おでこや眉間、目尻のしわってなんでできるの? クリニックでできる治療を教えて!
年齢とともに増えていく、顔のしわ。マスク生活で目元が目立つようになった昨今、気になる人は多いでしょう。「おでこや眉間、目尻のしわはなぜできるのか」「どんな方法で予防や治療をできるのか」。「大西皮フ科形成外科医院」の院長である、大西勝先生に詳しいお話を伺いました。
監修医師:
大西 勝(医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院 滋賀大津石山院 院長)
香川医科大学(現・香川大学医学部)卒業。京都大学医学部附属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科などを経て、1997年に大西皮フ科形成外科医院・滋賀大津石山院を開院。その後、2012年に京都四条烏丸院を開院。日本形成外科学会認定専門医、日本臨床皮膚外科学会認定医、日本臨床抗老化医学会認定医など、多数の資格を有する。
おでこや眉間のしわができる原因は?
編集部
おでこや眉間、目尻のしわはなぜできるのでしょう?
大西先生
原因は「過剰な表情の癖」です。眉を頻繁に上げることでおでこに横じわができ、険しい表情をすると眉間に縦じわができやすくなります。笑った時にも目尻にしわが寄りますね。おでこの横じわは、一重まぶたの人ほどできやすくなっています。まぶたが目にかぶさりやすいため、それを持ち上げようとして眉毛を上げて、その動きでおでこにしわができてしまうわけです。
編集部
眉を上げたり表情を動かしたりする以外の原因はあるでしょうか?
大西先生
肌のハリが減少すると、同じように筋肉を動かしていても、よりしわになりやすくなります。肌のハリが減る原因は、紫外線、乾燥、加齢などですね。
編集部
おでこや眉間、目尻のしわは予防できるのでしょうか?
大西先生
表情の癖に気をつけるということ以外では、予防は難しいと考えます。エクササイズやマッサージなどの方法もありますが、やはり限界があります。なので、しわは深くなる前から治療するのがいいでしょう。ボトックスやヒアルロン酸の注射が特に有効です。
ボトックス注射による治療
編集部
治療法について詳しく教えてください。まずはボトックスから。
大西先生
A型ボツリヌス毒素という、筋肉の作用を弱める成分を注射します。これで、しわの原因になっている筋肉の過剰な動きを弱め、しわを寄せようとしても“できなくする”わけですね。
編集部
筋肉の動きを止めて、表情が不自然になることはないのでしょうか?
大西先生
はい。しわが深くなるということは、筋肉が過剰に動いているということです。それを弱めても表情が損なわれることはありません。
編集部
眉間にもおでこにも有効でしょうか?
大西先生
はい。ただ、おでこのしわは、患者さまによってはボトックス注射が出来ないこともあります。おでこの筋肉がゆるむと、まぶたが垂れ下がってしまうため一重の方や、もともとまぶたがかぶさり気味の方の場合は難しいこともあります。
編集部
ボトックスの効果は、どのくらい続くのでしょう?
大西先生
一般的に3~6カ月とされています。ただ、体感としてはこれより長くなります。というのは、3~6カ月の間に表情の癖が取れるので、ボトックスの効果が切れた後も、しわができにくくなります。そのような理由で、ボトックス自体の効果よりも、少し長く効き目を実感できることが多いのです。もちろん、この実感には個人差があります。
編集部
ボトックスの品質は、メーカーによって違いがあるのでしょうか?
大西先生
そもそも「ボトックス」という言葉自体が、1つの商品名です。正式名称は「ボツリヌス毒素製剤」というのですが、アラガン社という会社の「ボトックス」があまりに有名になったため、この名前で定着しています。最近ではたくさんの製剤が登場していますが、効果に大きな差は無いと思います。
編集部
効果以外では何か違いはあるのでしょうか?
大西先生
アラガン社のボトックスは、厚生労働省が承認しているボツリヌス製剤ということから、製剤の信頼性は高いといえます。ただ、厚生労働省の承認は受けていなくとも、韓国製などで優れた製剤は多くありますよ。
ヒアルロン酸を注入することで皮膚を持ち上げる
編集部
ヒアルロン酸の注入では、どのようにしわを消すのでしょう?
大西先生
これは、しわの凹んでいる部分を「皮膚の内部から持ち上げる」という仕組みです。ヒアルロン酸というと、保湿のイメージがあるでしょう。しかし、注入するタイプのヒアルロン酸を使えば、皮膚を持ち上げられるのです。
編集部
ボトックスとの違いについて教えてください。
大西先生
ボトックスは「表情ジワ」に対して有効ですが、ヒアルロン酸は「表情ジワ」以外に対しても有効です。筋肉を動かさなくても常にできている「消えないしわ」には、ヒアルロン酸が適しています。
編集部
ヒアルロン酸はボトックスのように「ここには使えない」ということはあるのでしょうか?
大西先生
使えないというよりもボトックスもヒアルロン酸も向き不向きがありますので、それぞれの使い分けが大切です。例えばおでこのしわは上下の動きが激しいため「しわだけを狙ってヒアルロン酸を注入する」ということがしにくいのです。そのため「おでこ全体」に広く注入してしわを目立たなくする方法もあります。ボトックスのように動きを止めてしまうのではなく、全体を均等に持ち上げれば、眉を上下動させてもしわがよりにくくなります。
編集部
ボトックスが使える場面でも、ヒアルロン酸が役立つことはありますか?
大西先生
はい。たとえばおでこの場合、ボトックスでしわを消すとピンとし過ぎて不自然になる、という方もいらっしゃいます。そのような方の場合は、ヒアルロン酸を用いることもあります。また、併用するとより良くなるケースもあります。
編集部
ヒアルロン酸も、メーカーや製品による違いはあるでしょうか?
大西先生
製品によって濃度や固さなどに、さまざまな特徴があります。ボトックスで有名なアラガン社だけでも、多くの種類のヒアルロン酸を提供しています。さまざまな製品の中から、患者さまのお肌やしわの状態に適したものを用います。
編集部
最後に読者の方々へのメッセージがあれば。
大西先生
今はマスク生活が続いているため、眉間やおでこのしわがより相手の印象に残るものです。眉間やおでこのしわがなくなれば、怒っているような悪い印象もなくなりますし、お肌自体も綺麗に見えます。顔に注射することには、最初は抵抗を感じるかもしれません。しかし、意外に痛みも少なく簡単なものなので、しわを薄くしたい方は、一度お気軽に試してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
おでこや眉間のしわの原因は表情の癖。この癖をなくすことが唯一の予防法です。日頃から不機嫌な表情をせず、できるだけにこやかに過ごすことを心がけましょう。おでこや眉間のしわができにくくなるだけでなく、人間関係も今よりさらに良いものになるかもしれません。
医院情報
所在地 | 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 JR石山駅前近江鉄道ビル3F |
アクセス | 東海道本線(琵琶湖線)「石山駅」南口 徒歩1分 |
診療科目 | 皮膚科、形成外科、美容皮膚科、美容外科 |