~実録・闘病体験~ 「検診とHPVワクチン接種が大切」子宮頸がんでタレント活動急転した夏目亜季さん

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年8月取材。


記事監修医師:
楯 直晃(宮本内科小児科医院 副院長)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
検査結果の当日、母と一緒にがんを告げられる

編集部
最初に、子宮頸がんと診断された経緯を聞かせてください。
夏目さん
ある日、不正出血があったため自宅近くの病院で検査したところ、子宮頸がんの可能性があると言われ、大学病院で精密検査を受けることになりました。その結果、「子宮頸がんIB1期」と診断されました。
編集部
状況をすぐに理解できましたか?
夏目さん
検査を受けたその日に、先生から「来週、検査結果をお伝えする際に、お母さんと一緒に来てくれますか?」と言われたため、「きっと大変な病気が判明したのだろう」と、とても不安に感じたのを覚えています。その後の検査で、リンパにもがんが転移しているということもわかりました。これはあとから知ったことですが、生存率は50%ぐらいだったそうです。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
夏目さん
がんがリンパにも転移していたため、放射線治療と抗がん剤治療を行なっていくと言われました。
編集部
病気が判明したときはどのようなお気持ちでしたか?
夏目さん
まさか自分が「がん」になるとは思ってもいなかったので、判明した時は本当に絶望しました。また、子供が産めなくなるという話を聞いて、とても悲しかったです。子宮頸がんという病名は聞いたことがある程度で、軽く考えていた節があり、死に至る可能性のある病気だと知ったときはとてもショックでしたね。
治療中、支えてくれたのはファンや友達や家族でした

編集部
がんを知り、「余命」を意識しましたか?
夏目さん
「30歳まで生きられないかも」と不安でしたね。そのときから、「もしこのまま生きられたら後悔がないよう、人生でやりたいことは常にチャレンジしていこう。もっとわがままに生きていこう」と思うようになりました。
編集部
子宮頸がんになって、生活にどのような変化がありましたか?
夏目さん
抗がん剤の吐き気を抑えるためのステロイドでかなり顔がむくみ、ムーンフェイスになったことがとても悲しかったですね。また、治療後も若くして更年期障害を経験することになり、苛立ちなどを自分でコントロールすることが難しく、自然と親しい人に対してきつく当たっていました。何度も腹痛がして、トイレに行っては血の塊しか出ないようなことも。どちらも放射線の後遺症と説明されました。それも2年ほどで落ち着きましたが、当時はかなり大変でした。
編集部
治療中の心の支えはなんでしたか?
夏目さん
ファンや関係者の方からのコメントやSNSでの励ましの声をもらったり、友達が千羽鶴を折ってわざわざ東京まで会いに来てくれたり、家族が変わらずいつも通りに私に接してくれたことが救いになりました。
子宮頸がんを振り返って

編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
夏目さん
3ヶ月に1回、腫瘍マーカー検査などを受けて経過観察をしています。子宮頸がんは、寛解して5年すると完治に近い状態になるだろうと言われていますが、再発するリスクもゼロではありません。また、子宮頸がんとは別に、17歳の頃から全身性エリテマトーデス(SLE)という難病を抱えているのですが、こちらも3年前後で再発を繰り返しているものの、なんとか生活はできています。
編集部
現在、お仕事はどうされていますか?
夏目さん
幸いにもがんが発覚した時に、テレビやニュース、ウェブ媒体などで私のことを報じてくださったこともあって、病気・闘病についてのトークイベントに出演したり、「復帰ライブを開催しないか?」と誘っていただいたり、すぐに仕事に復帰することができました。体調は万全ではありませんでしたが、ファンの方もそうした催しにたくさん足を運んでくださり、がん発覚前のように仕事をすることができています。
編集部
厚生労働省で、HPVワクチン積極推奨の再開が決定されました。想いを聞かせてください。
夏目さん
積極的接種勧奨の差し控えから8年経ちましたが、ようやく積極的接種勧奨が再開されることになりました。政治家になる何年も前から講演などでそのための活動続けてきて、「やっとこの時が来た」という気持ちで胸がいっぱいです。世論が反映され、国が動いてくれたんだと思います。同時に接種の機会を逃した方々へのキャッチアップも進めるとのことで、これからの世代の多くの方が救われていくことになると、とても嬉しく思っています。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
夏目さん
子宮頸がんは女性の人生、将来を大きく変えてしまう可能性があります。必ず検査は受けてほしいです。自治体から無料で受けられるクーポンが配布されていますので、あまり興味、関心がなくても受診することをお勧めします。また、HPVワクチンを打って子宮頸がんを予防することも大事だと伝えたいです。日本産科婦人科学会や専門の先生方のHPを参考に、学んでみるのもいいと思います。




