思い出せず、マネージャーに連絡をしてスタジオに迎えに来てもらおうと思いましたが、今度はスタジオの場所も伝えられないような状況でした。結局マネージャーがかけつけてくれ、病院へ行くことができたそうです。

間瀬さん

足の関節部の動脈からカテーテルを挿入し、腹部、胸部、首、頭、と順番に造影剤を流しながら出血点を見つける脳血管造影検査を受けました。この造影剤がとにかく熱かったですね。顔面の皮をめくられてアイロンを当てられたような強烈な熱さでした。その後、2回受けましたが、もう二度と受けたく無いですね。脳動静脈奇形による脳出血なのか、ほかの原因による脳出血なのか、本当に手術は必要なのかどうかを調べてもらいました。

間瀬さん

本当に人生で一番辛かった時間ですね。怖かったです。医師から「脳動静脈奇形」と宣告された瞬間、話の続きも聞かずにスマホで病気を調べ、最悪な想像をし、さらに怖くなって、人生初のパニック障害を起こしました。そのまま看護師さんたちによってベッドへ運ばれました。その間、家族は医師と話していました。

間瀬さん

周囲に同じ病気の人もおらず、絶望していました。今では本当に申し訳ないと反省していますが、毎日が怖くてご飯を投げたり、点滴を抜いたり、急に大泣きしたり、自分が自分ではないようでしたね。

間瀬さん

開頭手術をすると言われました。また、必要に応じて頬の骨を切るかもしれないとも言われました。幸い動脈と静脈の合体している部分（ナイダス）が手術できる場所にありましたので、開頭手術だけで済むだろうとのことでした。ただ、「手術を受ければ命は助かるけれど、20％の確率で半身不随や植物状態になり、最悪死の可能性もあります」というような恐ろしい同意書に署名もしました。

間瀬さん

手術時間は当初5時間の予定でしたが、7時間かかったそうです。当初、ナイダスは1つの予想でしたが、実際は2つ見つかり、しかも想像の位置とは少しずれていたのもあって、言われていたとおり頬骨も切ることになりました。その後遺症で、いまだに口が上手く開きません。もうこれに関しては諦めています。あごを無理矢理開く方が、痛くてストレスになりますから。

間瀬さん

間違いなくファンの方々、毎日会いに来てくれた両親と妹、そして大切な仲間ですね。毎日ブログを書くたびにファンが増え、「明日はどんな事を伝えよう」と思ったら、無意識に「明日」を生きる気でいました。心にあった自殺願望は消え去ってましたね。「絶対に退院してやるぞ」という気持ちになりました。

間瀬さん

術後に「てんかん」が現れるようになりました。突然に全身痙攣を起こし、泡を吹いて気絶することがあります。はじめは月1回の割合で発作を起こしていました。現在は内服のみで、なんとか発作は治っています。

間瀬さん

正直、最悪な気分です。てんかんは脳の部位によって発作内容が変わりますが、僕の場合は発作の前兆はチカチカする光が見え、幻聴が聞こえて、間も無く呼吸が荒くなってパニックになり、その後しばらくの記憶が残りません。

間瀬さん

家ならソファなど柔らかい場所か、外を歩いている時なら地面でも良いので、車などに轢かれない安全な場所に横になるようにします。本当に地面にべったり倒れるのが安全です。全身痙攣を起こしたら意識も無くなるし、身体も頭も大きく揺れて、必ず転倒します。てんかんそのものも怖いですが、転倒して頭をぶつけても最悪「死」につながるので注意しています。

間瀬さん

体重が12Kgも落ち、良いダイエットになりました（笑）。性格がとてもポジティブになり、並大抵のことでは落ち込まなくなりましたね。病気のことも「10万分の1の男」「幸運の持ち主」なんだと。ただ、脳出血を再発する可能性があるので、血圧に気をつけて生活しています。運動も食事も睡眠も、全てバランス良くなりました。てんかんは疲労でも起きやすくなるので、大好きだったスポーツを以前より控えています。

間瀬さん

仕事はほぼすべて無くなりました。入院中にラジオの仕事も終了になり、収入も激減しました。最近は少しずつTVやラジオ、医療関係のインタビューなどのお仕事が増えだしたところです。それでも、今の方が「生きてる」という感じはあります。

間瀬さん

記憶障害があるため覚えられないことや、記憶喪失になることも多いです。周りは「覚えられない」ことが信じられないみたいで、嘘つきキャラのようになっちゃいました（笑）。逆に嘘つきキャラもそれはそれで面白く、楽しんでいます。てんかんを起こしてからは、車は一切運転しなくなりました。またプールや海が大好きだったのですが、発作が怖くて一人では行けません。家でのお風呂もお湯をヘソのあたりのまでの高さまでしか入れないようにし、絶対おぼれない状態にして入っています。こればかりは神様とてんかんを本気で恨みましたね。

間瀬さん

僕は仕事柄、誹謗中傷のようなものに慣れていますので、多少は一般の方々よりメンタルが強いかもしれません。ただ僕と同じ病気を持っている人のほとんどは一般の方ですし、難病のことや記憶喪失、ヘルプマークのことなどを悪気なくともそう聞こえるように言われてしまうと、傷ついてしまう人も多いと思います。なので、もっと病気について理解のある人が増えてほしいですね。

間瀬さん

この病にかかって1つ、夢ができました。看護師になることです。学歴や年齢など色々考慮した結果、来年から准看護師学校に通うことを決めました。命を救ってもらった側から、命を救う側になりたいと思います。最後に、SNSで同じ闘病患者さんに「光」を届けていますので、よかったら覗いてみてください。