~新型コロナ闘病体験記~ 感染者激増・第4波の大阪では何が起きていたのか(2/2ページ)

バブル方式への疑念

編集部
ところで、問題の職場の感染対策はどうだったのでしょうか?
本間さん
もともと「通所タイプ」ではなく「入所タイプ」であったので、感染症の流行もあって、施設が入所者に“外出の完全禁止”を徹底させていました。また、ご家族の面会も禁止になりました。出入りできるのは、「感染症に一通りの知識がある」スタッフのみです。ただし、入所者が施設内で病気になった場合のみ外出、通院していました。それでも感染を防げなかったということは、入所者が通院先の病院でうつされてしまったのでしょうか。だとすると、スタッフがいくら注意していても限界はあったと思います。
編集部
うつされたのも知らないうちだし、知らない間にうつしてしまった?
本間さん
あれだけ施設の防疫体制を整えていたのに、ウイルスは入りこんで来るんです。防ぐための密閉空間だったはずですが、まん延させる方向へ働いてしまったことが残念ですね。それに加えて、同じウイルスであるはずなのに、人によって症状がかなり違います。「いつ、なにが起こるかわからない怖さ」が尋常ではないです。
編集部
この機に、医療従事者へ望むことはありますか?
本間さん
大阪単体がひっ迫したとき、近隣の他県ともっと連携できないのかと感じました。とにかく、知りたいことが多いのに、情報を遮断されてしまい不安でした。ルールなのだと思いますけど、人命がかかっているのに「薄情やな」と感じる対応を目の当たりにさせられました。
編集部
散見される「コロナ疲れ」についても一言。
本間さん
東京五輪で、選手を外部から隔絶する「バブル方式」(開催地を大きな泡[バブル]で包むように囲い、選手やコーチ・関係者を隔離。外部の人達と接触を遮断する開催方法)が採用されるそうですが、つまりこれって私の職場と似たような仕組みですよね(東京五輪開催前に取材)。だとしたら、感染者が出た場合、ウイルスを増殖させる温床になるのではないかと気がかりです。会場も無観客のほうが好ましいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
本間さん
なにより娘がかわいそうです。学校や周囲から白い目で見られることはないものの、「あまり遊びに行かない習慣」が身についてしまいました。行政や政治が後手に回ると、子どもの環境や性格すら変えかねないと思います。ですから、どうして先手を打たないのか、母として歯がゆく思います。また、一般の方の今の行動が、「次世代の日本の姿」をつくるのでしょう。今後、かわいそうな子どもが増えないことを願います。
編集部まとめ
この春の大阪は、ひっ迫というよりもパニックだったのかもしれません。また、五輪でも採用された「バブル方式」も、運用を間違えると大変なことになる可能性があると感じさせられました。そして、我々大人たちの行動が次世代の子どもたちの積極性や性格を変え兼ねないという点も、見えていない観点ではなかったでしょうか。




