AGA治療にはいくつか選択肢があるけど、結局どれが正解なの？

新行内先生

大きくわけると、飲み薬、塗り薬、頭皮の皮下注射、患部を活性化させるレーザー治療があります。なお、今回は「植毛」を含めない「自分の髪の毛を増やす」治療に限定して考えていきましょう。

新行内先生

わかりやすいのは、クリニックで処方される「発毛剤」の塗布ですね。また、有効成分を塗布せずに、飲み薬として服用する場合もあります。抜け毛を抑制したり、発毛を促したりするのが目的です。皮下注射については、ミノキシジルなどの薬を注射する場合もありますし、成長因子を用いる方法もあります。

新行内先生

レーザーの効能は主に3つあり、「髪の毛に関わる細胞の活性化」、「かゆみなどの抗炎症作用」、「血流促進作用」です。AGA用のレーザーは出力が低く、発毛効果と安全性が認められている治療方法です。

新行内先生

はい。単独でおこなうよりも、複数の治療を組み合わせる方が効果的です。ただし、費用負担に関わる話なので、医師から提案のうえで患者さんに決めていただきます。より短期で効果を狙いたい場合は、複数の治療を組み合わせる方が良いでしょう。

新行内先生

AGA治療に「正解」はなく、個人ごとに最適な治療を検討していきます。ただし、日本皮膚科学会のまとめた「AGA治療ガイドライン」では、各治療方法を“5段階に”わけて推奨しています。

新行内先生

「A：おこなうよう強く勧める」レベルの治療方法は、フィナステリドの内服（女性には推奨されない）、デュタステリドの内服（女性には推奨されない）、ミノキシジルの外用です。続けて、「B：おこなうよう勧める」レベルは、アデノシン外用（女性におこなってもよい）に加えて、LEDおよび低出力レーザー照射が含まれています。

新行内先生

上記以外の治療選択肢は、「C1：おこなってもよい」か「C2：おこなわないほうがよい」か「D：おこなうべきではない」レベルとして評価されています。一例を挙げるとしたら、成長因子導入は「C2：おこわないほうがよい」、ミノキシジルの“内服”は「D：おこなうべきではない」と評価されています。また、民間療法の類いは、同ガイドラインの評価外となっています。

新行内先生

「数々の研究により確実な科学的根拠が示されているという事実」と「安全性」です。必ずしも上位評価の方が「よく生える」ということではありませんし、どんな患者さんにも同等の効果があるとは言いきれません。そのため、我々医療従事者は、エビデンスと安全性を重視して、患者さんに治療方法をご提案させていただいています。

新行内先生

そうですね。まずは、科学的根拠のある「A」か「B」評価の治療選択肢から入るのが適切な選択だと思います。

新行内先生

患者さんからのご希望に応じて、最適な治療方法をご提案させていただきます。例えば「副作用が極力少ない方法で進めたい人」や「以前に治療薬でかぶれたことがある人」がいらっしゃるでしょう。また、治療法によって費用も違いますし、治療にかかる期間もそれぞれ異なります。様々な観点から、どの治療法がその患者さんに適しているのか、諸々の事情を踏まえたうえで決めていきます。

新行内先生

ミノキシジルが配合された外用薬は、エビデンスがあります。ただし、上記ガイドラインに含まれていない生薬などは、そのエビデンスが広く認められていません。本当に効果のある治療法は限られていますので、ぜひ、AGAの専門医院でカウンセリングを受けて判断してください。

新行内先生

AGAが進行して、毛根が萎縮してしまってからでは、限定的な治療効果しか得られません。また、自己判断によるケアを続けていると、かえって回り道となり、毛根の萎縮が進行してしまうかもしれません。ぜひ、早い段階から科学的根拠の示されている安全な方法で治療を進めていきましょう。